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第九章 マスコットが増えるとそれなりに困る
9-3 縮んだ理由
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* * * * * * * *
絶え間なく続く剣戟。
俺は呉羽のわがままに押され、こうして手合わせをしているのだ。
「それっ!」
連続で襲ってくる呉羽の刃、それを受ける俺の刀は小さく震動していた。
彼女の一撃は重さが足りない代わりに、スピードがある。気を抜くと、全身切り刻まれてしまうだろう。
大天狗という種族は神に近いらしく、戦闘力が格段に高い。それは子供に見える呉羽も同じだ。
「ほらほら! 本気でやらないと、殺しちゃうよー?」
殺るか殺られるかの殺伐としている妖怪社会では、これは挨拶のようなものだ。戦闘力が上下関係を決めるなんて、こいつらカタギじゃねぇ。
呉羽は一旦距離を取り、鷲の翼をはためかせた。彼女の翼から放たれた羽根はクナイのように鋭く尖り、俺めがけて直進する。
俺はそれを避け、回避しきれなかった一部を刀で叩き落とした。
「おわっ!」
避けた分の羽根は、端っこで観戦していた翼のところへ行ったらしい。
「おい、あぶねーぞ!」
んな所にいるオメーが悪い。
そんなことを思いながら、背後から迫ってきた刃を中指と人差し指で挟んで止めた。
「よく気付いたね!」
元気な少女の声は嬉々としている。
その瞬間、羽根を飛ばしてきた偽物は数羽の鷲になって飛んでいった。
「慣れてるからな」
うちの狐がよくやる手口だ。
「さっすが!」
不意に刃の圧力が低くなったのを感じた。
それは彼女が刀から手を離したからだと気付いた時には——。
「ふっふーん、呉羽の勝ちー」
「いや、俺の勝ち」
呉羽は今まで隠していたのであろう短刀を、俺は刀をお互いの喉元に突き付けていた。
「はいはい、間を取ってオレの勝ちな」
「あ?」
馬鹿なことを言い出した翼に、俺と呉羽はシンクロする。自分で言うのもアレだが、ガラが悪い。
一回顔を見合わせると、頷き合って翼に向き直った。
「え? な、何スカ? 何でそんなに笑ってるんスカ?」
何かを察したのか、翼の顔が引きつってきた。
「うるせぇウッカリカサゴ」
「おにい覚悟!」
「ちょ、待て、いーやー!」
*
「もぉ~、冗談キツいぜー?」
翼は脱臼した肩を無理矢理戻すと、『うぉっつぁー!』と叫び声を上げた。馬鹿だろ。
「先に冗談を言ったのはどっちだ」
「オレだな」
野郎は頷くと、立ち上がった。
「ちぃと茶でも淹れてくるわ」
「……お前、絶対変なもの調合するだろ」
「何故わかった!」
「昨日の仕返しは、これしかないだろ?」
奴はあっけらかんとしているが、やられたら必ずやり返すタイプだ。
「お前頭良いな」
普通に考えりゃ誰でもわかるわ。
「失礼致します」
女性の声が聞こえ、部屋の襖がスッと開く。すると女中が盆に茶を載せて入ってきた。
茶を受け取って礼を言うと、女中は一礼して部屋を出ていく。
「そもそも、お前が茶を淹れる必要無かったじゃねーか」
「く、バレたか」
なに『しまった!』って顔してんだ、このお坊っちゃんが。
俺は翼を尻目に、茶を啜りながら部屋を見回した。棚いっぱいに、古びた巻き物や書物、外国の文献が並んでいる。
翼はチャラい外見とは裏腹に、勉強熱心なのだ。主に人間について。だからなのかは知らないが、彼は人間に友好的だ。
実に変わった妖怪である。
「なーにヒトの部屋じろじろ見てんの?」
「別に」
俺は茶を置くと、翼に視線を戻した。奴は嫌そうな声の割には、さほど気にしてないような表情をしている。
「……早く元の姿に戻りたいんだけど」
