仁川路朱鳥詩集

仁川路朱鳥

文字の大きさ
上 下
124 / 191
社会人(成人前)

夕焼け迫る街

しおりを挟む
夕焼け迫る街がある

中の人達が見ているのは
今日の夕飯の作り方
日が落ちかける頃になると
どこの家からも
どの部屋からも
カレーやコンソメスープや
シチューや焼き魚の匂いが
小躍りになって 
はしゃいで 
はしゃいで
高まった匂いが 
いてもたっても
いられないと 
外へ飛び出していく

ちょうど道には
踊る匂いと踊り疲れた匂い

運動部の男子や
文化部の女子
その他あらゆる子供達も

サラリーマンも
自営業も
その他あらゆる大人達も

この匂いを楽しみにしては
この匂いと踊っている
日常の中
手料理を楽しみにして帰る
空想のカレーはおいしい

そんな世界で 君は死んだ
しおりを挟む

処理中です...