4 / 51
1章 「あずき食堂」に至るまで
第3話 「あずき食堂」できました!
しおりを挟む
そうして双子は就職し、せっせと働いて学費を貯めた。経済的な面は実家暮らしをさせてもらえたことが大きい。
調理学校に行きたいと言った時にはさすがに両親も驚いていたが、母に料理を教えてもらったことで夢ができたと話したら大いに喜んでくれて、「出世払いやね」なんて言って家に入れる生活費もかなり甘くしてくれた。
入学金が貯まったので願書を出して入学を決め、働いて学費を稼ぎながら学校に通い、双子は1年と半年で課題を納めた。無事調理師免許も取得した。
賞状の様なそれを見せた時両親はもちろん喜んでくれたが、マリコちゃんも飛び上がって歓喜してくれた。
「これでお店ができるな!」
そんなマリコちゃんに笑いながらも、双子は言った。
「すぐには無理やで。もっと修行せんと。お金も貯めなね」
「やな。最低でも5年は修行せんとな」
するとマリコちゃんは「5年も!」と仰天して目を剥いた。
「もう2年近くも待ったんじゃ。5年は待てぬぞ。そんなにも掛かるものなのか?」
「うーん、けどさ、やっぱり最低でもそれぐらいやらんと、人に出せるもん作れるぐらいになれへんやろ」
陽は困り顔を浮かべる。マリコちゃんの気持ちももっともだが、陽の言葉もその通りだ。朔は「そうやねぇ」と腕を組んだ。朔と陽が母に教えてもらったもの、調理学校で習った技術、それらを合算してみて。
やはり時期尚早だろうと思う。だがマリコちゃんをさんざん待たせた。なら今決めるべきでは無いだろうか。
マリコちゃんは小さな手で陽の服を掴んで「待~て~ぬ~ぞ~」とゆさゆさと揺すっている。陽は顔をしかめながらもそれを甘んじて受け入れていた。
「陽、やろう」
朔は力強く言う。すると陽が「へ?」とぽかんとした顔を上げた。
「やろうって、何を」
「お店よ。また取らなあかん資格もあるしお金もまだまだだけど、やろう」
「いや、無理やろ」
「すぐには無理やけど、他のお店での修行とかもうすっ飛ばして、まずは資格取ろう。で、マリコちゃんに助けてもらおう」
「助けてって、朔、あんたまさか」
「そう。宝くじや」
陽は複雑そうな顔をする。しかし朔は眸に迷い無い意思を示していた。マリコちゃんは「おお」と嬉しそうに手を叩く。
「もちろんお店始めんのに必要な全額や無いよ。銀行で借りれる様になるぐらいの金額や。無一文じゃ銀行も貸してくれへんでしょ」
「わしは全額でも構わんのじゃぞ」
「ありがたいけどそれはあかんよ。自己資金が見込めるだけでも私らは恵まれてるんよ。できるだけ自分たちの力でやらな」
「そりゃあ当たり前やろ。でもそれでええんか? お金もやけど技術ももっと磨いた方がええんちゃうか?」
「お前たちは本当に真面目じゃなぁ。さすが謙太と紗江の子じゃ。解った。朔の思いを汲むとしようかの」
マリコちゃんが言ってくれて、朔はほっと息を吐いた。陽はまだ納得いかない様な表情を浮かべていたが、マリコちゃんがようやくここまで折れてくれたことと、頑固と言われる朔の提案だからか、ふぅと諦めた様に息を吐いて目を伏せた。
「分かった。じゃあ明日にでも宝くじ買って来るか。それで取れる資格取るで」
「ふふ。決めたらフットワーク軽いやんね、陽は」
「善は急げって言うやろ」
「そうやね」
「よし。二言は無いな?」
マリコちゃんが言うので双子は「うん」と頷いた。
「では楽しみにしておるぞ」
マリコちゃんはにっこりと笑った。
それから双子は飲食店経営に必要な免許を取得した。買って来た宝くじも無事に当たった。マリコちゃんを信じてはいたが、本当なのだろうかと抽選日には緊張したものだった。
両親とも話し合い、店が軌道に乗るまでは実家暮らしを許してもらうことができた。本当に甘えているとは思うが、そんな中でもできるだけ親孝行をして行きたいと心の底から思った。
