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After Story…My Dearest.3
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そこには彩ちゃんのメッセージが手紙をそのまま訳した様に、画面一杯に文字が並べられていた。
"親愛なるルイさま"
そんな冒頭の言葉から、少なくとも全くの無関係な人物からの手紙では無いように思えるが、私の事を"ルイ"と呼んでいることから、"昔の私"へ向けた手紙なのだろう。
"まず、時間は経ってしまいましたが、お父様の御不幸をお悔み申し上げます。"
『お父さんの御不幸って…かなり前の話だよね?』
「うん。私が4歳の時だから…十何年も前のハナシだよ?なんでこの人はそんな前の事…」
私はそう言いつつ、次の文章へと携帯の画面に指を動かした。
"私はあなたくらいの歳に人生のターニングポイントが訪れました。そして、やっとその時にお世話になったキサラギ先生へ恩返しをするタイミングが訪れた事を心から嬉しく思っています。"
私はこの人の言っていることが理解できずに眉を寄せた。ここまで読んだところで分かることといえば、私の父さんの患者か何かなのだろうという事くらいだ。それにしても何故この人はこんなにも時間が経ってからその"タイミング"が訪れたのだろう。謎は深まるばかりだった。
そして次の文章を読んで、私はこの人物が何者なのかという思念が一層高まっていく。
"これはルイのお父さんと決めた事です。いや、あなたのお父さんの強い想いと私の想いが合致したというべきでしょうか。"
父さん…と?
私の記憶に残る父さんは、変わる事のないアルバムの中のモノだけだった。幼い頃から何度も見返したその顔。それはいつ見ても何度見ても変化する事なく、アルバムの父さんをジッと見つめる私の目を見てくれる事は無かった。
そんな父さんの思わぬ"痕跡"に、私が胸の高鳴りを抑える事ができる筈が無かった。
"私はいつでも待っています。
あなたに自分の全てを理解してもらえる特別なパートナーができ、自らの人生をそのパートナーと進むと決めた時、私の元へ連絡を頂戴"
そう書かれた文章の下にはこの手紙の主の電話番号が記されていたが、その数列に違和感を覚える。
すると隣から小さな溜息が聞こえた。
『結局誰なんだろうね…しかも最後の文章ってどういう意味なんだろう?』
テーブルに置かれた手紙を摘み上げひらひらさせながら莉結が呟く。
「ちょっと回りくどいけど、結婚したいくらい好きな相手ができて、その人と結婚したい!って思ったら連絡しろって事じゃない?」
すると、紙のひらひらと風に響く音が止まった。
『それってさぁ…衣瑠には居るの?』
摘み上げた手紙をジッと見つめながら莉結が言った。
「うん、私だったら莉結かなぁー…」
『ふーん…私も衣瑠かなぁー…」
机の上のペンを唇の上に乗せ、携帯の画面を更に下へと進める。
「あっ、彩ちゃんがねぇ、"それでアナタは行くのっ??"だって」
『けどさぁ…なんか怪しくない?結局自分がドコに住んでてどういう人間なのかとか、衣瑠のお父さんとどういう関係だったかとかも書いてないしさ?私なんか怖いなぁー』
私の肩に流れた莉結の髪を指でくるくると遊ばせながら、私は机の上の手紙に目をやる。
「分かるけど…ちょっと気になるかも」
『うん、言うと思った」
私たちは、そのまま後ろのクッションへと身体を預け、茜色の天井を見つめた。
「誰なんだろう…」
そんな私の呟きに応えるかのように、窓の外からは烏の寂しげな声が響いていた。
"親愛なるルイさま"
そんな冒頭の言葉から、少なくとも全くの無関係な人物からの手紙では無いように思えるが、私の事を"ルイ"と呼んでいることから、"昔の私"へ向けた手紙なのだろう。
"まず、時間は経ってしまいましたが、お父様の御不幸をお悔み申し上げます。"
『お父さんの御不幸って…かなり前の話だよね?』
「うん。私が4歳の時だから…十何年も前のハナシだよ?なんでこの人はそんな前の事…」
私はそう言いつつ、次の文章へと携帯の画面に指を動かした。
"私はあなたくらいの歳に人生のターニングポイントが訪れました。そして、やっとその時にお世話になったキサラギ先生へ恩返しをするタイミングが訪れた事を心から嬉しく思っています。"
私はこの人の言っていることが理解できずに眉を寄せた。ここまで読んだところで分かることといえば、私の父さんの患者か何かなのだろうという事くらいだ。それにしても何故この人はこんなにも時間が経ってからその"タイミング"が訪れたのだろう。謎は深まるばかりだった。
そして次の文章を読んで、私はこの人物が何者なのかという思念が一層高まっていく。
"これはルイのお父さんと決めた事です。いや、あなたのお父さんの強い想いと私の想いが合致したというべきでしょうか。"
父さん…と?
私の記憶に残る父さんは、変わる事のないアルバムの中のモノだけだった。幼い頃から何度も見返したその顔。それはいつ見ても何度見ても変化する事なく、アルバムの父さんをジッと見つめる私の目を見てくれる事は無かった。
そんな父さんの思わぬ"痕跡"に、私が胸の高鳴りを抑える事ができる筈が無かった。
"私はいつでも待っています。
あなたに自分の全てを理解してもらえる特別なパートナーができ、自らの人生をそのパートナーと進むと決めた時、私の元へ連絡を頂戴"
そう書かれた文章の下にはこの手紙の主の電話番号が記されていたが、その数列に違和感を覚える。
すると隣から小さな溜息が聞こえた。
『結局誰なんだろうね…しかも最後の文章ってどういう意味なんだろう?』
テーブルに置かれた手紙を摘み上げひらひらさせながら莉結が呟く。
「ちょっと回りくどいけど、結婚したいくらい好きな相手ができて、その人と結婚したい!って思ったら連絡しろって事じゃない?」
すると、紙のひらひらと風に響く音が止まった。
『それってさぁ…衣瑠には居るの?』
摘み上げた手紙をジッと見つめながら莉結が言った。
「うん、私だったら莉結かなぁー…」
『ふーん…私も衣瑠かなぁー…」
机の上のペンを唇の上に乗せ、携帯の画面を更に下へと進める。
「あっ、彩ちゃんがねぇ、"それでアナタは行くのっ??"だって」
『けどさぁ…なんか怪しくない?結局自分がドコに住んでてどういう人間なのかとか、衣瑠のお父さんとどういう関係だったかとかも書いてないしさ?私なんか怖いなぁー』
私の肩に流れた莉結の髪を指でくるくると遊ばせながら、私は机の上の手紙に目をやる。
「分かるけど…ちょっと気になるかも」
『うん、言うと思った」
私たちは、そのまま後ろのクッションへと身体を預け、茜色の天井を見つめた。
「誰なんだろう…」
そんな私の呟きに応えるかのように、窓の外からは烏の寂しげな声が響いていた。
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