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第十五章 夜に咲く華と
15-3 出店があるときだけやたらと混む
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なっちゃんに連れて来られた部屋は、私が神社に来たばかりの頃に巫女装束を合わせた所だった。
あの時と変わっておらず、片付いていて小綺麗な部屋だ。
大きなタンスに、化粧台がある。
「さぁ、座って」
「うん、わかった」
なっちゃんは化粧台の前に置いてある小さな円柱の椅子を出し、座るように私を促す。
私は椅子に座ると、三面鏡に向き直った。
「チマは素材を生かしたナチュラルなメイクが良いわよね!」
「それならノーメイクでも良いんじゃないでしょうか?」
「ナチュラルメイクってのはね、メイクしてないように見せかけるためにガッツリメイクするのよ。軽装に見せかけた重武装よ」
「ほ、ほえぇ」
知らなかった。女の子は裏で何重にも顔に塗装しているのだ。可愛くなるためには手間がかかる。
「とにかく! お姉さんに任せなさい」
なっちゃんは笑いながらポーチを開け、化粧の準備を始める。今から劇的にビフォーアフターさせられるのだろうか。
「なっちゃん、張り切ってるね」
「だって、可愛いチマと一緒に花火が見れるんだもの。張り切っちゃうでしょ?」
「お、おっす」
鏡に写る彼女は頬を染め、恍惚の表情をしながら身体をくねらせた。
何というか、翼君が私を餌にしたという意味がわかった気がする。
「翼君も忘れないであげてね?」
「あんなの知らないわ」
なっちゃんは笑顔だが、声は氷点下の冷たさだ。ドンマイ翼君。
「本人が聞いたら泣いちゃうよ?」
「別に、そこまで繊細な奴じゃないから大丈夫よ。いつもヘラヘラして、ふざけてるだけだから」
なっちゃんは慣れた手つきで私の髪をピンで留めていく。
「そうかな? 翼君も気にすることは気にするみたいだけど……」
なっちゃんと花火大会を行く約束を破ってしまったことを、今でも気にしているし。
今回はあの約束を果たそうと、彼女を誘ったのだろう。ヘラヘラしてると見せかけて、責任感はあるのかも。
「気にしてるフリをしてるだけよ。あいつは嘘つきだからね」
液体の入ったボトルを傾け、中身をコットンに染み込ませる。
彼女は切なげに目を伏せ、私の顔にコットンを滑らせた。ヒヤッとする。ところでコレおいくらなんでしょう。
「あいつから話を聞いたんでしょ? 花火大会のこと」
「ぎくっ」
「うん、ぎくって口に出すくらい動揺しなくて良いわよ」
なっちゃんは薄く笑う。あっさりとバレてしまった。元より、隠しているつもりはなかったけれども。
「翼君もきっと反省してるし、いつか許してあげて欲しいなって思ってる」
私は姿勢を正し、鏡越しになっちゃんのブラウンの目を見つめる。
彼女はキョトンとした後、柔らかく笑った。
「本当はね、怒ってるわけじゃないの。ただ——」
と言葉を切り、首を振る。
「何でもないわ。さ、目を閉じて?」
話をはぐらかすように、なっちゃんは化粧をする手を動かした。
彼女は何を言いかけたのだろうか。でも、これ以上突っ込んだ話をしないほうが良いだろう。
私は大人しくなっちゃんにメイクされることにした。
***
「おお、おおお!」
鏡には華やかで垢抜けた女の子が映っていた。
華やかと言っても、派手過ぎず、ケバケバしくはない。
目蓋はラメ入りの淡いピンクで明るく彩られ、縁は薄いブラウンでなぞられて自然な仕上がりとなっている。
唇は赤みを抑えたピンク色に染まり、瑞々しく光沢を帯びている。
すごい、人間ってここまで化けるんだ……!