銀行からの融資、店舗の賃貸契約も無事済み、さてお料理をどうしようかと言う時。それは店の内装などにも関わって来ることだ。お料理の内容と内装は合っている方が良いだろう。
「マリコちゃんがスポンサーなんやから、マリコちゃんが好きなもんを出すんはどうやろ」
「それはええな。マリコちゃんは何が好きなんや?」
それは10年以上も共に過ごして来て、初めて出た疑問でもあった。マリコちゃんはいつも母や双子が作るものをどれも美味しそうに食べていたので、特に考えたことが無かったのだ。
「わしら座敷童子は小豆が好きじゃ。赤飯や善哉などはご馳走じゃな」
「赤飯かぁ。なんか祝い事とかに食うイメージよな」
「そうやんね。受験合格した時とかにお母さんが炊いてくれたやんね。今はコンビニとかでもおにぎりで買えるから、手軽に食べられるけど」
「昔は蒸し器を使って手間暇掛けて作ったものじゃ。今では炊飯器で炊けるんじゃからな。良いことじゃ」
「じゃあさ、追加料金でお赤飯を出す食堂にしようよ。お酒はビールとか少しぐらいにして」
「なるほどな。で、おかずを和食にして。やったら学校で習た技術もやけどさ、母さんが教えてくれた、お出汁を効かせた優しい味のお惣菜作ろうや」
「ええね! 白いご飯にも合うやんね」
盛り上がる双子をマリコちゃんはにこにことご機嫌で見つめる。
「ではわしは、その赤飯にほんの少しの加護を与えようかの」
「お赤飯にご加護?」
「そうじゃ。食べたら少し良いことが起こったりの。まぁしばらく着ておらん服を久々に着たら、ポケットから小銭が出て来るぐらいの小さなことじゃ」
「あはは、それ普通に嬉しいやん。うちで赤飯食べたらええことがあるとかって評判になったら、お客さんも来てくれるやろか」
「看板に「食べたらええことがあるお赤飯」とか書いてみる?」
「それはむしろ胡散臭いやろな。でも口コミとかで広がったりしたらええな」
双子とマリコちゃんは何日も掛けて話し合いを重ね、オープンさせるお店の内容を詰めて行った。店名はマリコちゃんが好きな小豆から付けるというのはすぐに決まった。マリコちゃんは「可愛いのう」とご満悦だった。
そうして「あずき食堂」は無事オープンしたのである。営むのは朔と陽のふたりだが、マリコちゃんのご加護があって成り立つお店だ。食べることは大勢の人を幸せにする。だがそこにほんの少し幸福の上乗せができたら良いと思うのだ。
明石さんの奥さまがあずき食堂に来るのを許してくれるのも、柏木さんのバンドのCD売り上げや配信などがいつもより好調なのも、マリコちゃんのお加護があるお赤飯のお陰なのだ。
朔と陽の技術はまだまだ拙いかも知れない。だが1品1品思いを込めて、食べてくださるお客さまの幸いを願おう。
調理学校に行きたいと言った時にはさすがに両親も驚いていたが、母に料理を教えてもらったことで夢ができたと話したら大いに喜んでくれて、「出世払いやね」なんて言って家に入れる生活費もかなり甘くしてくれた。
入学金が貯まったので願書を出して入学を決め、働いて学費を稼ぎながら学校に通い、双子は1年と半年で課題を納めた。無事調理師免許も取得した。
賞状の様なそれを見せた時両親はもちろん喜んでくれたが、マリコちゃんも飛び上がって歓喜してくれた。
「これでお店ができるな!」
そんなマリコちゃんに笑いながらも、双子は言った。
「すぐには無理やで。もっと修行せんと。お金も貯めなね」
「やな。最低でも5年は修行せんとな」
するとマリコちゃんは「5年も!」と仰天して目を剥いた。
「もう2年近くも待ったんじゃ。5年は待てぬぞ。そんなにも掛かるものなのか?」
「うーん、けどさ、やっぱり最低でもそれぐらいやらんと、人に出せるもん作れるぐらいになれへんやろ」
