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第一章 ホームレスな私ですが
1-6 ホームレスだった私ですが
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手が離れた直後、金属のぶつかる凄まじい音が耳を貫いた。一撃、二撃。ぶつかって、弾き合う。
時代劇で聞いたことがある。刃と刃を交える音だ。
つまり、近くに物騒なものを振り回している輩がいるってこと? 片方は多分さっきの化け物だと思うけど、もう一方は?
「小僧ごときが邪魔をするな!」
化け物のおぞましい声音と共に、ガンと重々しい音が鳴り響く。
「虫けらごときが喚くな」
冷たく低い声と、金属を弾く音が聞こえた。この人誰? 珀弥さんはどこ行っちゃったの? 一瞬で行方不明すか? まさかのエスケープすか!
「小癪な! まずは貴様から食ろうてやるわ!!」
また金属がぶつかり合う重い音。
とても耳障りだ。何ヘルツであろうか、これもキィンと頭に響く音。カマキリのカナギリ声に驚いて、私は思わず目を開けてしまった。
目の前には、白銀の長髪の男の背中。よく見ると、刀を持っている。そして彼はカマキリと鍔迫り合いを行っていたのだ。お爺さん? いや、違う。若い男の人だ。
彼は何も言わず、鎌を押し返すように刀を振った。
「ぐっ!」
化け物は吹っ飛ばされ、宙を舞う。男はそれを見逃さないと言わんばかりに地面を蹴り、化け物に縦一直線の一太刀を喰らわせた。
化け物は奇麗に真っ二つに両断され、奇妙な色の体液を飛び散らしながら地面に落ちる。
呆気ない終焉である。男もワンテンポ遅れて地面に着地すると、刀を横に振って鞘に収めた。
「目を瞑ってろって言ったよな?」
軽い金属音が鳴った後、彼は振り返らずにひどく冷たい声音で言い放った。いや、知らない。この人に指図された覚えはない。
「失礼ですが、あなたは誰ですか?」
いけない、少し苛々した口調で聞いてしまった。
「……ゑ?」
彼は歴史的仮名遣いで、少し間の抜けた返答をし、私の方へ振り向いた。
釣り気味の目は、獣のような琥珀色。雰囲気が鬼のように怖い。顔をしかめ、信じられないと言うような表情をしている。
「な、何ですか?」
「お前、あの流れでわからないのか?」
「わかりませんよ。初対面だもの」
そう返答すると、彼は私から目を逸らして一時思案顔になり、またこっちを見た。
「よしわかった、また目を瞑れ」
「は!?」
「いいから目蓋降ろせっつってんだよオラ」
もたもたしている私に苛立ったのか、彼は不機嫌そうに眉間にしわを寄せ、一段と低い声で語気を強めた。
「はいっ」
私は彼の持つ鬼の気迫に圧され、目蓋を閉じた。
何だか彼にはヤンキーと近いものを感じる。いや、ヤンキーに違いない。ちょっと調子こいてロン毛にして色抜いちゃったんだ。
一回足音が遠ざかるのが聞こえ、また戻ってきた。
「神凪さん」
今度は柔らかい声音が聞こえ、私はそっと目蓋を上げた。
「は、珀弥さん!」
目の前に立っているのは白髪のヤンキーじゃない、黒髪の珀弥さんだった。私は安心して、思わず彼に飛び付いた。腕を回せるくらいの、良いあんばいの腰の細さだ。
「もう、心配かけてぇこのどら息子! どこ行ってたの!! またお隣の佐藤さんとこのミノル君苛めてたの!?」
「うっせぇなクソババァ! ところでミノル君って誰?」
「クソババァ……? お母さんに向かってクソババァって何よ!」
「何か文句あんのかよ!」
「あの、何かすみません」
コントが白熱してきたところで、とりあえず私は予想以上にノッてくれた珀弥さんに頭を下げた。が、未だに抱き付いている状態な故、彼の胸に顔を埋める形になった。