「やーん! チマったら可愛い!!」
「おぶっ!」
私の頭がなっちゃんのお胸に埋まるのは、もう様式美になっているのかもしれない。
「男共に見せたくは無いわね。これは凶器よ……」
「えっ」
「このまま連れ去ってガラスケースに入れて私室に展示して……」
「えっ」
「冗談よ」
「ごめん、どれが冗談?」
なっちゃんの本気の眼差しが怖い、夏。
居間に戻ると、翼君から相変わらずのチャラい反応が来た。一方、珀弥君は少し目を逸らして、顔を赤くしていた。
「珀弥く——」
「ちーちゃーん!」
珀弥君にどうしたのかと尋ねようとしたとき、コマちゃんが私の腰に抱きついてきた。
狐珱君の散歩にくっ付いて外に出ていたのだが、戻ってきたのか。
「お帰りコマちゃん。楽しかった?」
「うん!」
コマちゃんは元気良く返事をすると、私を上から下までまじまじと見つめてきた。
「ん? どうしたの?」
「ちーちゃん、かわいー!」
彼はぐりぐりと私の胸に顔を擦り寄せた。
「もー、ありがと」
甘えてくるコマちゃんに笑顔を返し、少し癖のある白い髪を撫でてあげた。小さな子供は可愛らしい。
「あたしも小さい犬だったら……」
「おーい、ナツ。目が怖ェぞー」
「黙れ羽毛」
「もはや翼でもねーな」
***
「いってらっしゃい。楽しんできてくださいませ」
「はーい!」
天ちゃんに見送られ、私たちは花火大会に向かうことにした。
もうじき夕陽が沈む頃。空は茜色から紺色のグラデーションになっていた。
「わんっ! わんっ!」
「ふふ、コマちゃん楽しそうだね?」
犬の姿に変身しているコマちゃんは、私の腕の中で嬉しそうに声を上げる。
花火大会に行きたいと言い出したのは彼だ。とても楽しみなのだろう。私も楽しみだ。
鳥居をくぐり抜け、商店街の方向に行くと、屋台がぽつぽつと見え始めた。
もっと進むと屋台の数も増え、それと比例して人も増えている。
金魚すくいや射的、綿飴やりんご飴、冷やしパインに冷やしキュウリもある。キュウリは別に良いや。
「わぁ、お祭りみたい!」
「わんっ!」
「あぁん、はしゃいでるチマ可愛い」
「うっす」
隣で恍惚の表情を浮かべるなっちゃんに引いていると、翼君が口を開いた。
「まー、実際お祭りだよな。この人出」
翼君は辺りを見回しながらニヤリと笑う。彼は賑やかな人だし、お祭りの雰囲気もよく似合うな。
一方、翼君と私に挟まれて歩いている珀弥君は、いつもより口数が少なく表情も固かった。
人混みが嫌いって言ってたし、無理させちゃったよね……。
「珀弥君、ごめんね」
「ゑっ、何が?」
彼は目を見開いて聞き返す。
「ほら、人混み嫌いなのについて来て貰っちゃって……」
「なんだ、そのこと?」
珀弥君はクスクスと笑いながら首を振った。
「僕は千真さんが楽しんでくれれば良いから、構わないよ。それに、こんな人混みの中に行かせるなら、ちゃんと保護者が付いていかないと」
「何かちっちゃい子扱いしてない?」
「気のせいだよ」
「えー」
どうも、珀弥君は過保護な気がする。そして私を子供扱いしている。ぐぬぬ。
そのとき、コマちゃんがとある屋台にむかって一吠えした。
「どうしたの、コマちゃん?」
「わんっ!」
コマちゃんが見ている屋台には、チョコバナナが並べてあった。あれが食べたいのだろうか?
