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その5:禁じ手(後編)
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その後、僕はギルドに了解を取って、ノアナさんとハーピーダンジョンの最奥を目指す事にした。もちろんヨリには内緒だ。そんな危険な事をすると知ったら滅茶苦茶怒るだろう。だが、僕はどんな事態になってもいい様に、出来る限りの準備はしたいのだ。ノアナさんは、僧侶系のスキルが使えるので、大抵の負傷やステータス異常はなんとかなるはずなので、僕がどれだけ勘を働かせてハーピーに先制攻撃出来るかがカギだ。
そして準備を終えた僕は、ノアナさんとペアのパーティーで、ハーピーのダンジョンに潜っていった。
◇◇◇
耳栓作戦は功を奏した。たしかに声が全く聞こえないのは不便だが、一人でダンジョンに潜っていると思えば、音よりもむしろ敵の気配を察知する方が戦闘にはより効果的だ。途中、何回かピンチはあったがノアナさんが身を挺して僕をサポートしてくれ、なんとか乗り切る事が出来た。
そしていよいよダンジョンの最深部の入り口に到着した。
『ここが最奥のはずです』ノアナさんが筆談で僕に話しかける。
「わかった。この中に女王ハーピーがいるんだよね。それを退治出来れば、ギルドのクエストも達成だし、僕も目的を達成出来る」
ともに顔を見合って、せーので、最奥の部屋に踏み込んだ。
いた!! 女王ハーピーだ。すごくデカイ!! だが、僕もチートありのS級剣士だ。ワンオンワンなら負ける気はしない。ノアナさんに離れていろと手で合図して、女王ハーピーの前に駆け寄った。
「くそったれ。覚悟しやがれ女王ハーピー。おとなしく卵を渡せ!」
そして女王に斬りかかろうとした直前、後方にただならぬ気配を感じて振り返ると、ノアナさんが別のハーピーに襲われていた。音が聞こえない為、気づくのが遅れた! 慌ててノアナさんに駆け寄るが、左肩から腹にかけてざっくりとアーマーが裂けていた。
「大丈夫?」こちらから声はかけられるけど、彼女が何を言っているのかはわからない。だが、抱き起したら、ポロリと左胸がこんにちはしてきた。
「うわっ、これ……って、ノアナさん。本当に大丈夫?」
しかし、かなりの衝撃を食らったのか、意識がもうろうとしている様だ。
そして二匹のハーピーが、後ろから急速に迫って来たのが気配で分かった。
「秘剣、エクスカリバー!!」
僕は、後ろを目で追わず、そのまま剣を振り上げて、気配のみを頼りに振り下ろしざまに横に振り抜いた。
「ふぎゃーーーーーー!!」
僕のその一振りで、二匹のハーピーは、横一文字に真っ二つになった。
「ふあぁ。何とかなった。ノアナさん、本当に大丈夫?」
ほっぺたをぺしぺししたら、どうやら正気に戻った様だ。
「ああ、さすがお兄さん。こんな大きいのを二匹まとめて一刀両断だなんて……」
あ、ノアナさん、なんかウルウルした眼で僕を見てる……でもノアナさん。胸が出たままだよと指摘したんだけど、ここではアーマーの修理もままならないし、お兄さんなら特別にOK見たいな事を筆談ボードに書いている……僕に惚れたかな?
冗談はさておき、卵だよ卵。僕はあたりを探し始め、ノアナさんも手伝ってくれ、女王の寝床と思しき所に1つだけ卵があるのを発見した。
「あった! これだよこれ」それで、これを有精卵にするのだが、受精する前に巣からはがしてしまうのはダメだとサラドラ先生が言っていたので、ここで僕が精をかけねばならない。だが……すぐ後ろにノアナさんが立っていて、僕が何をするのかと興味深げに見ている。
「あの、ノアナさん。これからやる事、あんまり女性には見られたくないんだよね。ちょっと外してもらえないかな」僕はそう言ったが、ノアナさんは身振り手振りで、気にしていないと答えている様だ。いや気になるのは僕なんだけど……しかし、会話の為に耳栓はずして万一ハーピーの残党に出くわしたらシャレにならない。急がねばならないので、僕は正直にノアナさんにこれからやる事を伝え、外してほしいと頼んだ。するとノアナさんが、顔を真っ赤にしながら、その場を立ち去り……と思ったら、いきなり僕に抱きついてきた。
「えっ? えっ? ノアナさん。あのお胸が当たってますけど……」
しかしノアナさんはそれを気にする様子でもなく、そのまま右手を僕の股間に添えてきた。えーーー。これ、手伝ってくれるって言うのか?
まさかとは思ったが、本当に手を貸してくれているノアナさんが確かにここにいる。いやこれは……ああ、僕のエクスカリバー……
そして、ノアナさんの献身的アシストもあり、僕は無事に精をハーピーの卵にかける事が出来た。しかし……その発射の瞬間を、ノアナさんにしっかり観察されてしまった……
さて、何はともあれ用事はすんだ。速やかに撤退しよう。
そう思って、卵をバッグに入れ振り返った瞬間だった。突然、上空から、ものすごい勢いでハーピーが一匹降下してきた。しかしノアナさんが、何だか身をよじりながらまだ僕に抱きついていたお陰で、躱し切る事が出来ず二人そろって、吹っ飛ばされた。
「畜生。気づけなかった! あれ? 卵……ああ、割れちゃった!?」愕然としている僕の耳に、ノアナさんの声が響いた。
「お兄さん。耳栓取れてる!!」
「何っ!!」
いかん。この状態であのハーピーに鳴かれたら僕は……ハーピーが口を大きく広げ鳴く準備に入った。だめかこれは!?
ちゅどーーーん。
突然ものすごい爆炎が起き、目の前のハーピーはどうやら焼き鳥になった様だ。
「ヨリ!?」そう。それはヨリの攻撃魔法だったのだ。お陰で僕は発狂せずに済んだが……
「お兄ちゃん。全く何してくれてんのよ! ギルドに聞いたらここだって言うし。これでお兄ちゃんが発狂しちゃったら、私も発狂しちゃうでしょ。それで卵は手に入ったの?」
「いや、それが……割れちゃった」
「……全くしょうがないなー。でも、これであきらめついたでしょ? お兄ちゃん」
「ねえ、ねえ。あきらめついたって、その卵の話?」
ノアナさんが、手ブラで左胸を隠しながら、近づいてきた。
「ああ、何って……そもそも私の生理がずっと来ていないって話で……」
「えっ? ヨリさん二週間位前、『昨日結構生理痛ひどかったんでヒールした』って言ってなかったっけ? だから私、この前、生理の対処法の事で相談したんだけど……」
「はいっ!? そうだっけ……あー。ヒールで簡単に痛み止め出来るのも考えものだねー」
「おい……ヨリ……」
そして二週間後、ヨリに無事生理が来て、今回の騒動は一件落着となったのだが、まあいつかは授かるにしても、当面は十分気を付けようという事で、二人の意見は一致した。
(終)
そして準備を終えた僕は、ノアナさんとペアのパーティーで、ハーピーのダンジョンに潜っていった。
◇◇◇
耳栓作戦は功を奏した。たしかに声が全く聞こえないのは不便だが、一人でダンジョンに潜っていると思えば、音よりもむしろ敵の気配を察知する方が戦闘にはより効果的だ。途中、何回かピンチはあったがノアナさんが身を挺して僕をサポートしてくれ、なんとか乗り切る事が出来た。
そしていよいよダンジョンの最深部の入り口に到着した。
『ここが最奥のはずです』ノアナさんが筆談で僕に話しかける。
「わかった。この中に女王ハーピーがいるんだよね。それを退治出来れば、ギルドのクエストも達成だし、僕も目的を達成出来る」
ともに顔を見合って、せーので、最奥の部屋に踏み込んだ。
いた!! 女王ハーピーだ。すごくデカイ!! だが、僕もチートありのS級剣士だ。ワンオンワンなら負ける気はしない。ノアナさんに離れていろと手で合図して、女王ハーピーの前に駆け寄った。
「くそったれ。覚悟しやがれ女王ハーピー。おとなしく卵を渡せ!」
そして女王に斬りかかろうとした直前、後方にただならぬ気配を感じて振り返ると、ノアナさんが別のハーピーに襲われていた。音が聞こえない為、気づくのが遅れた! 慌ててノアナさんに駆け寄るが、左肩から腹にかけてざっくりとアーマーが裂けていた。
「大丈夫?」こちらから声はかけられるけど、彼女が何を言っているのかはわからない。だが、抱き起したら、ポロリと左胸がこんにちはしてきた。
「うわっ、これ……って、ノアナさん。本当に大丈夫?」
しかし、かなりの衝撃を食らったのか、意識がもうろうとしている様だ。
そして二匹のハーピーが、後ろから急速に迫って来たのが気配で分かった。
「秘剣、エクスカリバー!!」
僕は、後ろを目で追わず、そのまま剣を振り上げて、気配のみを頼りに振り下ろしざまに横に振り抜いた。
「ふぎゃーーーーーー!!」
僕のその一振りで、二匹のハーピーは、横一文字に真っ二つになった。
「ふあぁ。何とかなった。ノアナさん、本当に大丈夫?」
ほっぺたをぺしぺししたら、どうやら正気に戻った様だ。
「ああ、さすがお兄さん。こんな大きいのを二匹まとめて一刀両断だなんて……」
あ、ノアナさん、なんかウルウルした眼で僕を見てる……でもノアナさん。胸が出たままだよと指摘したんだけど、ここではアーマーの修理もままならないし、お兄さんなら特別にOK見たいな事を筆談ボードに書いている……僕に惚れたかな?
冗談はさておき、卵だよ卵。僕はあたりを探し始め、ノアナさんも手伝ってくれ、女王の寝床と思しき所に1つだけ卵があるのを発見した。
「あった! これだよこれ」それで、これを有精卵にするのだが、受精する前に巣からはがしてしまうのはダメだとサラドラ先生が言っていたので、ここで僕が精をかけねばならない。だが……すぐ後ろにノアナさんが立っていて、僕が何をするのかと興味深げに見ている。
「あの、ノアナさん。これからやる事、あんまり女性には見られたくないんだよね。ちょっと外してもらえないかな」僕はそう言ったが、ノアナさんは身振り手振りで、気にしていないと答えている様だ。いや気になるのは僕なんだけど……しかし、会話の為に耳栓はずして万一ハーピーの残党に出くわしたらシャレにならない。急がねばならないので、僕は正直にノアナさんにこれからやる事を伝え、外してほしいと頼んだ。するとノアナさんが、顔を真っ赤にしながら、その場を立ち去り……と思ったら、いきなり僕に抱きついてきた。
「えっ? えっ? ノアナさん。あのお胸が当たってますけど……」
しかしノアナさんはそれを気にする様子でもなく、そのまま右手を僕の股間に添えてきた。えーーー。これ、手伝ってくれるって言うのか?
まさかとは思ったが、本当に手を貸してくれているノアナさんが確かにここにいる。いやこれは……ああ、僕のエクスカリバー……
そして、ノアナさんの献身的アシストもあり、僕は無事に精をハーピーの卵にかける事が出来た。しかし……その発射の瞬間を、ノアナさんにしっかり観察されてしまった……
さて、何はともあれ用事はすんだ。速やかに撤退しよう。
そう思って、卵をバッグに入れ振り返った瞬間だった。突然、上空から、ものすごい勢いでハーピーが一匹降下してきた。しかしノアナさんが、何だか身をよじりながらまだ僕に抱きついていたお陰で、躱し切る事が出来ず二人そろって、吹っ飛ばされた。
「畜生。気づけなかった! あれ? 卵……ああ、割れちゃった!?」愕然としている僕の耳に、ノアナさんの声が響いた。
「お兄さん。耳栓取れてる!!」
「何っ!!」
いかん。この状態であのハーピーに鳴かれたら僕は……ハーピーが口を大きく広げ鳴く準備に入った。だめかこれは!?
ちゅどーーーん。
突然ものすごい爆炎が起き、目の前のハーピーはどうやら焼き鳥になった様だ。
「ヨリ!?」そう。それはヨリの攻撃魔法だったのだ。お陰で僕は発狂せずに済んだが……
「お兄ちゃん。全く何してくれてんのよ! ギルドに聞いたらここだって言うし。これでお兄ちゃんが発狂しちゃったら、私も発狂しちゃうでしょ。それで卵は手に入ったの?」
「いや、それが……割れちゃった」
「……全くしょうがないなー。でも、これであきらめついたでしょ? お兄ちゃん」
「ねえ、ねえ。あきらめついたって、その卵の話?」
ノアナさんが、手ブラで左胸を隠しながら、近づいてきた。
「ああ、何って……そもそも私の生理がずっと来ていないって話で……」
「えっ? ヨリさん二週間位前、『昨日結構生理痛ひどかったんでヒールした』って言ってなかったっけ? だから私、この前、生理の対処法の事で相談したんだけど……」
「はいっ!? そうだっけ……あー。ヒールで簡単に痛み止め出来るのも考えものだねー」
「おい……ヨリ……」
そして二週間後、ヨリに無事生理が来て、今回の騒動は一件落着となったのだが、まあいつかは授かるにしても、当面は十分気を付けようという事で、二人の意見は一致した。
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