陽は困り顔を浮かべる。マリコちゃんの気持ちももっともだが、陽の言葉もその通りだ。朔は「そうやねぇ」と腕を組んだ。朔と陽が母に教えてもらったもの、調理学校で習った技術、それらを合算してみて。
やはり時期尚早だろうと思う。だがマリコちゃんをさんざん待たせた。なら今決めるべきでは無いだろうか。
マリコちゃんは小さな手で陽の服を掴んで「待~て~ぬ~ぞ~」とゆさゆさと揺すっている。陽は顔をしかめながらもそれを甘んじて受け入れていた。
「陽、やろう」
朔は力強く言う。すると陽が「へ?」とぽかんとした顔を上げた。
「やろうって、何を」
「お店よ。また取らなあかん資格もあるしお金もまだまだだけど、やろう」
「いや、無理やろ」
「すぐには無理やけど、他のお店での修行とかもうすっ飛ばして、まずは資格取ろう。で、マリコちゃんに助けてもらおう」
「助けてって、朔、あんたまさか」
「そう。宝くじや」
陽は複雑そうな顔をする。しかし朔は眸に迷い無い意思を示していた。マリコちゃんは「おお」と嬉しそうに手を叩く。
「もちろんお店始めんのに必要な全額や無いよ。銀行で借りれる様になるぐらいの金額や。無一文じゃ銀行も貸してくれへんでしょ」
「わしは全額でも構わんのじゃぞ」
「ありがたいけどそれはあかんよ。自己資金が見込めるだけでも私らは恵まれてるんよ。できるだけ自分たちの力でやらな」
「そりゃあ当たり前やろ。でもそれでええんか? お金もやけど技術ももっと磨いた方がええんちゃうか?」
「お前たちは本当に真面目じゃなぁ。さすが謙太と紗江の子じゃ。解った。朔の思いを汲むとしようかの」
マリコちゃんが言ってくれて、朔はほっと息を吐いた。陽はまだ納得いかない様な表情を浮かべていたが、マリコちゃんがようやくここまで折れてくれたことと、頑固と言われる朔の提案だからか、ふぅと諦めた様に息を吐いて目を伏せた。
「分かった。じゃあ明日にでも宝くじ買って来るか。それで取れる資格取るで」
「ふふ。決めたらフットワーク軽いやんね、陽は」
「善は急げって言うやろ」
「そうやね」
「よし。二言は無いな?」
マリコちゃんが言うので双子は「うん」と頷いた。
「では楽しみにしておるぞ」
マリコちゃんはにっこりと笑った。
それから双子は飲食店経営に必要な免許を取得した。買って来た宝くじも無事に当たった。マリコちゃんを信じてはいたが、本当なのだろうかと抽選日には緊張したものだった。
両親とも話し合い、店が軌道に乗るまでは実家暮らしを許してもらうことができた。本当に甘えているとは思うが、そんな中でもできるだけ親孝行をして行きたいと心の底から思った。
銀行からの融資、店舗の賃貸契約も無事済み、さてお料理をどうしようかと言う時。それは店の内装などにも関わって来ることだ。お料理の内容と内装は合っている方が良いだろう。
「マリコちゃんがスポンサーなんやから、マリコちゃんが好きなもんを出すんはどうやろ」
「それはええな。マリコちゃんは何が好きなんや?」
それは10年以上も共に過ごして来て、初めて出た疑問でもあった。マリコちゃんはいつも母や双子が作るものをどれも美味しそうに食べていたので、特に考えたことが無かったのだ。
「わしら座敷童子は小豆が好きじゃ。赤飯や善哉などはご馳走じゃな」
「赤飯かぁ。なんか祝い事とかに食うイメージよな」
「そうやんね。受験合格した時とかにお母さんが炊いてくれたやんね。今はコンビニとかでもおにぎりで買えるから、手軽に食べられるけど」
「昔は蒸し器を使って手間暇掛けて作ったものじゃ。今では炊飯器で炊けるんじゃからな。良いことじゃ」
「じゃあさ、追加料金でお赤飯を出す食堂にしようよ。お酒はビールとか少しぐらいにして」
「なるほどな。で、おかずを和食にして。やったら学校で習た技術もやけどさ、母さんが教えてくれた、お出汁を効かせた優しい味のお惣菜作ろうや」
「ええね! 白いご飯にも合うやんね」
盛り上がる双子をマリコちゃんはにこにことご機嫌で見つめる。