「こちらこそ無駄にノッてすいません」
「お主らは阿呆か?」
ここでいつの間にか居た狐珱君に突っ込まれた。私はそそくさと珀弥さんから離れる。
「あ、そうそう。珀弥さん、白くて長い髪の男に会いませんでした?」
「ゑっ? いや、そんな人はいませんでしたよ」
どさくさに紛れて訊けなかったけど、先程のヤンキーについて質問してみた。珀弥さんはにこにこしながら答えてくれたが、声は若干裏返っている。
「よかったぁ。刀を持ってた人だったから、珀弥さんに何かあったらと思って」
私はホッと胸を撫で下ろした。あんな銃刀法違反者に彼が襲われたら、即刻三途リバー逝っちゃうよ絶対。
「ご、ご心配いただきありがとうございます」
彼は明後日の方向を見て、乾いた笑い声を上げた。先程から様子がおかしいが、どうしたのだろう。
狐珱君はそんな珀弥さんをジト目で見つめていた。
「さて、帰りましょうか」
珀弥さんは神社が建っているであろう方を向き、そして私に視線を戻す。
「え?」
「アパートとか、何も無かったでしょう?」
彼は苦笑しながら軽くそんなことを言いやがりましたね。もしや……。
「最初からわかってたんですか!?」
「……本当にすみません、説明不足でした……」
珀弥さんは、本当に申し訳なさそうに頭を深々と下げた。
「馬鹿ああ!」
「ごめんて!!」
「もう、突っ込まぬからの」
狐珱君は大あくびをして、頭にとまった小鳥と戯れた。
何だかんだで、私は神社に居候することになったのであった。……簡単に決心ねじ曲げたなって? 細けぇこたぁきにすんな。
* * * * * * * *
客人が寝付いた後、珀弥と狐珱は本殿に集まっていた。重い空気がこの場を満たす。
「珀弥、千真は……あの娘なのか?」
狐珱は神妙な顔で珀弥を見据えた。
「はて、何のことやら」
「とぼけるな」
笑顔で躱そうとする珀弥を狐珱は逃がさなかった。
珀弥は観念したように居住まいを正す。
「彼女は確かに、あの千真だったよ。恐ろしいほど変わっていなかった。……ある一点を除いてはだけど」
彼は静かに狐珱から視線を逸らした。その目は気の毒な程、淋しげだ。
「ほぅ、やはりの」
答え合わせは大正解。狐珱は満足げに頷き、にやりとした。彼は淋しげな珀弥に同情する気など、微塵もないのだろう。
「じゃが、何故ここに来たのじゃ?」
「さぁ」
珀弥はわからないと首を振った。これに関してはとぼける気は無さそうだ。狐珱は少し唸り、真っ直ぐと珀弥を見据えた。
「まぁ……あやつが来たのは偶然か必然かわからん。じゃが、身の振り方はしっかり考えるのじゃよ」
その力強い声は、真剣そのもの。狐珱は狐珱なりに、珀弥のことを案じているのだ。
珀弥はいつものように優しげな笑みを顔に貼りつけた。
「言われなくとも。……僕は珀弥だからね」
穏やかな口調だが、その中に強い意志が感じられる。そして傍らに置いてある刀を持ち、立ち上がった。
「ちょっと散歩してくる」
途端に珀弥の黒い髪はみるみるうちに色を失い、更に腰まで長く伸びた。たれ気味の緑色の目は、琥珀色の鋭いつり目になる。彼は変化を終えると、狐珱と私に背を向けた。
「ほう、見回りとは精が出るのう。白鬼」
「ここはセキュリティがザルだからな」
狐珱の言葉に、珀弥は振り向かずに手をひらひらと振り、本殿を出ていった。
*
「珀蓮。お主、一言も喋らなかったの」
狐珱は私をちらりと見た。
「うふふ、なれーしょんに夢中だったもので」
語り部とは面白いものなのです。
「お主、横文字を使うようになったな」
「時代は『はいから』ですよ」
「どうだか」
時代劇で聞いたことがある。刃と刃を交える音だ。
つまり、近くに物騒なものを振り回している輩がいるってこと? 片方は多分さっきの化け物だと思うけど、もう一方は?
