仁川路朱鳥詩集

社会人(成人前)

自己消化/照魔鏡の前、にて

自我地獄
裁きを待つ
しかし証人も誰も来ない 誰も
誰もいない脳内地獄に

種々反転する破片
私はいない どこにも ここにも
ここに立つみにくい幻は私じゃない
私はもっと誰かに役立てるはずだ
役立てるはずだと思い続ける
それこそがみにくい幻
自己嫌悪の煉獄に落とされてしまえ
この人生

付き添う子犬が泣いている
鳴くのではなく
私を慕い 愛し その子犬は

割れた鏡に気づかない
散乱する血にも気づかない
様々な金属の織物がそこにある
私の血 鏡の血 鏡の肉 私の肉
子犬は気づかない
気づこうともしない
ただ愛する人を追いかけるだけ
お前は証人にはなれない
お前は狂信者だ

早く気づいて
私の声に気づいて
空気を揺らすこともできない私に気づいて
助けて
怖いの
役立たずの私が生きているのが怖い
殺してよ
ああ でも……

もし
私の声が本当に届くならば
私に役を与えてくれるなら
その時は
心から笑顔でいられるだろう
子犬のように