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15話

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 私がつぶやいたその言葉に反応して、3人がまた腕を組んで悩む。
「五大精霊様は難しいわよね、この辺りにいらっしゃらないもの」
 水の精霊が同意を求めるように火の精霊に話しかける。私は何度目かわからない驚きをまた感じ、咄嗟に顔を顰めてしまった。
 え、精霊王や自分たちの力が弱まっているのに、ここにいないの。もし私なら、少しの力しかなくても自分の王くらいは守ろうとすると思うのだけれど。……どう言うことかしら。
「あのね、五大精霊様は今各地に散らばって、大変な問題と向き合っていらっしゃるの。だから、力を消耗しているのよ」
 私が何かに引っかかったのに気がついたのか、風の精霊が答える。各地、というとこの森を出た何処かなのだろう。
「誰かの命を救うために、頑張ってらっしゃるのよ」
 誰かの命。その中にはきっと私たち人間や動物、精霊達とあまり関わりのない種族も含まれているのだろう。精霊は言い伝えられている恐ろしさよりも、優しさが勝る精霊もいるのではないだろうか。この子達にだって、私は一度も恐怖など感じていない。おそらくそれが私の答えなのだろう。
「と、なると、ある程度力の強い精霊に会いにいけばいいのかしら」
 私に問いかけるように火の精霊が明るく笑う。どうやら彼女達には尊敬している精霊がたくさんいるらしく、どの精霊の元に私を連れていけば良いのか話し合ってくれた。あの人はこうだから、あの人はこんなところがあるから、と、私のために考えてくれている。それがなんだか私にはむず痒くて、じっと聞いているのは少しだけ疲れてしまう。
「よし、決めたわ」
 火の精霊が元気そうに、私の顔の下まで飛んでくる。水の精霊と風の精霊は少し疲れた顔をしているのに対し、火の精霊はとても楽しそうだ。彼女の意見が通ったのだろうか。
「火の精霊で五大精霊の次に強い力を持つ精霊のところへ連れて行くわ」
火の精霊ははやく、はやくとせかせように手招きをしている。2人ものそのそと飛び上がり、先導してくれた。
 五大精霊の次に力を持った精霊。かなり高い立場にいる精霊なのではないだろうか。その精霊の後見を受ければ、私を敵と見做している精霊達も、少しは安心して暮らせるようになるだろうか。
 と、いっても、やはり自分のためでもあるのだが。敵としてみなされたくない。攻撃されたくない。受け入れてほしい。居場所が欲しい。結局はそんな私のわがままなのだ。
 私は立ち上がると少し先を行って私を待ってくれている精霊達の元へ駆け寄った。多少の不安や恐怖はまだ無くならない。けれど、今は私のために相談してくれたこの子達のためにも、会ってみたいという気持ちの方が強いのだ。行ってみよう、この子達が大丈夫だというのなら、きっと大丈夫だから。
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