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4話 私、幸せよ

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 そうして今に至る訳なのだが、私達は泣きそうな勢いで互いを見つめていた。今までは手紙で計画を進めていたので、実際に会うのは初めてなのだ。
「本当に悪役令嬢オリビアになったんだな、美華」
まじまじと私を見つめる優希。確かに、あって互いのことを確かめるまでは信じられなかった。でも、貴方の方こそ、人間でさえなくなってるじゃない。
「あら、綺麗でしょ」
冗談でそう言ったつもりだったのだが、優希はすっかり焦って私の手を掴んでいつものように笑う。
「美華はいつだって綺麗だよ」
前世だって、今だって。そういう優希は全く照れない。当たり前のことを言っているだけだから、といつも言っていた彼は全く変わっていない。
「じゃあ、行こうか。国の魔族や魔物には事情を話してあるから」
あらあら、国民全員に話してしまったのね。ちゃんと祝福されるかしら。
 彼は私の手を取ると王様と私の家族の待つ隣の部屋へズカズカと入っていった。これが演技なのだと思うと、なんだか笑えてくる。
「本人で間違いないようだ。我々は国に帰らせてもらう」
もう誰も私たちを止めるものはいない。縛るものはいない。あんなに渋っていた弟でさえも、私の幸せそうな表情を見て安心したように笑っている。
 私達は愛してくれた家族へ、守ってくれた家族へ、この国の王様へ頭を下げると、その場から音もなく消え去った。

 オリヴァーが幸せそうに純白のドレスを着る私の髪をとく。何が楽しいのかはよくわからないが、彼にとってはこれも私との大事なスキンシップの一つなのだろう。
 今日、私達は晴れて夫婦となる。互いを唯一の伴侶とし、永遠の愛を誓うのだ。永遠の命を手に入れる私達。私達以外に永遠を生きる生物などおらず、私達はまるで2人きりこの世界に取り残されたように生きることになることだろう。
「今なら、やめられるよ」
やめたら何になるというのだろうか。お互い離れて、静かに暮らすの。そんなのきっと、寂しくて早死にしちゃうわ。
「ねえ、オリヴァー」
もう忘れてしまったの。私達、誓ったじゃない。たとえどちらかが死んでも、互いを愛する気持ちだけは変わらないと。私達は永遠に一緒だと。互いに誓ったじゃない。
「なあに、オリビア」
鏡に映った幸せそうに笑う女。それを見て暖かく笑う男。これより彼らは、永遠を生きる化け物となる。
「私、幸せよ」
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