1 / 5
本編
1話 卒業パーティー
しおりを挟む
ざわざわと貴族達が立ち話をしている。私もその中の1人だ。今話している彼女達を友達と呼んで良いのかはわからないが、ある程度は仲良くさせてもらっている。
ここは卒業パーティーの会場だ。卒業パーティーというのはこの国の高等学園に通う、いや、通っていた私達の卒業を祝うパーティーだ。この国には初等、中等、高等と学園があって、6歳になる歳から通う初等学園までは皆通うことが義務付けられている。それぞれ4年ずつ通うのだが、普通の人は初等、ある程度お金を持っている人は中等、そして私達貴族や王族は高等まで通うのが普通とされている。昨日、私達は高等学園を卒業した。今日はそれを祝うためにたくさんの人が学校にある会場に集められていた。そこにいるのは教師達や生徒だった人達のみだが、学園を卒業した以上、私達も一人前として見られている。言動には気をつけないと。
「そういえば、ソフィア様。ルーカス王子はどうされました。お2人は婚約関係にあるのですから、てっきりソフィア様のエスコートはルーカス様がなされるものかと……」
私を取り囲むうちの1人が首を傾げてそう言った。周りにいた他の令嬢達の表情が固くなる。そう言えば、彼女は空気が読めないと有名だ。
ルーカス王子。彼はこの国の第一王子で、王太子になるとされている人でもある。そして私の婚約者だ。小さい頃から身分上顔を合わせることが多かった私達は初恋の末に婚約した。まあ、婚約といっても2人の間でのみ交わされたただの約束だが。この世界には政略結婚などというものは存在せず、王様であっても相手の身分に関係なく恋愛結婚が認められている。子供を残すために貴族や王族は一夫多妻制ではあるが。今年で17歳になった私達。この国では17歳から結婚が認められていて、私とルーカス様は明日結婚式を挙げることが決まっている。
そんな王子が大切にしているはずの婚約者である私がエスコートもなしに1人きりでいるのにはもちろんわけがある。今は彼女達に話すことはできないが、すぐに彼女達は自身の目で、耳で確認することになるだろう。
一瞬辺りのざわめきが収まったかと思うと、またすぐに小さな声で話す声が聞こえてきた。彼らが来たのだろう。私はそれ合図に時が来たことを察した。皆の目線の先には、もちろん。
ここは卒業パーティーの会場だ。卒業パーティーというのはこの国の高等学園に通う、いや、通っていた私達の卒業を祝うパーティーだ。この国には初等、中等、高等と学園があって、6歳になる歳から通う初等学園までは皆通うことが義務付けられている。それぞれ4年ずつ通うのだが、普通の人は初等、ある程度お金を持っている人は中等、そして私達貴族や王族は高等まで通うのが普通とされている。昨日、私達は高等学園を卒業した。今日はそれを祝うためにたくさんの人が学校にある会場に集められていた。そこにいるのは教師達や生徒だった人達のみだが、学園を卒業した以上、私達も一人前として見られている。言動には気をつけないと。
「そういえば、ソフィア様。ルーカス王子はどうされました。お2人は婚約関係にあるのですから、てっきりソフィア様のエスコートはルーカス様がなされるものかと……」
私を取り囲むうちの1人が首を傾げてそう言った。周りにいた他の令嬢達の表情が固くなる。そう言えば、彼女は空気が読めないと有名だ。
ルーカス王子。彼はこの国の第一王子で、王太子になるとされている人でもある。そして私の婚約者だ。小さい頃から身分上顔を合わせることが多かった私達は初恋の末に婚約した。まあ、婚約といっても2人の間でのみ交わされたただの約束だが。この世界には政略結婚などというものは存在せず、王様であっても相手の身分に関係なく恋愛結婚が認められている。子供を残すために貴族や王族は一夫多妻制ではあるが。今年で17歳になった私達。この国では17歳から結婚が認められていて、私とルーカス様は明日結婚式を挙げることが決まっている。
そんな王子が大切にしているはずの婚約者である私がエスコートもなしに1人きりでいるのにはもちろんわけがある。今は彼女達に話すことはできないが、すぐに彼女達は自身の目で、耳で確認することになるだろう。
一瞬辺りのざわめきが収まったかと思うと、またすぐに小さな声で話す声が聞こえてきた。彼らが来たのだろう。私はそれ合図に時が来たことを察した。皆の目線の先には、もちろん。
34
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
追放された令嬢は英雄となって帰還する
影茸
恋愛
代々聖女を輩出して来た家系、リースブルク家。
だがその1人娘であるラストは聖女と認められるだけの才能が無く、彼女は冤罪を被せられ、婚約者である王子にも婚約破棄されて国を追放されることになる。
ーーー そしてその時彼女はその国で唯一自分を助けようとしてくれた青年に恋をした。
そしてそれから数年後、最強と呼ばれる魔女に弟子入りして英雄と呼ばれるようになったラストは、恋心を胸に国へと帰還する……
※この作品は最初のプロローグだけを現段階だけで短編として投稿する予定です!
帰還した聖女と王子の婚約破棄騒動
しがついつか
恋愛
聖女は激怒した。
国中の瘴気を中和する偉業を成し遂げた聖女を労うパーティで、王子が婚約破棄をしたからだ。
「あなた、婚約者がいたの?」
「あ、あぁ。だが、婚約は破棄するし…」
「最っ低!」
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
とっても短い婚約破棄
桧山 紗綺
恋愛
久しぶりに学園の門を潜ったらいきなり婚約破棄を切り出された。
「そもそも婚約ってなんのこと?」
***タイトル通りとても短いです。
※「小説を読もう」に載せていたものをこちらでも投稿始めました。
舞台装置は壊れました。
ひづき
恋愛
公爵令嬢は予定通り婚約者から破棄を言い渡された。
婚約者の隣に平民上がりの聖女がいることも予定通り。
『お前は未来の国王と王妃を舞台に押し上げるための装置に過ぎん。それをゆめゆめ忘れるな』
全てはセイレーンの父と王妃の書いた台本の筋書き通り───
※一部過激な単語や設定があるため、R15(保険)とさせて頂きます
2020/10/30
お気に入り登録者数50超え、ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
2020/11/08
舞台装置は壊れました。の続編に当たる『不確定要素は壊れました。』を公開したので、そちらも宜しくお願いします。
石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど
ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。
でも私は石の聖女。
石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。
幼馴染の従者も一緒だし。
みんなで追放令嬢を監視しよう!
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
王太子ジョージは、太陽神殿が聖別した魔封の聖女メグを虐めた罪で、婚約者の公爵令嬢オリビアを処刑しようとした。だが父王と重臣達の反対で追放刑に止めることになった。聖女メグに恋する王太子ジョージと若者世代は、オリビアを恐れる聖女メグを安心させるため、重臣達と遠見の鏡でオリビアを監視し、その罪を明らかにして処刑しようとする
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる