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第十四章 奥底に秘めるのは
14-2 ふたりきりのお話
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***
『今日からこいつはおれの子分だから、こいつをイジメんの禁止な!』
泣いている私を庇うように堂々と立つ男の子。
当時、身よりのないことを馬鹿にされ、それをネタに苛められていた私を救ってくれたのは、彼だった。
皆が憐れみの籠もった目で私を見て、腫れ物を扱うように無理に優しくしてくる中、彼は違った。
ただ一人、私に普通に接してくれて、意地悪をしてきた。
『何で、たけし君は私に構ってくれるの?』
『お前がウジウジしててムカつくからだよ! もっと堂々としろよ、ばーか!』
そして、ぶっきらぼうで口が悪いけれど、彼は私を励ましてくれた。
下を向いていた私に、堂々としろと手を差し伸べてくれた。
彼が奮い立たせてくれたから、今の私は此処にいる。私はちゃんと笑えるんだ。
***
授業を聞きながら思い出すのは、懐かしい記憶。
当時は辛かったり悲しかったりしたことも、今は笑い話に出来る気がする。
「神凪さん、この文章を現代語訳してください」
「あっ、はい。えぇと、何事につけても——」
放課後、たけし君は私に用があるみたいだけれど、何なんだろうなぁ。
せっかくだから、用が終わったら思い出話でもしてみたいな。ちょっと楽しみだ。
でも、珀弥君が『たけし君は千真さんに気がある』って言っていたから、おこがましいけど少し意識してしまうかもしれない。
もう終わった恋だとしても、やっぱり人に好かれるって嬉しいことだから。
ふと、何も言わずに笑っている珀弥君の顔が思い浮かんだ。
彼は笑っているのに、何だか寂しそうにしていた……ように見えた。私の見間違えかどうかはわからない。
でも、何で今、それを思い出したんだろう。
授業が終わり、放課後になった。
皆がぞろぞろと帰る中、私は自分の席に座っている。
たけし君に放課後残れと言われたけど、特に場所も指定されなかったし、彼のクラスを知らないから、取り敢えず教室で待つことにした。
「チマ、本当に残るの?」
なっちゃんが心配そうに尋ねてきた。彼女からはたけし君に対する嫌悪感が見て取れる。
「うん。どのくらい時間が掛かるかわからないし、先に帰ってて」
「そう……、わかった。気をつけてね」
「なっちゃんもね」
私がなっちゃんに手を振り、別れの挨拶を済ませたところで、たけし君が教室に入ってくるのが目に入った。
彼は人の波を上手にかわし、私を目指して歩いてくる。
途中で珀弥君とすれ違い、一旦足を止めた。何を言ったのかわからないが、珀弥君の顔が僅かに引きつったように見えた。
「よう、神凪。待ちくたびれたぞ」
「しょうがないよ、授業だったんだもん」
「はぁ? 俺に口答えなんて、偉くなったなァ」
「ふふ、そうかも」
そうそう。いつもこんな感じで偉そうにして、結構理不尽だった。
それが懐かしくて、つい笑みがこぼれてしまう。
「なっ、何笑ってんだよっ!」
「ううん。ちょっとね」
何故か狼狽えているたけし君に、再び笑いが込み上げた。
私がこんな返しをしたことが無かったからなのか、珍しく慌てている。
「けっ、変な奴」
たけし君は悪態をつくと、私の手首を握った。
「ん?」
「別のとこ行くぞ。ここはまだ人が残ってるから……」
そう言って私を立たせて引っ張ろうとしたので、慌てて鞄を掴んだ。
教室にはまだ残って雑談をしてる人がいるけど、たけし君はそれが嫌みたい。
「ここじゃ駄目なの?」
「駄目だから移動するんだろうが。さっさと歩けよ」
「うー……」
たけし君は相変わらず強引である。
* * * * * * * *
まだジリジリと日照る帰り道のこと。
「んー? 珀弥ァ、お前最近ピリピリしてね?」