そう、俺はこれが目的でここに来——。
「あ、そうだったな!」
「忘れんなよ。鳥頭かテメェは!」
「悪ィ悪ィ、忘れてた訳じゃねーんだぜ?」
「どうだか」
現在、俺は翼の背中に乗り、野郎の頭を踏みつけている。メリメリと圧力をかけたところで、『ギブ、ギブ!』と情けない悲鳴が上がった。
俺は(性格的な意味で)鬼じゃないので、鴉天狗から降りる。翼はすかさず飛び起き、どこから取り出したのか、一匹のカマドウマをつまんで俺に近づいてきた。
「暴力反対! 乱暴いくない!」
「わかった、わかった。だから、そのカマドウマを今すぐ外に捨てろください」
「どうしよっかなぁー?」
俺は両手を上げ、無抵抗のポーズを取る。それに気を良くしたのか、奴はニヤリと悪い笑顔。
「お前、御中元に生サバを大量に送り付けるからな」
「何それこわい」
翼は顔を蒼くし、サッと身を退いた。ちなみに奴はサバが嫌いだ。
「と、取り敢えず、座ろうぜ? 元の姿に戻る方法教えるからよ」
「わかった」
俺たちは一時休戦し、座布団の上に胡坐をかいた。
翼はカッと目を開くと、俺を指さす。人を指さすな。
「珀弥、いや、白鬼! 修行だ!」
ででどん。
いや、何? 修行? キラキラしてんじゃねぇ、うぜぇ。
「説明を求める」
「あいよ」
翼は茶を一口飲むと、茶請けに湯飲みを置いた。
「お前が小さくなった原因は、ズバリ『力の封印』だ」
「力の封印」
「妖怪がガキの姿になる理由は変化を除けば、主に二つある。一つは、妖力を封印『されている』奴」
翼は人差し指を立てた。
「もう一つは、自分で妖力を封印『している』奴だ。お前は前者ね」
次に中指を一旦立て、すぐに折り、そして人差し指で俺をさしてきた。だからいちいち指さすな。
「俺の力が封印されているっていうのか?」
「そ。まずはお前ン家のことから説明しなきゃな」
神社に何かあるのだろう。翼はコホンと咳払いをした。
「お前ン家は元々、鬼を『祀る』ためじゃなくて、『封印』するための神社のようだ。あの神社全体に、強力な封印が施されている」
翼が『ここまでよろしい?』と確認してきた為、相槌を打った。
「封印で抑えつけられてるから、天は子供の姿ってことなんだよな?」
「そーゆーこと。で、神社の封印はちょっと面倒くさいのよ」
奴は『こっからはオレの完全な推測な』と前置きをし、また言葉を続けた。
「お前ン家は、妖力の弱い妖怪は侵入できねぇ。強い妖怪は侵入できても、力が抑えられる。少なくとも、オレが見てきた中では皆そうだ」
完全に侵入者をガード出来ているわけではないが、一応は神域だ。大体翼の言う通りだろう。
神社の中は天と狐珱を除くと、あとは付喪神や子供の浮遊霊がそこら辺を徘徊しているくらいだ。
そいつらは侵入者でなく、中で生まれたからノーカンなのだろう。うーん、ゆるい。
「オレみたいに妖力を程よくセーブしてる妖怪は、割とスムーズに入れるんよ」
うちのセキュリティ、ザルどころじゃなかった。
「ところがどっこい、そんなにザルでもねーのよ?」
翼は指を左右に振り、チッチッチと得意顔になる。うっぜぇ。
「お前の家の結界って結構シビアでねぇ。弱くもなく強くもない、侵入できる『中間点』の許容範囲が狭いのよ。だから、力を精密にセーブしなきゃいけねぇんだ」
ちょっとした匙加減で、対妖怪オートロックか力の封印になるのか。
「話をまとめると、俺は力を持ち過ぎて封印された。だから、妖力をコントロールする術を会得しなきゃならねぇ、ってことだな」
「そゆこと」
これが、くどくどしい説明の結論か。
翼は俺の見解に賛同するように頷いた。あっさりした反応である。最初からそう言えよ。
「じゃあ、早速……」
「その前に」
翼は俺の台詞に被せるように口を挟んだ。