「ではわしは、その赤飯にほんの少しの加護を与えようかの」
「お赤飯にご加護?」
「そうじゃ。食べたら少し良いことが起こったりの。まぁしばらく着ておらん服を久々に着たら、ポケットから小銭が出て来るぐらいの小さなことじゃ」
「あはは、それ普通に嬉しいやん。うちで赤飯食べたらええことがあるとかって評判になったら、お客さんも来てくれるやろか」
「看板に「食べたらええことがあるお赤飯」とか書いてみる?」
「それはむしろ胡散臭いやろな。でも口コミとかで広がったりしたらええな」
双子とマリコちゃんは何日も掛けて話し合いを重ね、オープンさせるお店の内容を詰めて行った。店名はマリコちゃんが好きな小豆から付けるというのはすぐに決まった。マリコちゃんは「可愛いのう」とご満悦だった。
そうして「あずき食堂」は無事オープンしたのである。営むのは朔と陽のふたりだが、マリコちゃんのご加護があって成り立つお店だ。食べることは大勢の人を幸せにする。だがそこにほんの少し幸福の上乗せができたら良いと思うのだ。
明石さんの奥さまがあずき食堂に来るのを許してくれるのも、柏木さんのバンドのCD売り上げや配信などがいつもより好調なのも、マリコちゃんのお加護があるお赤飯のお陰なのだ。
朔と陽の技術はまだまだ拙いかも知れない。だが1品1品思いを込めて、食べてくださるお客さまの幸いを願おう。
10
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
すこやか食堂のゆかいな人々
山いい奈
ライト文芸
貧血体質で悩まされている、常盤みのり。
母親が栄養学の本を読みながらごはんを作ってくれているのを見て、みのりも興味を持った。
心を癒し、食べるもので健康になれる様な食堂を開きたい。それがみのりの目標になっていた。
短大で栄養学を学び、専門学校でお料理を学び、体調を見ながら日本料理店でのアルバイトに励み、お料理教室で技を鍛えて来た。
そしてみのりは、両親や幼なじみ、お料理教室の先生、テナントビルのオーナーの力を借りて、すこやか食堂をオープンする。
一癖も二癖もある周りの人々やお客さまに囲まれて、みのりは奮闘する。
やがて、それはみのりの家族の問題に繋がっていく。
じんわりと、だがほっこりと心暖まる物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ギリシャ神話における略奪婚のその後。
真守 輪
キャラ文芸
親子ほども歳の離れた夫との退屈な結婚生活の中で、久しぶりに出逢った幼馴染の少年は、昔とはまるで違っていた。野生的な美貌。これ見よがしにはだけたシャツの胸元もあたしには、いやらしく見えて不安になる。
親しげに話しかけてくる彼のペースにあたしは、巻き込まれていく。
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
便利屋ブルーヘブン、営業中。
卯崎瑛珠
キャラ文芸
とあるノスタルジックなアーケード商店街にある、小さな便利屋『ブルーヘブン』。
店主の天さんは、実は天狗だ。
もちろん人間のふりをして生きているが、なぜか問題を抱えた人々が、吸い寄せられるようにやってくる。
「どんな依頼も、断らないのがモットーだからな」と言いつつ、今日も誰かを救うのだ。
神通力に、羽団扇。高下駄に……時々伸びる鼻。
仲間にも、実は大妖怪がいたりして。
コワモテ大天狗、妖怪チート!?で、世直しにいざ参らん!
(あ、いえ、ただの便利屋です。)
-----------------------------
ほっこり・じんわり大賞奨励賞作品です。
カクヨムとノベプラにも掲載しています。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる