想色40season's

ある

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めくられたページ4

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「氷雨ちゃん、おーはよっ」

    私が学校へ向かう途中、横断歩道で信号待ちをしていると、穂乃果(ほのか)ちゃんが声を掛けてきた。
    穂乃果ちゃんとは三年生になって初めて一緒のクラスになった。
    人付き合いの苦手な私と正反対で、明るくてみんなと仲良く喋れる性格の穂乃果ちゃんとは一生関わることなんて無い、というより、関わりたく無いと思ってたのに……穂乃果ちゃんみたいな性格ってズルい。
   私はあの日、穂乃果ちゃんにしゃべりかけられるうちにまんまと"友達"になってしまった。
    もちろん話のほとんどが穂乃果ちゃんの一方通行のようなもので、私が返事をしようとしまいと次から次へと飛び出る話題はまるでニュースのお姉さんみたいだなって思う。
    だけどやっぱり私は話しかけられるってことがストレスで、それにプラスしてクラスのみんなの目も気になって、正直、穂乃果ちゃんはどっちかと言うと嫌いなほうだ。

「あ……おはよ」

    私が下を向いて小さく答えると、穂乃果ちゃんは私をのぞき込むように続けた。

「氷雨ちゃんまたあの夢見たの?」
    
    穂乃果ちゃんは私の顔を見てすぐにそう言って自分の目のまわりをぐるっと指でなぞった。

「……うん」

    私はちらっと穂乃果ちゃんの目を見てそう答える。
    穂乃果ちゃんだけは私の見る夢の事を知っている。というのも、ちょうどあの夢を見た日、私が穂乃果ちゃんの"友達"になったあの日、今まで喋ったこともなかった穂乃果ちゃんが話しかけてきて、しつこく私の目が腫れている理由を聞いてくるから、めんどくさくなってついほんとの事を言ってしまった。
    それを聞いた穂乃果ちゃんは"私で良かったら話聞くよ"なんて、まるで私が人に言えない悩みのせいでそんな夢を見て泣いているみたいに言った。
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