「覚悟してもらいたいことがある。元の姿に戻りたいならな」
奴の声音からはおちゃらけた雰囲気が消え失せていた。
絶え間なく続く剣戟。
俺は呉羽のわがままに押され、こうして手合わせをしているのだ。
「それっ!」
連続で襲ってくる呉羽の刃、それを受ける俺の刀は小さく震動していた。
彼女の一撃は重さが足りない代わりに、スピードがある。気を抜くと、全身切り刻まれてしまうだろう。
大天狗という種族は神に近いらしく、戦闘力が格段に高い。それは子供に見える呉羽も同じだ。
「ほらほら! 本気でやらないと、殺しちゃうよー?」
殺るか殺られるかの殺伐としている妖怪社会では、これは挨拶のようなものだ。戦闘力が上下関係を決めるなんて、こいつらカタギじゃねぇ。
呉羽は一旦距離を取り、鷲の翼をはためかせた。彼女の翼から放たれた羽根はクナイのように鋭く尖り、俺めがけて直進する。
俺はそれを避け、回避しきれなかった一部を刀で叩き落とした。
「おわっ!」
避けた分の羽根は、端っこで観戦していた翼のところへ行ったらしい。
「おい、あぶねーぞ!」
んな所にいるオメーが悪い。
そんなことを思いながら、背後から迫ってきた刃を中指と人差し指で挟んで止めた。
「よく気付いたね!」
元気な少女の声は嬉々としている。
その瞬間、羽根を飛ばしてきた偽物は数羽の鷲になって飛んでいった。
「慣れてるからな」
うちの狐がよくやる手口だ。
「さっすが!」
不意に刃の圧力が低くなったのを感じた。
それは彼女が刀から手を離したからだと気付いた時には——。
「ふっふーん、呉羽の勝ちー」
「いや、俺の勝ち」
呉羽は今まで隠していたのであろう短刀を、俺は刀をお互いの喉元に突き付けていた。
「はいはい、間を取ってオレの勝ちな」
「あ?」
馬鹿なことを言い出した翼に、俺と呉羽はシンクロする。自分で言うのもアレだが、ガラが悪い。
一回顔を見合わせると、頷き合って翼に向き直った。
「え? な、何スカ? 何でそんなに笑ってるんスカ?」
何かを察したのか、翼の顔が引きつってきた。
「うるせぇウッカリカサゴ」
「おにい覚悟!」
「ちょ、待て、いーやー!」
*
「もぉ~、冗談キツいぜー?」
翼は脱臼した肩を無理矢理戻すと、『うぉっつぁー!』と叫び声を上げた。馬鹿だろ。
「先に冗談を言ったのはどっちだ」
「オレだな」
野郎は頷くと、立ち上がった。
「ちぃと茶でも淹れてくるわ」
「……お前、絶対変なもの調合するだろ」
「何故わかった!」
「昨日の仕返しは、これしかないだろ?」
奴はあっけらかんとしているが、やられたら必ずやり返すタイプだ。
「お前頭良いな」
普通に考えりゃ誰でもわかるわ。
「失礼致します」
女性の声が聞こえ、部屋の襖がスッと開く。すると女中が盆に茶を載せて入ってきた。
茶を受け取って礼を言うと、女中は一礼して部屋を出ていく。
「そもそも、お前が茶を淹れる必要無かったじゃねーか」
「く、バレたか」
なに『しまった!』って顔してんだ、このお坊っちゃんが。
俺は翼を尻目に、茶を啜りながら部屋を見回した。棚いっぱいに、古びた巻き物や書物、外国の文献が並んでいる。
翼はチャラい外見とは裏腹に、勉強熱心なのだ。主に人間について。だからなのかは知らないが、彼は人間に友好的だ。
実に変わった妖怪である。
「なーにヒトの部屋じろじろ見てんの?」
「別に」
俺は茶を置くと、翼に視線を戻した。奴は嫌そうな声の割には、さほど気にしてないような表情をしている。
「……早く元の姿に戻りたいんだけど」
そう、俺はこれが目的でここに来——。
「あ、そうだったな!」
「忘れんなよ。鳥頭かテメェは!」
「悪ィ悪ィ、忘れてた訳じゃねーんだぜ?」
「どうだか」