「小僧ごときが邪魔をするな!」
化け物のおぞましい声音と共に、ガンと重々しい音が鳴り響く。
「虫けらごときが喚くな」
冷たく低い声と、金属を弾く音が聞こえた。この人誰? 珀弥さんはどこ行っちゃったの? 一瞬で行方不明すか? まさかのエスケープすか!
「小癪な! まずは貴様から食ろうてやるわ!!」
また金属がぶつかり合う重い音。
とても耳障りだ。何ヘルツであろうか、これもキィンと頭に響く音。カマキリのカナギリ声に驚いて、私は思わず目を開けてしまった。
目の前には、白銀の長髪の男の背中。よく見ると、刀を持っている。そして彼はカマキリと鍔迫り合いを行っていたのだ。お爺さん? いや、違う。若い男の人だ。
彼は何も言わず、鎌を押し返すように刀を振った。
「ぐっ!」
化け物は吹っ飛ばされ、宙を舞う。男はそれを見逃さないと言わんばかりに地面を蹴り、化け物に縦一直線の一太刀を喰らわせた。
化け物は奇麗に真っ二つに両断され、奇妙な色の体液を飛び散らしながら地面に落ちる。
呆気ない終焉である。男もワンテンポ遅れて地面に着地すると、刀を横に振って鞘に収めた。
「目を瞑ってろって言ったよな?」
軽い金属音が鳴った後、彼は振り返らずにひどく冷たい声音で言い放った。いや、知らない。この人に指図された覚えはない。
「失礼ですが、あなたは誰ですか?」
いけない、少し苛々した口調で聞いてしまった。
「……ゑ?」
彼は歴史的仮名遣いで、少し間の抜けた返答をし、私の方へ振り向いた。
釣り気味の目は、獣のような琥珀色。雰囲気が鬼のように怖い。顔をしかめ、信じられないと言うような表情をしている。
「な、何ですか?」
「お前、あの流れでわからないのか?」
「わかりませんよ。初対面だもの」
そう返答すると、彼は私から目を逸らして一時思案顔になり、またこっちを見た。
「よしわかった、また目を瞑れ」
「は!?」
「いいから目蓋降ろせっつってんだよオラ」
もたもたしている私に苛立ったのか、彼は不機嫌そうに眉間にしわを寄せ、一段と低い声で語気を強めた。
「はいっ」
私は彼の持つ鬼の気迫に圧され、目蓋を閉じた。
何だか彼にはヤンキーと近いものを感じる。いや、ヤンキーに違いない。ちょっと調子こいてロン毛にして色抜いちゃったんだ。
一回足音が遠ざかるのが聞こえ、また戻ってきた。
「神凪さん」
今度は柔らかい声音が聞こえ、私はそっと目蓋を上げた。
「は、珀弥さん!」
目の前に立っているのは白髪のヤンキーじゃない、黒髪の珀弥さんだった。私は安心して、思わず彼に飛び付いた。腕を回せるくらいの、良いあんばいの腰の細さだ。
「もう、心配かけてぇこのどら息子! どこ行ってたの!! またお隣の佐藤さんとこのミノル君苛めてたの!?」
「うっせぇなクソババァ! ところでミノル君って誰?」
「クソババァ……? お母さんに向かってクソババァって何よ!」
「何か文句あんのかよ!」
「あの、何かすみません」
コントが白熱してきたところで、とりあえず私は予想以上にノッてくれた珀弥さんに頭を下げた。が、未だに抱き付いている状態な故、彼の胸に顔を埋める形になった。
「こちらこそ無駄にノッてすいません」
「お主らは阿呆か?」
ここでいつの間にか居た狐珱君に突っ込まれた。私はそそくさと珀弥さんから離れる。
「あ、そうそう。珀弥さん、白くて長い髪の男に会いませんでした?」