翼はニヤニヤしながら僕に突っかかってくる。楽しんでいるのは判っているので、『別に』と軽くあしらうことにした。
「ふーん。つーか、千真ちゃんさぁ、たけし君と二人っきりにして良かったワケ?」
やはりこのネタでつついてきたか。
たけし君とは千真の初恋の人らしいが、本名は榊明人といい、たけし君と全く掠ってない。
恐らく、どこかのガキ大将的な性格な為、千真が勝手にあだ名を付けたのだろう。
「……千真さん本人が乗り気だったんだから、邪魔は出来ないでしょ」
「あっそ。拗ねてやんの」
「拗ねてねぇよ殴んぞ」
別に、何も感じていない。何も気にする必要がない。
千真が望むなら、こちらが手を出す権利なんて無いんだ。
『ど、どうしよう』
と、戸惑いながら顔を赤くしていた千真。
あれを見たら、介入なんか出来るわけないだろ。彼女が選んだのだから。それに——。
「ん? どした? 怒っちまった?」
黙っている僕に、翼は苦笑いしながら訪ねてきた。別に僕は怒っていない。
「たけし君は知ってるんだよ」
「あ? 何を?」
翼の問いに無視すると、彼は怪訝そうにまた訪ねてくる。
帰り際、たけし君とすれ違った時に耳元で囁かれた言葉。
『よぉ、化け物サン』
「……僕の、正体」
どういうことかは判らないが、彼は僕が普通の人間でないことを見抜いていた。
* * * * * * * *
たけし君に連れられてきた先は、誰もいない薄暗い教室。地理準備室と書いてある。
雰囲気も暗く、気温も何となく冷たい気がした。
わざわざこんな所まで来たということは、よっぽど他の人に聞かれたくない話なのだろう。
たけし君は私を見つめながら、ずっと立ち尽くしている。
「えっと、用事って何かな?」
これでは埒があかないと、彼に訪ねてみたが、ムスッとしたまま私から目を逸らした。
その反応はちょっと傷つきますね。
「たけ——」
「神凪」
私の台詞を遮るように、たけし君が名前を呼んできた。意を決したような、真面目な表情をしている。
「は、はいっ!」
見たことのない彼の表情に、自然と背筋が伸びた。何だろう、少し様子が変だ。
「あの時の事……本当に悪かった」
たけし君は改まって言うと、深々と頭を下げてきた。え、あの時って?
「いやいや! 頭を上げて! あの時ってどの時ですか!?」
私は慌ててたけし君の腕を引っ張り上げ、頭を上げさせようとする。
渋々と頭を上げた彼は、気まずそうに再び目を逸らした。
「あの時ってあれだよ……お前の好きな人が俺だって言われて、はやしたてられた時の……」
たけし君は頬を染めながら、ボソボソと説明する。
「あぁ! 私が見事に玉砕したときのアレだね!」
私は納得し、パンッと軽く手を打ち鳴らした。
今思えば、あれがあってから、たけし君と口をきいていなかったっけ。
よく考えたら、私たちはかなり気まずい関係じゃない?
「ほ、本当に悪かった。言い訳になっちまうけど、あれは周りにはやし立てられたから、ついムキになっちまったんだ」
「うんうん、いいよいいよ。よくあることだし」
「お前、すっげーケロッとしてんな……」
たけし君は驚いた顔をしてから、また真顔に戻る。
「俺、ずっと後悔してた。お前を傷つけたんじゃねーかって……」
「大して古傷にはなってないよ?」
ボロ屋に住んでた時、うっかり蛇口を壊して水が止まらなくなったことがあった。
修繕費と水道代がえげつないことになったが、その時の傷よりかなり浅い。
「あ、そっスか。つーかちょっと空気読んでくれねーかな?」
たけし君は微妙な顔になり、私の頬をぐりぐりと指でつついてきた。
空気を読めということなので、取り敢えず黙ろう。
彼はコホンと咳払いをし、再び真面目な雰囲気を醸し出す。
「一番後悔してんのは、本当の気持ちに嘘をついたことだった」
彼は私の肩を掴み、真っ直ぐと見つめてきた。傍若無人な彼からは想像出来ないほどの誠実な瞳をしている。
私はどうしたらよいかわからず、たじろいでしまう。