現在、俺は翼の背中に乗り、野郎の頭を踏みつけている。メリメリと圧力をかけたところで、『ギブ、ギブ!』と情けない悲鳴が上がった。
俺は(性格的な意味で)鬼じゃないので、鴉天狗から降りる。翼はすかさず飛び起き、どこから取り出したのか、一匹のカマドウマをつまんで俺に近づいてきた。
「暴力反対! 乱暴いくない!」
「わかった、わかった。だから、そのカマドウマを今すぐ外に捨てろください」
「どうしよっかなぁー?」
俺は両手を上げ、無抵抗のポーズを取る。それに気を良くしたのか、奴はニヤリと悪い笑顔。
「お前、御中元に生サバを大量に送り付けるからな」
「何それこわい」
翼は顔を蒼くし、サッと身を退いた。ちなみに奴はサバが嫌いだ。
「と、取り敢えず、座ろうぜ? 元の姿に戻る方法教えるからよ」
「わかった」
俺たちは一時休戦し、座布団の上に胡坐をかいた。
翼はカッと目を開くと、俺を指さす。人を指さすな。
「珀弥、いや、白鬼! 修行だ!」
ででどん。
いや、何? 修行? キラキラしてんじゃねぇ、うぜぇ。
「説明を求める」
「あいよ」
翼は茶を一口飲むと、茶請けに湯飲みを置いた。
「お前が小さくなった原因は、ズバリ『力の封印』だ」
「力の封印」
「妖怪がガキの姿になる理由は変化を除けば、主に二つある。一つは、妖力を封印『されている』奴」
翼は人差し指を立てた。
「もう一つは、自分で妖力を封印『している』奴だ。お前は前者ね」
次に中指を一旦立て、すぐに折り、そして人差し指で俺をさしてきた。だからいちいち指さすな。
「俺の力が封印されているっていうのか?」
「そ。まずはお前ン家のことから説明しなきゃな」
神社に何かあるのだろう。翼はコホンと咳払いをした。
「お前ン家は元々、鬼を『祀る』ためじゃなくて、『封印』するための神社のようだ。あの神社全体に、強力な封印が施されている」
翼が『ここまでよろしい?』と確認してきた為、相槌を打った。
「封印で抑えつけられてるから、天は子供の姿ってことなんだよな?」
「そーゆーこと。で、神社の封印はちょっと面倒くさいのよ」
奴は『こっからはオレの完全な推測な』と前置きをし、また言葉を続けた。
「お前ン家は、妖力の弱い妖怪は侵入できねぇ。強い妖怪は侵入できても、力が抑えられる。少なくとも、オレが見てきた中では皆そうだ」
完全に侵入者をガード出来ているわけではないが、一応は神域だ。大体翼の言う通りだろう。
神社の中は天と狐珱を除くと、あとは付喪神や子供の浮遊霊がそこら辺を徘徊しているくらいだ。
そいつらは侵入者でなく、中で生まれたからノーカンなのだろう。うーん、ゆるい。
「オレみたいに妖力を程よくセーブしてる妖怪は、割とスムーズに入れるんよ」
うちのセキュリティ、ザルどころじゃなかった。
「ところがどっこい、そんなにザルでもねーのよ?」
翼は指を左右に振り、チッチッチと得意顔になる。うっぜぇ。
「お前の家の結界って結構シビアでねぇ。弱くもなく強くもない、侵入できる『中間点』の許容範囲が狭いのよ。だから、力を精密にセーブしなきゃいけねぇんだ」
ちょっとした匙加減で、対妖怪オートロックか力の封印になるのか。
「話をまとめると、俺は力を持ち過ぎて封印された。だから、妖力をコントロールする術を会得しなきゃならねぇ、ってことだな」
「そゆこと」
これが、くどくどしい説明の結論か。
翼は俺の見解に賛同するように頷いた。あっさりした反応である。最初からそう言えよ。
「じゃあ、早速……」
「その前に」
翼は俺の台詞に被せるように口を挟んだ。
「覚悟してもらいたいことがある。元の姿に戻りたいならな」
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