「ゑっ? いや、そんな人はいませんでしたよ」
どさくさに紛れて訊けなかったけど、先程のヤンキーについて質問してみた。珀弥さんはにこにこしながら答えてくれたが、声は若干裏返っている。
「よかったぁ。刀を持ってた人だったから、珀弥さんに何かあったらと思って」
私はホッと胸を撫で下ろした。あんな銃刀法違反者に彼が襲われたら、即刻三途リバー逝っちゃうよ絶対。
「ご、ご心配いただきありがとうございます」
彼は明後日の方向を見て、乾いた笑い声を上げた。先程から様子がおかしいが、どうしたのだろう。
狐珱君はそんな珀弥さんをジト目で見つめていた。
「さて、帰りましょうか」
珀弥さんは神社が建っているであろう方を向き、そして私に視線を戻す。
「え?」
「アパートとか、何も無かったでしょう?」
彼は苦笑しながら軽くそんなことを言いやがりましたね。もしや……。
「最初からわかってたんですか!?」
「……本当にすみません、説明不足でした……」
珀弥さんは、本当に申し訳なさそうに頭を深々と下げた。
「馬鹿ああ!」
「ごめんて!!」
「もう、突っ込まぬからの」
狐珱君は大あくびをして、頭にとまった小鳥と戯れた。
何だかんだで、私は神社に居候することになったのであった。……簡単に決心ねじ曲げたなって? 細けぇこたぁきにすんな。
* * * * * * * *
客人が寝付いた後、珀弥と狐珱は本殿に集まっていた。重い空気がこの場を満たす。
「珀弥、千真は……あの娘なのか?」
狐珱は神妙な顔で珀弥を見据えた。
「はて、何のことやら」
「とぼけるな」
笑顔で躱そうとする珀弥を狐珱は逃がさなかった。
珀弥は観念したように居住まいを正す。
「彼女は確かに、あの千真だったよ。恐ろしいほど変わっていなかった。……ある一点を除いてはだけど」
彼は静かに狐珱から視線を逸らした。その目は気の毒な程、淋しげだ。
「ほぅ、やはりの」
答え合わせは大正解。狐珱は満足げに頷き、にやりとした。彼は淋しげな珀弥に同情する気など、微塵もないのだろう。
「じゃが、何故ここに来たのじゃ?」
「さぁ」
珀弥はわからないと首を振った。これに関してはとぼける気は無さそうだ。狐珱は少し唸り、真っ直ぐと珀弥を見据えた。
「まぁ……あやつが来たのは偶然か必然かわからん。じゃが、身の振り方はしっかり考えるのじゃよ」
その力強い声は、真剣そのもの。狐珱は狐珱なりに、珀弥のことを案じているのだ。
珀弥はいつものように優しげな笑みを顔に貼りつけた。
「言われなくとも。……僕は珀弥だからね」
穏やかな口調だが、その中に強い意志が感じられる。そして傍らに置いてある刀を持ち、立ち上がった。
「ちょっと散歩してくる」
途端に珀弥の黒い髪はみるみるうちに色を失い、更に腰まで長く伸びた。たれ気味の緑色の目は、琥珀色の鋭いつり目になる。彼は変化を終えると、狐珱と私に背を向けた。
「ほう、見回りとは精が出るのう。白鬼」
「ここはセキュリティがザルだからな」
狐珱の言葉に、珀弥は振り向かずに手をひらひらと振り、本殿を出ていった。
*
「珀蓮。お主、一言も喋らなかったの」
狐珱は私をちらりと見た。
「うふふ、なれーしょんに夢中だったもので」
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