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108話
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聞き覚えのあるその言葉に、私は吐き気を覚える。この世から消し去ってしまいたいくらいのその言葉を、私は睨みたくて仕方がなかった。けれど、実態のないものをにらめるはずもなく、平静を取り戻そうと深呼吸をする。
魔力失調とは、本来この世界に住むものならどんな生物でも有している魔力が失われ、まるで栄養失調のように体調を崩してしまうことを指す。魔法の使いすぎでなることもあるが、大抵魔力はすぐに回復するものだ。
流行病と言われるからには、そんな一瞬で治ってしまうような、魔力失調だと分かるものではなく、長期的にその状態が続いているのだろう。まるで、エラの時のように。
エラの方を振り返ると、エラは顔を真っ青にして怯えていた。手は小さく震え、冬菜の服の裾を掴んでいる。子供ながらに、わかっているのだろう。自分にかけられていた呪いと、フレンの話すそれが、似たようなものであることを。それがどれだけ恐ろしいものであるのかは、その身に受けたエラが一番よくわかっているはずだ。
「どうして魔力失調の人が増えているのですか」
ずっと恐怖にかたまっていては話が進まない。恐怖で動くことを拒否する喉を無理やり震わせて、私は尋ねた。フレンの顔色も悪い。それほどことは重大だと言うことだろう。
「……呪いよ」
発せられてはいけない事実が、私達の耳に届いた。けれどもそれが事実である以上、それはどうしようもない。私達は驚きなんて押しのけられるくらいの恐怖に包まれた。
エラの時を思い出す。走り回ることさえできなくなるあれが、この国に広がっていると言うの。信じられない。が、事実だ。
私の聖女の力があるではないか。けれど思い出すと同時にすぐに落胆する。エラの時はエラ1人だったからよかったのだ。この国に流行病と言われるくらい広がっている呪いを、どうやって解けばいいのだろうか。確実なのは、1人1人回って、呪いを解いていく方法だが、現実的ではない。それに、呪いを解いても、エラの時のように呪いをまたかけられ直したら……。そうなれば、手の打ちようがない。
「どうすればいいと言うの……」
冬菜は俯いて小さく震えている。それは、恐怖からか、怒りからか、私にはわからなかった。
魔力失調とは、本来この世界に住むものならどんな生物でも有している魔力が失われ、まるで栄養失調のように体調を崩してしまうことを指す。魔法の使いすぎでなることもあるが、大抵魔力はすぐに回復するものだ。
流行病と言われるからには、そんな一瞬で治ってしまうような、魔力失調だと分かるものではなく、長期的にその状態が続いているのだろう。まるで、エラの時のように。
エラの方を振り返ると、エラは顔を真っ青にして怯えていた。手は小さく震え、冬菜の服の裾を掴んでいる。子供ながらに、わかっているのだろう。自分にかけられていた呪いと、フレンの話すそれが、似たようなものであることを。それがどれだけ恐ろしいものであるのかは、その身に受けたエラが一番よくわかっているはずだ。
「どうして魔力失調の人が増えているのですか」
ずっと恐怖にかたまっていては話が進まない。恐怖で動くことを拒否する喉を無理やり震わせて、私は尋ねた。フレンの顔色も悪い。それほどことは重大だと言うことだろう。
「……呪いよ」
発せられてはいけない事実が、私達の耳に届いた。けれどもそれが事実である以上、それはどうしようもない。私達は驚きなんて押しのけられるくらいの恐怖に包まれた。
エラの時を思い出す。走り回ることさえできなくなるあれが、この国に広がっていると言うの。信じられない。が、事実だ。
私の聖女の力があるではないか。けれど思い出すと同時にすぐに落胆する。エラの時はエラ1人だったからよかったのだ。この国に流行病と言われるくらい広がっている呪いを、どうやって解けばいいのだろうか。確実なのは、1人1人回って、呪いを解いていく方法だが、現実的ではない。それに、呪いを解いても、エラの時のように呪いをまたかけられ直したら……。そうなれば、手の打ちようがない。
「どうすればいいと言うの……」
冬菜は俯いて小さく震えている。それは、恐怖からか、怒りからか、私にはわからなかった。
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