仁川路朱鳥詩集

仁川路朱鳥

文字の大きさ
上 下
92 / 191
社会人(成人前)

お前は裏切り者

しおりを挟む
この夜に溶けてしまう前に 該当しない街灯を歩いて   (お前は裏切り者 裏切り者 裏切り者)
わざと埋めた指を離して                (なぜその言葉を使うか)
夜の霧が深く 深く                   (お前は裏切り者 裏切り者 裏切り者)
月の中 輝いて ただ                  (数えていたのに)
お前は裏切り者 裏切り者 裏切り者           (無我に自我を埋めて)
お前は裏切り者 裏切り者 裏切り者           (待っていたのに)
お前は裏切り者 裏切り者 裏切り者           (なぜ離れてしまったか)
お前は裏切り者 裏切り者 裏切り者           (無限に後悔をする夜)
お前は裏切り者 裏切り者 裏切り者           (炎─ここで燃えている)
                           (今にして熱上がるのは不思議だ)
こんなにも惨めな夜なのに
こんなにも青銅な夜なのに
まだ心臓が動いている
まだ一人の名を呼ぶ
思い出したくない夜をなぞって
何度も何度も自傷している
お前は裏切り者 裏切り者 裏切り者
お前は裏切り者 裏切り者 裏切り者           本当は私の方かもね
                           裏切り者
しおりを挟む

処理中です...