「神凪」
「は、はいっ」
たけし君の瞳には、私だけが写り込んでいた。
『今日からこいつはおれの子分だから、こいつをイジメんの禁止な!』
泣いている私を庇うように堂々と立つ男の子。
当時、身よりのないことを馬鹿にされ、それをネタに苛められていた私を救ってくれたのは、彼だった。
皆が憐れみの籠もった目で私を見て、腫れ物を扱うように無理に優しくしてくる中、彼は違った。
ただ一人、私に普通に接してくれて、意地悪をしてきた。
『何で、たけし君は私に構ってくれるの?』
『お前がウジウジしててムカつくからだよ! もっと堂々としろよ、ばーか!』
そして、ぶっきらぼうで口が悪いけれど、彼は私を励ましてくれた。
下を向いていた私に、堂々としろと手を差し伸べてくれた。
彼が奮い立たせてくれたから、今の私は此処にいる。私はちゃんと笑えるんだ。
***
授業を聞きながら思い出すのは、懐かしい記憶。
当時は辛かったり悲しかったりしたことも、今は笑い話に出来る気がする。
「神凪さん、この文章を現代語訳してください」
「あっ、はい。えぇと、何事につけても——」
放課後、たけし君は私に用があるみたいだけれど、何なんだろうなぁ。
せっかくだから、用が終わったら思い出話でもしてみたいな。ちょっと楽しみだ。
でも、珀弥君が『たけし君は千真さんに気がある』って言っていたから、おこがましいけど少し意識してしまうかもしれない。
もう終わった恋だとしても、やっぱり人に好かれるって嬉しいことだから。
ふと、何も言わずに笑っている珀弥君の顔が思い浮かんだ。
彼は笑っているのに、何だか寂しそうにしていた……ように見えた。私の見間違えかどうかはわからない。
でも、何で今、それを思い出したんだろう。
授業が終わり、放課後になった。
皆がぞろぞろと帰る中、私は自分の席に座っている。
たけし君に放課後残れと言われたけど、特に場所も指定されなかったし、彼のクラスを知らないから、取り敢えず教室で待つことにした。
「チマ、本当に残るの?」
なっちゃんが心配そうに尋ねてきた。彼女からはたけし君に対する嫌悪感が見て取れる。
「うん。どのくらい時間が掛かるかわからないし、先に帰ってて」
「そう……、わかった。気をつけてね」
「なっちゃんもね」
私がなっちゃんに手を振り、別れの挨拶を済ませたところで、たけし君が教室に入ってくるのが目に入った。
彼は人の波を上手にかわし、私を目指して歩いてくる。
途中で珀弥君とすれ違い、一旦足を止めた。何を言ったのかわからないが、珀弥君の顔が僅かに引きつったように見えた。
「よう、神凪。待ちくたびれたぞ」
「しょうがないよ、授業だったんだもん」
「はぁ? 俺に口答えなんて、偉くなったなァ」
「ふふ、そうかも」
そうそう。いつもこんな感じで偉そうにして、結構理不尽だった。
それが懐かしくて、つい笑みがこぼれてしまう。
「なっ、何笑ってんだよっ!」
「ううん。ちょっとね」
何故か狼狽えているたけし君に、再び笑いが込み上げた。
私がこんな返しをしたことが無かったからなのか、珍しく慌てている。
「けっ、変な奴」
たけし君は悪態をつくと、私の手首を握った。
「ん?」
「別のとこ行くぞ。ここはまだ人が残ってるから……」
そう言って私を立たせて引っ張ろうとしたので、慌てて鞄を掴んだ。
教室にはまだ残って雑談をしてる人がいるけど、たけし君はそれが嫌みたい。
「ここじゃ駄目なの?」
「駄目だから移動するんだろうが。さっさと歩けよ」
「うー……」
たけし君は相変わらず強引である。
* * * * * * * *
まだジリジリと日照る帰り道のこと。
「んー? 珀弥ァ、お前最近ピリピリしてね?」
翼はニヤニヤしながら僕に突っかかってくる。楽しんでいるのは判っているので、『別に』と軽くあしらうことにした。
「ふーん。つーか、千真ちゃんさぁ、たけし君と二人っきりにして良かったワケ?」