「犬にチョコは毒だから駄目だよ」
「わう」
駄目だと言うと、コマちゃんは耳を折ってしょんぼりとしてしまった。ごめんね。
「犬にも安心なモンが売ってる屋台ってあんのか?」
翼君が眉を寄せたとき、珀弥君がある屋台を指さした。
「ほねっこ屋だって」
「あった!!」
ほねっこ屋には犬用の骨が売っており、お祭りでどれほど需要があるのかと疑うほど謎な屋台である。
だけど今、私たちに需要がありそう。
「コマちゃん、ほねっこいる?」
「わふっ」
彼は首を振った。やはり、ほねっこ屋に需要は無さそうだ。
「あっ!」
歩いていると、綺麗に光る物が並べられている屋台を見つけた。近付いてみると、ガラス細工のようだ。
鶴や亀、龍や麒麟、犬や猫、動物の他には花をモチーフにしたものなど、レパートリーが豊富である。
「すごい、綺麗」
「本当。見事ね」
私がガラス細工を見ていると、なっちゃんも目を細めてにっこりと笑った。
「お嬢ちゃんたち、よく見ていきな。おっちゃんが丹精込めて作ったものばかりだからね」
ガラス細工屋のおじさんは人の良さそうな笑みを見せる。
「皆おじさんが作ったんですか!?」
「そうだ。何か欲しいものはあるかい? お嬢ちゃんは可愛いからまけてやるよ」
「ほんと!?」
「あぁ、もちろん。そっちの色っぽい嬢ちゃんも何かあったら言っておくれ。もちろんまけてやるよ」
「ふふ、ありがとうございます」
おじさんに促され、私となっちゃんはガラス細工を選び始めた。どれも繊細で、幻想的な輝きを放っている。
「かわい子ちゃんってこういう時に得だよな」
「口に出すなよ」
男子陣は軽口を叩いて私たちの後ろからガラス細工を覗いていた。
こういう屋台のおじさんは若い女の子には甘かったりするから、翼君の言っていることは間違ってはいないかも。
「何だ、兄ちゃんたちも見るかい?」
「いいや、遠慮しとくわ。オレはこういうのガラじゃねーし」
「見りゃわかるぞ」
「おじさんまでオレを苛めんのか!?」
この屋台のおじさん、初対面なのに翼君の扱い方を理解してるとは、なかなかできる。
あの時と変わっておらず、片付いていて小綺麗な部屋だ。
大きなタンスに、化粧台がある。
「さぁ、座って」
「うん、わかった」
なっちゃんは化粧台の前に置いてある小さな円柱の椅子を出し、座るように私を促す。
私は椅子に座ると、三面鏡に向き直った。
「チマは素材を生かしたナチュラルなメイクが良いわよね!」
「それならノーメイクでも良いんじゃないでしょうか?」
「ナチュラルメイクってのはね、メイクしてないように見せかけるためにガッツリメイクするのよ。軽装に見せかけた重武装よ」
「ほ、ほえぇ」
知らなかった。女の子は裏で何重にも顔に塗装しているのだ。可愛くなるためには手間がかかる。
「とにかく! お姉さんに任せなさい」
なっちゃんは笑いながらポーチを開け、化粧の準備を始める。今から劇的にビフォーアフターさせられるのだろうか。
「なっちゃん、張り切ってるね」
「だって、可愛いチマと一緒に花火が見れるんだもの。張り切っちゃうでしょ?」
「お、おっす」
鏡に写る彼女は頬を染め、恍惚の表情をしながら身体をくねらせた。
何というか、翼君が私を餌にしたという意味がわかった気がする。
「翼君も忘れないであげてね?」
「あんなの知らないわ」
なっちゃんは笑顔だが、声は氷点下の冷たさだ。ドンマイ翼君。
「本人が聞いたら泣いちゃうよ?」
「別に、そこまで繊細な奴じゃないから大丈夫よ。いつもヘラヘラして、ふざけてるだけだから」
なっちゃんは慣れた手つきで私の髪をピンで留めていく。
「そうかな? 翼君も気にすることは気にするみたいだけど……」
