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CHAPTER12 君の最大の嘘
①
しおりを挟む貴島は、歩道に突っ込んできた車に轢かれて亡くなった。即死だった。事故の原因は、運転手がアクセルとブレーキを踏み間違えたことだ。
この件は地方新聞の片隅に取り上げられた。記事によると、すぐ前を歩いていた女の子も事故に巻き込まれたが、その子は車がぶつかる直前に貴島に突き飛ばされて軽傷で済んでいる。
女の子を助けずに避難していたら、死は免れたかもしれない。だが、その選択肢は貴島の中に存在しなかった。
自分を犠牲にしてまで人を助けるなんて立派だと思う。だけど、そんなにすごいことはしなくてもいいから、生きていてほしかった……。
僕は自転車を押しながら、溜息を吐く。
すでに貴島の死から十日が過ぎている。葬儀は先週の末に執り行われ、僕や沙世子を含めた稲高の生徒が大勢参列した。
藤也さんも駆けつけたし、イナライガー……沙世子の父親も顔を見せた。他校の生徒も集まった。参列者の数が、貴島の交友関係の広さを如実に物語っている。
みんなは満面の笑みを浮かべる貴島の遺影を見て、涙を流していた。
だけど、僕は泣けなかった。悲しいはずなのに、その感情が表に出てくる前に力が抜けてしまう。
今日は学校側の都合で半日しか授業がない。帰宅したあと部屋に閉じこもっていた僕は、貴島のことばかり考えて胸が苦しくなった。
気晴らしに自転車を引いて外に出てみたものの、結果は同じだった。
あの向日葵のような笑顔が脳裡をよぎるたびに、もう貴島には会えないのだと思い知らされて、辛い……。
「あら、あなたは宏樹くんよねぇ。朱夏のお友達の」
地面を見ながら自転車を押していた僕は、声をかけられてぼんやりと顔を上げた。
目の前に、小柄なおばあさん――貴島の祖母のフキ江さんがいた。僕の左側には団地がそびえたっている。
いつの間にか、貴島の自宅のあたりまで来ていたようだ。
「宏樹お兄ちゃん……」
フキ江さんの隣には、亨くんが立っていた。二人で買い物にでも行っていたのか、それぞれの手にエコバッグが握られている。
「宏樹くんも朱夏の葬儀に来てくれていたわよね。どうもありがとう。当日は忙しくて、挨拶もできずにごめんなさいねぇ。……よかったら、うちに上がっていってちょうだい。お茶でもいかが?」
フキ江さんにふんわりと微笑まれ、僕はどう返事をしようか一瞬考えた。しかし亨くんに「ぼく、宏樹お兄ちゃんとお話したい」と言われて、頷く。
団地の敷地に自転車を停め、貴島家のドアをくぐると、フキ江さんが三和土に置かれたサンダルなどをサッと脇に避けてくれた。
「散らかっていてごめんなさいねぇ。お葬式なんかでバタバタしていて……。そうそう、あと少ししたら、沙世子ちゃんがうちに来てくれるのよ。朱夏の形見分けをするから、よかったら宏樹くんも何か持っていってね」
居間に通されると、ほどなくして温かい緑茶が出てきた。じきに十月だ。外の風は涼しかったから、ちょうどいい。
僕の隣に亨くんが座った。フキ江さんは向かい側に腰を下ろして、しみじみと語り出す。
「あの子は……朱夏は、宏樹くんに自分の能力のことを教えていたそうねぇ」
どうやら貴島は、僕との関係をフキ江さんに打ち明けていたようだ。
「はい。寿命が迫っている人の顔に、雲がかかって見えると言っていました」
