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6   スズ    &ケイ

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 五日間の逢瀬を重ねた後、二日間はお休みと言われたけど、私はどこで過ごせばいいんだろう。

 そう思って不安だったけど、昼の十二時に私はぽつんと一軒家にいた。
 人の気配はないけど、掃除もされてとても心地がいい。
 ダイニングテーブルの上に一枚の手紙と地図が置いてあった。



『 スズへ

 ヒャッホー!
 楽しんでくれているかな?
 この家はケイのいとこの領地に建てられているから、食事や家事は基本的にお手伝いさんがやってくれるよ☆
 困ったらケイを呼ぶといい。
 
 男たちが住んでいる場所をまとめた地図をおいたから見たら寝室にでも隠しておくこと。
 一人歩きができるのも番様と呼ばれるこの街の中だけだから気をつけること。
 だけど旅人には注意☆

 この家にケイ以外呼んでも誰も責めないから好きに使ってね♫

      あなたの女神より 』





 女神様……色々突っ込みたいこともあるけど、ありがとう‼︎

 テーブルの上の地図は五人と私の居場所が描いてある。
 近い順で。
 まず、ケイの住まいまでは歩ける範囲。
 キーランの隠れ家が街のはずれ。
 多分歩けるけど、職業柄行ってはだめだろうな。

 クラウスは南側の隣町。
 カーソンは北側の沼地。
 二人には…乗り物がないと難しそう。

 コリーは亜空間だから声に出して呼べばいいらしい。
 仕事中とゲーム中以外は対応可、だって。
 頼りになるんだかならないんだか。

 とりあえず、地図を寝室へ仕舞わなくては。
 ダイニングの隣にバスルームとトイレ、その奥に寝室。
 扉を開けてがっくりきた。

 部屋いっぱいのキングサイズのベッド。
 いや、掃除大変じゃん。
 私こんな広いところでゆっくり寝れてうれしい~、って、ならんな。
 落ち着かないかも。

 とりあえず何か食べたい。

 ダイニングに戻ってカウンターをのぞく。
 カゴに盛られた果物、パンなど置いてある。
 小鍋に煮込んだシチューもあるみたい。
 ありがたい、けど、やっぱり後でケイと相談しようかな。
 食糧が余ったらもったいないから。

 コンロの使い方が分からなくてパンと一緒に冷たいまま頂く。 
 おいしいし、昼間だからこれでいいけど。
 灯りのつけ方もわからないし、なんとかしなくちゃ。

 窓から外をのぞくと、歩いている人がちらほらいる。
 ざっくり描かれた地図通りに、ケイのところへ向かおう。
 困ったら女の人……少ないな……。
 子連れの人に話しかけよう。
 そう決めて、テーブルに置いてあった鍵で戸締りした後、私は通りに出た。







 ケイの家にたどり着く前に私は腕を掴まれて、びくっと震えた。
 
「スズ」
「ケイ! よかったぁ……」

 私からぎゅっと抱きつく。

「街のみんなからスズが一人で歩いてると聞いて家を出たところだった」
「ケイのところに行こうと思ってたの」

 そう言うと力強く抱きしめられる。

「休みの日も会えるのは嬉しいな。何か困ったこと、ないか?」
「うん、あのね。今から家に来れる? 忙しいかな?」
「いや、大丈夫だ。このまま一緒に行くよ」

 ケイに腰を抱かれながらゆっくりと歩く。

「ケイの街に住めて嬉しいな」
「俺も、嬉しいよ」

 





 コンロの使い方や灯りのつけ方を教えてもらう。
 お手伝いさんが来る時間は私が来る日の午前中に二日分の食事を作り置きしてくれて、残ったら二日後に持ち帰って分けたり、家畜に与えるから心配するなと言われた。
 誰か夫が訪ねてきてもいいように大目に作られているそう。
 やっぱりちょっともったいないかなぁとも思うけど。
 
「今日はケイが来てくれたから無駄にならないで済むかな……あれ? 泊まれない?」

 私の言葉に驚いた様子を見せる。

「一人でいたいんじゃないのか?」
「あの部屋のベッド、見た? 私一人であんなところで寂しく寝るの?」
「……スズ。素直なのはかわいいが、煽ってはいけないよ」
「そんなの、ケイにだけだもん……ただ、一緒に眠りたいだけ。それじゃいや?」

 ふぅ、っと息を吐いて私を抱きしめる。

「いいよ。俺の唯一の番の頼みだからな。それに……時間を気にせず一緒にいられるなんて嬉しくてたまらない」
「……私も。なんでこんなに心地いいんだろう」
「俺もだ」

 そっと唇が重なる。

「あっ……」

 もう一度唇が重なって、私はケイにしがみついた。

「ケイ……」
「かわいいよ、スズ」

 ケイから漏れる魔力で私はあっさりと欲情してしまう。

「ケイ……わざと?」
「そんなわけ、ない」

 ほんの少し、口角が上がる。

「ん……いいよ、もう。ケイが好き。……でも気を失うくらいされちゃうのは困るかな……」
「……善処する」

 大きなベッドに移動して二人で倒れ込む。

「この間、魔法見せられなかっただろう?」

 そう言って、ランプに灯りを灯す。
 
「きれい……。すごいね、ケイは」
「このくらい簡単だよ」
 
 お互いが見えすぎないくらいの程よい明るさに私は安心する。

「スズ……きれいだ」

 私の服が脱がしながら口づけを落とす。
 柔らかく甘噛みされて私は震えた。

「ケイのこと、早く感じたい」
「せっかちだな」

 そう言いながらも私の蜜口に熱い剛直を当て、ずぶずぶと押し込む。
 解されていないのに、私の身体は彼の熱を思い出して誘い込むようにうごめく。

「かわいいな、俺の番は」
「だって!」

 じゅぷじゅぷと音を立てて抽挿されて私は簡単に達してしまう。

「んんーーっっ……」

 ケイの剛直を味わうようにきゅうきゅう絞り込む。
 
「……いいね」

 低い声で囁かれ、激しく打ちつけられる。
 さらに私の脚を深く折り曲げて、ケイがより近くなった。

「ケイっ……それっ、おかしく、なるっ……」
「それで、いい……愛してるよ」

 苦しそうに息を詰めたケイが私の中に白濁を吐き出す。
 ゆるゆると動かしてからそっと抜きとって、私を抱きしめて大きく息を吐いた。

「幸せだな」
「私も」








 翌日は二人でいちゃいちゃしながら寝坊してゆっくりブランチをとった。
 そのままのんびりとケイの膝に乗っていたら扉を叩かれた。

「ケイ様、いらっしゃいますか? 領主様から言伝がごさいます」

 二人で目を見合わせる。

「……仕事だ。残念だな。思いがけず一緒に過ごせてよかった。スズ、俺はこのまま帰るから戸締りをしっかりしておくように」

 扉まで見送ると、そっと額に口づけが落とされた。
 魔力のせいか甘い余韻が残る。


「次の逢瀬を楽しみにしている」
 
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