なっちゃんと花火大会を行く約束を破ってしまったことを、今でも気にしているし。
今回はあの約束を果たそうと、彼女を誘ったのだろう。ヘラヘラしてると見せかけて、責任感はあるのかも。
「気にしてるフリをしてるだけよ。あいつは嘘つきだからね」
液体の入ったボトルを傾け、中身をコットンに染み込ませる。
彼女は切なげに目を伏せ、私の顔にコットンを滑らせた。ヒヤッとする。ところでコレおいくらなんでしょう。
「あいつから話を聞いたんでしょ? 花火大会のこと」
「ぎくっ」
「うん、ぎくって口に出すくらい動揺しなくて良いわよ」
なっちゃんは薄く笑う。あっさりとバレてしまった。元より、隠しているつもりはなかったけれども。
「翼君もきっと反省してるし、いつか許してあげて欲しいなって思ってる」
私は姿勢を正し、鏡越しになっちゃんのブラウンの目を見つめる。
彼女はキョトンとした後、柔らかく笑った。
「本当はね、怒ってるわけじゃないの。ただ——」
と言葉を切り、首を振る。
「何でもないわ。さ、目を閉じて?」
話をはぐらかすように、なっちゃんは化粧をする手を動かした。
彼女は何を言いかけたのだろうか。でも、これ以上突っ込んだ話をしないほうが良いだろう。
私は大人しくなっちゃんにメイクされることにした。
***
「おお、おおお!」
鏡には華やかで垢抜けた女の子が映っていた。
華やかと言っても、派手過ぎず、ケバケバしくはない。
目蓋はラメ入りの淡いピンクで明るく彩られ、縁は薄いブラウンでなぞられて自然な仕上がりとなっている。
唇は赤みを抑えたピンク色に染まり、瑞々しく光沢を帯びている。
すごい、人間ってここまで化けるんだ……!
「やーん! チマったら可愛い!!」
「おぶっ!」
私の頭がなっちゃんのお胸に埋まるのは、もう様式美になっているのかもしれない。
「男共に見せたくは無いわね。これは凶器よ……」
「えっ」
「このまま連れ去ってガラスケースに入れて私室に展示して……」
「えっ」
「冗談よ」
「ごめん、どれが冗談?」
なっちゃんの本気の眼差しが怖い、夏。
居間に戻ると、翼君から相変わらずのチャラい反応が来た。一方、珀弥君は少し目を逸らして、顔を赤くしていた。
「珀弥く——」
「ちーちゃーん!」
珀弥君にどうしたのかと尋ねようとしたとき、コマちゃんが私の腰に抱きついてきた。
狐珱君の散歩にくっ付いて外に出ていたのだが、戻ってきたのか。
「お帰りコマちゃん。楽しかった?」
「うん!」
コマちゃんは元気良く返事をすると、私を上から下までまじまじと見つめてきた。
「ん? どうしたの?」
「ちーちゃん、かわいー!」
彼はぐりぐりと私の胸に顔を擦り寄せた。
「もー、ありがと」
甘えてくるコマちゃんに笑顔を返し、少し癖のある白い髪を撫でてあげた。小さな子供は可愛らしい。
「あたしも小さい犬だったら……」
「おーい、ナツ。目が怖ェぞー」
「黙れ羽毛」
「もはや翼でもねーな」
***
「いってらっしゃい。楽しんできてくださいませ」
「はーい!」
天ちゃんに見送られ、私たちは花火大会に向かうことにした。
もうじき夕陽が沈む頃。空は茜色から紺色のグラデーションになっていた。
「わんっ! わんっ!」
「ふふ、コマちゃん楽しそうだね?」
犬の姿に変身しているコマちゃんは、私の腕の中で嬉しそうに声を上げる。
花火大会に行きたいと言い出したのは彼だ。とても楽しみなのだろう。私も楽しみだ。
鳥居をくぐり抜け、商店街の方向に行くと、屋台がぽつぽつと見え始めた。
もっと進むと屋台の数も増え、それと比例して人も増えている。