やはりこのネタでつついてきたか。
たけし君とは千真の初恋の人らしいが、本名は榊明人といい、たけし君と全く掠ってない。
恐らく、どこかのガキ大将的な性格な為、千真が勝手にあだ名を付けたのだろう。
「……千真さん本人が乗り気だったんだから、邪魔は出来ないでしょ」
「あっそ。拗ねてやんの」
「拗ねてねぇよ殴んぞ」
別に、何も感じていない。何も気にする必要がない。
千真が望むなら、こちらが手を出す権利なんて無いんだ。
『ど、どうしよう』
と、戸惑いながら顔を赤くしていた千真。
あれを見たら、介入なんか出来るわけないだろ。彼女が選んだのだから。それに——。
「ん? どした? 怒っちまった?」
黙っている僕に、翼は苦笑いしながら訪ねてきた。別に僕は怒っていない。
「たけし君は知ってるんだよ」
「あ? 何を?」
翼の問いに無視すると、彼は怪訝そうにまた訪ねてくる。
帰り際、たけし君とすれ違った時に耳元で囁かれた言葉。
『よぉ、化け物サン』
「……僕の、正体」
どういうことかは判らないが、彼は僕が普通の人間でないことを見抜いていた。
* * * * * * * *
たけし君に連れられてきた先は、誰もいない薄暗い教室。地理準備室と書いてある。
雰囲気も暗く、気温も何となく冷たい気がした。
わざわざこんな所まで来たということは、よっぽど他の人に聞かれたくない話なのだろう。
たけし君は私を見つめながら、ずっと立ち尽くしている。
「えっと、用事って何かな?」
これでは埒があかないと、彼に訪ねてみたが、ムスッとしたまま私から目を逸らした。
その反応はちょっと傷つきますね。
「たけ——」
「神凪」
私の台詞を遮るように、たけし君が名前を呼んできた。意を決したような、真面目な表情をしている。
「は、はいっ!」
見たことのない彼の表情に、自然と背筋が伸びた。何だろう、少し様子が変だ。
「あの時の事……本当に悪かった」
たけし君は改まって言うと、深々と頭を下げてきた。え、あの時って?
「いやいや! 頭を上げて! あの時ってどの時ですか!?」
私は慌ててたけし君の腕を引っ張り上げ、頭を上げさせようとする。
渋々と頭を上げた彼は、気まずそうに再び目を逸らした。
「あの時ってあれだよ……お前の好きな人が俺だって言われて、はやしたてられた時の……」
たけし君は頬を染めながら、ボソボソと説明する。
「あぁ! 私が見事に玉砕したときのアレだね!」
私は納得し、パンッと軽く手を打ち鳴らした。
今思えば、あれがあってから、たけし君と口をきいていなかったっけ。
よく考えたら、私たちはかなり気まずい関係じゃない?
「ほ、本当に悪かった。言い訳になっちまうけど、あれは周りにはやし立てられたから、ついムキになっちまったんだ」
「うんうん、いいよいいよ。よくあることだし」
「お前、すっげーケロッとしてんな……」
たけし君は驚いた顔をしてから、また真顔に戻る。
「俺、ずっと後悔してた。お前を傷つけたんじゃねーかって……」
「大して古傷にはなってないよ?」
ボロ屋に住んでた時、うっかり蛇口を壊して水が止まらなくなったことがあった。
修繕費と水道代がえげつないことになったが、その時の傷よりかなり浅い。
「あ、そっスか。つーかちょっと空気読んでくれねーかな?」
たけし君は微妙な顔になり、私の頬をぐりぐりと指でつついてきた。
空気を読めということなので、取り敢えず黙ろう。
彼はコホンと咳払いをし、再び真面目な雰囲気を醸し出す。
「一番後悔してんのは、本当の気持ちに嘘をついたことだった」
彼は私の肩を掴み、真っ直ぐと見つめてきた。傍若無人な彼からは想像出来ないほどの誠実な瞳をしている。
私はどうしたらよいかわからず、たじろいでしまう。
「神凪」
「は、はいっ」
たけし君の瞳には、私だけが写り込んでいた。
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