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#83 田んぼの作り方(その8、レンガ積みその3)
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壱は慣れない煉瓦とセメントと格闘しつつ、そしてガイたちは手慣れた調子で、まずは1段目を積み終える。
2段目を積み始める前に、壱は上から眺めてみる。
やはりガイたちが積んだ部分は勿論高さもラインも揃っていて綺麗だ。そうして比べてみると、壱の積んだ部分はやはりやや歪な印象だった。
「あ~……」
つい溜め息を漏らしてしまう。
「なかなか巧く行かないなぁ」
「いえ、充分ですよ」
壱がごちると、ガイが首を振ってくれる。
「初めてとは思えないくらい綺麗ですよ。器用なんですね」
「そう言って貰えたら救われるな」
壱はそう言いながらも苦笑する。
「全然大丈夫っすよ! 気になるようなら、次に積むやつで修正したら良いっすよ! さ、次行きましょー!」
「それなのだカピが」
ジェンが気合いを入れたところで、サユリが言葉を挟む。
「壱を少し借りて良いカピか? 用事があるカピよ」
「え?」
聞いていない。壱が首を傾げると、サユリが鼻を鳴らした。
「海に行くのだカピ」
「あ、ああ!」
思い出した。今日は昼から海に昆布を採りに行こうと言っていたでは無いか。田んぼ作りの事があって忘れていた。
「でも、流石にみんなに任せっぱなしにするのも申し訳無さ過ぎる。いや、俺が1番下手で役に立ってないんだけど」
「役に立ってないなんて事はある筈無いですけどー、でも煉瓦積みは任せてくれて大丈夫ですよー。あと2段、合計3段積めば良いんですよねー? 水抜きの穴を2段めの角あたりに4箇所開けてー」
「はい」
「じゃあ任せてくださいー。僕たち頼りになりますよー」
勿論大変頼りになるのだが、ナイルにここまで言って貰えて、これ以上固辞出来る訳が無い。壱は笑みを浮かべると、頭を下げた。
「じゃあお願いして良いですか? ありがとうございます」
「任せとけって! 完璧に凄げー田んぼ作ってやっからな!」
ジェンが笑顔で言い、威勢良く親指を立てた。
「じゃあ行って来ますね。終わったら直ぐに戻りますので」
「慌てなくて良いですからね。海に行くのでしたら、怪我などにご注意を」
「ありがとうございます。じゃあサユリ、行こうか」
壱は言うと、サユリと並んで海に向かった。
しかし海に向かう前に、1度食堂に戻らねばならなかった。採った昆布を入れる容器が必要だったのだ。
壱は裏庭に回り、厨房に声を掛ける。夜営業に向けての仕込みの最中だった。
「じいちゃん、裏庭にある桶借りてって良い?」
「おや壱、田んぼ作りは順調かの?」
茂造がコンソメを見ながら振り返る。
「うん。ガイたちが本当に凄くて。これから海に行って来るから」
「おお、成る程の。桶は使ってくれて良いぞい」
「ありがとう。カリル、サント、ありがとう」
「おう、大丈夫! 米出来るの楽しみだな!」
カリルが魚を捌きながら応えてくれる。サントも小麦を捏ねながら小さく頷いてくれた。
「ありがとう。じゃ、行って来ます」
言うと、次こそ海に向かった。
2段目を積み始める前に、壱は上から眺めてみる。
やはりガイたちが積んだ部分は勿論高さもラインも揃っていて綺麗だ。そうして比べてみると、壱の積んだ部分はやはりやや歪な印象だった。
「あ~……」
つい溜め息を漏らしてしまう。
「なかなか巧く行かないなぁ」
「いえ、充分ですよ」
壱がごちると、ガイが首を振ってくれる。
「初めてとは思えないくらい綺麗ですよ。器用なんですね」
「そう言って貰えたら救われるな」
壱はそう言いながらも苦笑する。
「全然大丈夫っすよ! 気になるようなら、次に積むやつで修正したら良いっすよ! さ、次行きましょー!」
「それなのだカピが」
ジェンが気合いを入れたところで、サユリが言葉を挟む。
「壱を少し借りて良いカピか? 用事があるカピよ」
「え?」
聞いていない。壱が首を傾げると、サユリが鼻を鳴らした。
「海に行くのだカピ」
「あ、ああ!」
思い出した。今日は昼から海に昆布を採りに行こうと言っていたでは無いか。田んぼ作りの事があって忘れていた。
「でも、流石にみんなに任せっぱなしにするのも申し訳無さ過ぎる。いや、俺が1番下手で役に立ってないんだけど」
「役に立ってないなんて事はある筈無いですけどー、でも煉瓦積みは任せてくれて大丈夫ですよー。あと2段、合計3段積めば良いんですよねー? 水抜きの穴を2段めの角あたりに4箇所開けてー」
「はい」
「じゃあ任せてくださいー。僕たち頼りになりますよー」
勿論大変頼りになるのだが、ナイルにここまで言って貰えて、これ以上固辞出来る訳が無い。壱は笑みを浮かべると、頭を下げた。
「じゃあお願いして良いですか? ありがとうございます」
「任せとけって! 完璧に凄げー田んぼ作ってやっからな!」
ジェンが笑顔で言い、威勢良く親指を立てた。
「じゃあ行って来ますね。終わったら直ぐに戻りますので」
「慌てなくて良いですからね。海に行くのでしたら、怪我などにご注意を」
「ありがとうございます。じゃあサユリ、行こうか」
壱は言うと、サユリと並んで海に向かった。
しかし海に向かう前に、1度食堂に戻らねばならなかった。採った昆布を入れる容器が必要だったのだ。
壱は裏庭に回り、厨房に声を掛ける。夜営業に向けての仕込みの最中だった。
「じいちゃん、裏庭にある桶借りてって良い?」
「おや壱、田んぼ作りは順調かの?」
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「うん。ガイたちが本当に凄くて。これから海に行って来るから」
「おお、成る程の。桶は使ってくれて良いぞい」
「ありがとう。カリル、サント、ありがとう」
「おう、大丈夫! 米出来るの楽しみだな!」
カリルが魚を捌きながら応えてくれる。サントも小麦を捏ねながら小さく頷いてくれた。
「ありがとう。じゃ、行って来ます」
言うと、次こそ海に向かった。
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