金魚すくいや射的、綿飴やりんご飴、冷やしパインに冷やしキュウリもある。キュウリは別に良いや。
「わぁ、お祭りみたい!」
「わんっ!」
「あぁん、はしゃいでるチマ可愛い」
「うっす」
隣で恍惚の表情を浮かべるなっちゃんに引いていると、翼君が口を開いた。
「まー、実際お祭りだよな。この人出」
翼君は辺りを見回しながらニヤリと笑う。彼は賑やかな人だし、お祭りの雰囲気もよく似合うな。
一方、翼君と私に挟まれて歩いている珀弥君は、いつもより口数が少なく表情も固かった。
人混みが嫌いって言ってたし、無理させちゃったよね……。
「珀弥君、ごめんね」
「ゑっ、何が?」
彼は目を見開いて聞き返す。
「ほら、人混み嫌いなのについて来て貰っちゃって……」
「なんだ、そのこと?」
珀弥君はクスクスと笑いながら首を振った。
「僕は千真さんが楽しんでくれれば良いから、構わないよ。それに、こんな人混みの中に行かせるなら、ちゃんと保護者が付いていかないと」
「何かちっちゃい子扱いしてない?」
「気のせいだよ」
「えー」
どうも、珀弥君は過保護な気がする。そして私を子供扱いしている。ぐぬぬ。
そのとき、コマちゃんがとある屋台にむかって一吠えした。
「どうしたの、コマちゃん?」
「わんっ!」
コマちゃんが見ている屋台には、チョコバナナが並べてあった。あれが食べたいのだろうか?
「犬にチョコは毒だから駄目だよ」
「わう」
駄目だと言うと、コマちゃんは耳を折ってしょんぼりとしてしまった。ごめんね。
「犬にも安心なモンが売ってる屋台ってあんのか?」
翼君が眉を寄せたとき、珀弥君がある屋台を指さした。
「ほねっこ屋だって」
「あった!!」
ほねっこ屋には犬用の骨が売っており、お祭りでどれほど需要があるのかと疑うほど謎な屋台である。
だけど今、私たちに需要がありそう。
「コマちゃん、ほねっこいる?」
「わふっ」
彼は首を振った。やはり、ほねっこ屋に需要は無さそうだ。
「あっ!」
歩いていると、綺麗に光る物が並べられている屋台を見つけた。近付いてみると、ガラス細工のようだ。
鶴や亀、龍や麒麟、犬や猫、動物の他には花をモチーフにしたものなど、レパートリーが豊富である。
「すごい、綺麗」
「本当。見事ね」
私がガラス細工を見ていると、なっちゃんも目を細めてにっこりと笑った。
「お嬢ちゃんたち、よく見ていきな。おっちゃんが丹精込めて作ったものばかりだからね」
ガラス細工屋のおじさんは人の良さそうな笑みを見せる。
「皆おじさんが作ったんですか!?」
「そうだ。何か欲しいものはあるかい? お嬢ちゃんは可愛いからまけてやるよ」
「ほんと!?」
「あぁ、もちろん。そっちの色っぽい嬢ちゃんも何かあったら言っておくれ。もちろんまけてやるよ」
「ふふ、ありがとうございます」
おじさんに促され、私となっちゃんはガラス細工を選び始めた。どれも繊細で、幻想的な輝きを放っている。
「かわい子ちゃんってこういう時に得だよな」
「口に出すなよ」
男子陣は軽口を叩いて私たちの後ろからガラス細工を覗いていた。
こういう屋台のおじさんは若い女の子には甘かったりするから、翼君の言っていることは間違ってはいないかも。
「何だ、兄ちゃんたちも見るかい?」
「いいや、遠慮しとくわ。オレはこういうのガラじゃねーし」
「見りゃわかるぞ」
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この屋台のおじさん、初対面なのに翼君の扱い方を理解してるとは、なかなかできる。
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