「その能力のせいで、朱夏は『死神』なんて呼ばれてしまってねぇ……。さんざん嫌な思いをしたから、他人には言わないでおこうと約束したのよ。それを自分から教えるなんて、宏樹くんのことをよほど信用していたのね。ねぇ。宏樹くんは、気味が悪いと思わなかったの? 人の寿命が見えるなんて」
「驚きましたけど、気味が悪いとかは、あまり……」
「そう。きっと宏樹くんは優しいのねぇ。だからあの子も、躊躇わずに自分の能力のことを教えたんだわ」
「僕は優しくないです」
フキ江さんはふふっと笑った。
「朱夏は毎日、宏樹くんのことをとても褒めていたわよ」
亨くんもすかさず口を挟む。
「晩ご飯のとき、お姉ちゃんはいつも宏樹お兄ちゃんのお話ばっかりしてた」
「能力について打ち明けても気味悪がらずに受け入れてくれる友達ができて、朱夏は嬉しかったんだと思うわ」
そこまで言うと、フキ江さんは手にしていた湯呑みを置いて少し悲しそうな顔つきになった。
「わたしやわたしの息子……朱夏の父親には力が受け継がれなかったから、話を聞いてやることだけしかできなかったの。あの子の苦しみの半分も理解できていなかったと思うわ。身近な人がいつ死ぬか分かってしまうなんて、どんなに辛かったことか。朱夏は、両親の顔に雲がかかっているのも見えたのよ」
僕はぐっと唇を噛んだ。
「親の死も、貴島は分かっていたんですね……」
フキ江さんは深刻な面持ちになった。
「例の雲は、見たくなくても見えてしまうからねぇ。そして朱夏は、『自分の顔にかかる雲』も、ちゃんと把握していたのよ」
「――えっ?」
その瞬間、脳天を雷で打ち抜かれたかのような衝撃が走った。
何かとてつもなく悲しい予感が足元から這い上がってきて、心臓が否応なく激しい鼓動を繰り返す。
「貴島は、自分にかかっている雲を……見ることができたんですか……?」
掠れ声をなんとか絞り出して聞くと、フキ江さんは首肯した。
「ええ。能力のある人自身に雲がかかっているときは、鏡やガラス窓に自分の姿を映せばそれを確認することができるのよ」
「そんな……そんなはずは……」
動悸がさらにひどくなる。
僕は頭を抱えながら、貴島の言葉を必死に思い出した。
『それがさー、自分自身のことは分からないんだよね』
聞いていた話と違う。フキ江さんの言っていることが本当なら、貴島が嘘をついたことになる。一体、なぜ……。
脳内で疑問が渦を巻いていた。僕は溢れ出た一つを、おずおずと口にする。
「貴島には、いつごろから例の雲がかかっていたんですか……」
「今年、桜が咲いたころだよ!」
答えたのは亨くんだった。
そこでフキ江さんがまた一つ、僕の知らなかったことを告げる。
「亨も、朱夏と同じ能力を持っているのよ」
「……じゃあ亨くんも雲が見えるんです……か?」
言葉を詰まらせて固まった僕を、亨くんがまっすぐ見つめた。
「うん。ぼく、見える!」
そのあと、フキ江さんと亨くんが交互に説明してくれた。
今年の三月下旬。貴島は自分の顔に雲がかかっているのを鏡で見て知った。同じ能力を持っている亨くんにもその雲が見えた。
姉と弟は、事実をそのまま、祖母であるフキ江さんに伝えたそうだ。
「自分に雲がかかっているのが見えたとき、朱夏はとても怖かっただろうねぇ。いつ死ぬか分かってしまうんだものねぇ……。でも、あの子はわたしや亨に『寿命のことは気にしないで、普段通りに過ごそう』と言ったのよ。結局、最後までそれを貫いたの」
「お姉ちゃんにかかってた雲、だんだん濃くなったんだよ。みんなで鴨川に行ったときは、雲のせいでお姉ちゃんの顔が少ししか見えなかった……」
亨くんの話を聞いて、僕はハッとした。
夏合宿の三日目。亨くんの絵には、貴島の姿だけが描かれていなかった。
『だってぼく、お姉ちゃんの顔、何か上手く描けないんだよ……』
あの台詞の意味が、ここにきてようやく腑に落ちる。描かなかったのではなく、顔が見辛いので描けなかった――例の雲のせいで。
亨くんはさらに、眉根をきゅっと寄せて切ない表情を浮かべた。
「お姉ちゃんがいなくなって悲しいけど、由麻ちゃんが死んじゃったことも辛かった。あと、すごくびっくりした……。小さい子は薄い雲じゃなくて、真っ黒な雲が突然見えることがあるんだよ」
子供だと雲のかかり方が不安定になるという話は、貴島から聞いて知っている。
亨くんは夏合宿のときに由麻ちゃんと仲よくなっていたから、訃報にはかなり胸を痛めただろう。
僕は慰める代わりに、すぐ隣にある小さな肩を一度ポンと叩いた。すると亨くんは、思わぬことを口にした。
「鴨川に行ったとき、由麻ちゃんはすごく元気だった。だから、死んじゃうなんて思わなかったんだよ。あのときはお姉ちゃん以外、誰も雲がかかってなかったのに……」
「――待ってくれ。『誰も雲がかかってなかった』だって?」
聞こえてきた言葉に、一瞬耳を疑った。心臓がビクンと跳ねる。半信半疑のまま、僕はおそるおそる尋ねた。
「……亨くん。一つ聞きたいんだけど、沙世子に雲がかかっていたことはあるか」
亨くんははっきりと答えた。
「ううん。沙世子お姉ちゃんの周りに雲が見えたことは一度もないよ。薄いのも濃いのも、全然なかった!」
しばらく呼吸が止まった。
亨くんが冗談を言っているとは思えない。現に、沙世子は今も生きている。反対に、貴島はこの世から去った。つまり……。
――沙世子に雲がかかっていたというのは、嘘だ。不穏な雲は、本当は沙世子ではなく、貴島にまとわりついていたんだ。
またもや貴島の嘘が発覚して、僕は胸の奥に溜まったものと止めていた息を一気に吐き出した。同時に、新たな疑問がふつふつと湧いてくる。
『沙世子にかかってる雲はまだ薄いの。死んじゃう未来と、生きてる未来、今は両方ありえるんだよ』
貴島は、雲が薄いうちなら助かる可能性があることを示唆していた。なら、どうして『自分自身』を助けようとしなかったんだ?
沙世子ではなく貴島の身に死が迫っていたのだとしたら、僕にそのことを正直に言えばいい。
亨くんの話によれば、貴島に雲がかかったのは桜の時期。猶予はいくらでもあった。命が助かる方法を一緒に考えることくらいはできたはずだ。
僕は湧き上がる気持ちを、フキ江さんと亨くんにそのままぶつけた。
フキ江さんは少し肩を落とした。
「宏樹くんは、雲が薄いうちは助かる可能性があると聞いていたのね。……でも、残念ながら、それは違うわ」
「違う……? どういうことですか」
「一度雲がかかると、死から逃れられないの。だんだん濃くなっていくのを、黙って見ているしかないのよ」
「――!」
背中に冷や汗が伝った。
そんな僕に、フキ江さんは優しく諭すような口調で言う。
「貴島の本家には、能力について書かれた古文書があるの。それによればね、一度雲がかかってしまったら、それをどうやっても消すことはできないそうよ」
嘘だ。嘘だ。
僕はそんなこと、聞いていない。
「だから朱夏は、雲が現れた時点で『自分が確実に死ぬ』と知ってしまったの。あの子は、雲が濃くなっていくのを毎日自覚していたはずよ。最後の方は、雲が邪魔で鏡に映った自分の顔も見え辛くなったと言っていたわ。身だしなみを整えるのに、とても苦労していたわねぇ」
「嘘だろ……」
僕はとうとう頭を抱えた。
盛大に寝癖をつけて歩いていた貴島を、半分呆れ顔で眺めていた。こんな事情があったなんて、思いもしなかった。
自分にかかった雲は見えないというのは噓。
沙世子に雲がかかっているというのも嘘。
雲が薄ければ助かるかもしれないというのも嘘。
嘘、嘘、嘘――嘘ばかりだ。貴島は僕に能力のことを教えてくれたのに、なぜこんな嘘をついたのだろう。
果てしない問いと悪寒が全身を駆け巡る。きっと今、ひどい顔をしているに違いない。
その様子を見て、フキ江さんは僕が抱えている疑問を察してくれたようだ。
「朱夏は本当のことを伝えていなかったのね? それは多分、宏樹くんを心配させたくなかったからじゃないかしら。気を遣われたくなかったのよ。あの子は、自分のことより他人のことを考えている子だからねぇ」
その通りかもしれない。
貴島は由麻ちゃんが亡くなることを知っていたのに、一人で抱え込んでいた。僕が必要以上に狼狽えたり悲しんだりしないように。
「『作戦』……お姉ちゃん、作戦って言ってた」
静かな居間で、亨くんがそんなことを言い出した。僕が「どういうこと?」と聞くと、ちょこんと居住まいを正す。
「あのね、まだ雨がいっぱい降ってたとき、お姉ちゃんが言ってたんだ。宏樹お兄ちゃんと、沙世子お姉ちゃんを、仲よくさせたいって」
「僕と沙世子を?」
「うん。宏樹お兄ちゃんと沙世子お姉ちゃんて、昔はすごく仲よしだったんでしょう? えーと……幼馴染みっていうんだっけ? でも少し離れていた間に、お話をしなくなっちゃったんだよね。だからお姉ちゃんは、二人がまた仲よくなれるように『秘密の作戦』を考えたって言ってた」
「どんな作戦かな」
僕の問いに、亨くんは小首を傾げた。
「うーん。よく分からないけど、宏樹お兄ちゃんが、沙世子お姉ちゃんの傍に必ずいられるようにする作戦って聞いたよ」
渦巻いていた疑問が少しずつ消えていく。
貴島は、幼馴染みだった僕と沙世子の間にわだかまりがあるのを知っていて、それをなくそうとしたんだ。自分が死ぬ前に。
沙世子に雲がかかっていると嘘をついたのは、『作戦』の一環。幼馴染みに危機が迫っていると言えば、人と関わらないようにしていた僕を第二視聴覚室から引っ張り出せる。
貴島は僕と沙世子が常に傍にいるように仕向けた。そうやって、僕らの仲を後押しした……。
「宏樹お兄ちゃんと沙世子お姉ちゃんがまた仲よくなったら二人とも幸せになれるし、お姉ちゃんもすごく嬉しいって。だから『作戦、頑張る』って言ってた」
亨くんが話を終えると、今度はフキ江さんが口を開いた。
「自分が死ぬと分かってからも、朱夏はわたしの前でくよくよ泣いたりすることはなかったのよ。でもねぇ、夏合宿の直前くらいかしら。珍しく、心残りがあると言い出したの。大好きな二人が悲しい顔をしたままでは嫌だ。自分がいなくなったあと、二人には笑って生きてほしい――真剣な顔でそう願っていたわ。大好きな二人って、宏樹くんと沙世子ちゃんのことだったのねぇ。きっと」
僕はぎゅっと目を閉じた。
文化祭の日の光景が、じんわりと浮かんでくる。
『宏樹くんと沙世子には、わたしよりも百倍……ううん、もっともっと幸せになってほしいの。二人のこと、大好きだから!』
胸の奥から熱いものが一気に込み上げてきた。だがそれが溢れ出す寸前、チャイムの音が鳴り響く。
「あら、きっと沙世子ちゃんだわ。形見分けに来たのねぇ」
フキ江さんがパッと微笑むと、亨くんが「ぼくが玄関にお迎えに行く!」と言って勢いよく部屋を飛び出していった。
ほどなくして、沙世子と亨くんが一緒に居間に入ってきた。沙世子は僕の顔を見て「宏樹も来ていたのね」と僅かに口角を上げる。
「宏樹くん、沙世子ちゃん。隣の六畳間に行ってくれないかしらねぇ。朱夏の持ち物が箱に詰めてあるのよ。何か気に入ったものがあれば、形見として持っていってあげてね。二人がもらってくれたら、朱夏も本望だと思うわ」
促されるまま、僕と沙世子は隣の部屋へ足を踏み入れた。
フキ江さんは沙世子にお茶を出し、僕の分も新たに淹れ直してくれた。二つの湯呑みをローテーブルに置いてから「ゆっくり選んでちょうだいね。わたしは亨と居間にいるわ」と微笑んで、六畳間を出ていく。
「あまり長居をするのも悪いし、なるべく早く選びましょう、宏樹」
「そうだな」
僕と沙世子は、ローテーブルの傍らに置いてあった段ボール箱を覗き込んだ。
漫画の本や小さなバッグ、ハンドタオルなどが中に入っている。そういうものの一番上に、鴨川アクアワールドで売っていたシャチのマスコットとメンダコのぬいぐるみがあった。
「合宿のときは、あんなに元気だったのに……朱夏」
沙世子はまだとても綺麗なシャチのマスコットを右手に載せると、溢れてきた涙を左手で拭った。
僕は華奢な背中にそっと手を添える。
「大丈夫か、沙世子」
「やっと朱夏がいなくなったことを実感したの。辛いけど、宏樹がいてくれるから平気よ。父も、家に帰ってきてくれたし……」
朝永さんは椎名家に戻った。沙世子の母親と再婚するかどうかは分からないが、しばらくはまた親子三人で暮らすそうだ。
沙世子はシャチのマスコットをテーブルの上にそっと置くと、続けて細長いものを取り出した。
一瞬「缶ビールだ」と思ってしまったが、よく見ると素材はアルミではなくビニールで、上部にファスナーがついている。何かの入れ物だろうか。
「これは、朱夏が毎日学校で使っていたペンケースよ」
「……すごい形だな。こんなのどこで買うんだ」
「中身はもっとすごいと思うわ」
沙世子の手で開けられたペンケースの中には、色とりどりのペンが入っていた。一番目立つのが、アスパラガスそっくりな形をしたボールペンだ。
他にも、カレーのにおいがするマーカーや、チューブに入ったワサビと同じ形のスティックのりなど、変なものばかり揃っている。実に貴島らしいラインナップだ。
しかし、最後に沙世子がペンケースから取り出したものを見て、僕は首を傾げた。
「あれ、消しゴムは普通なんだな」
四角い紙のケースに白い直方体のゴムが入った、ごくシンプルな一品だ。僕も全く同じものを持っている。
結構使い込まれていて、ケースから出ている部分がほとんどなかった。ケース自体も、四隅が擦り切れている。
僕は何気なく……本当に何も考えずに消しゴムを手に取り、紙のケースを外した。
「――えっ」
視界に飛び込んできたものを見て、息を呑む。
沙世子も僕の手元を覗き込んで目を瞠った。
紙のケースに覆われていた部分に、緑色のペンで文字が書いてある。
『葉村宏樹』
間違いなく、僕の名前だった。
紙のケースと消しゴムを持ったまま、頭の中だけが夏合宿の日に戻っていく。
『ようちえんでミホちゃんに、おまじない、おしえてもらったの』
『うーんとね、けしゴムにすきなこのなまえ、みどりのペンでかくの!』
舌足らずな由麻ちゃんの声が耳の奥でこだまする。
消しゴムに書かれた名前、貴島の顔、おまじない……。いろいろなことが思考回路をぐるぐるとループして、僕はしばらくその場に縫い留められていた。
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