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3 クラウス
しおりを挟む* 無理やり表現があります。苦手な方はバックしてくださいませ。
* * * * *
ご飯ちゃんと食べてるのかな?
世話を焼きたくなる。
そんな優しい気持ちを抱いたけれど。
「ここが、私の家です」
本に囲まれた部屋は仕事部屋、ではなく居間だった。
寝室もベッド以外は本が山積みで、研究熱心なんだなと思う。
「本がたくさんだね。どんなことを教えているの?」
「……幼い子どもたちに算術を教えています。ですが本来は……」
そこでにっこりと無邪気に笑った。
だけどなんだか、雰囲気がおかしい。
「女性の人口を増やす研究です。女神様のおかげであなたに出会えたので、隅から隅まであなたを知りたいのです」
研究オタクなんだろうな、よく言えば。
でもなぜか、この部屋から出たくなった。
ぱちゅんぱちゅんと肌を打つ音が響く部屋で私は枕に顔を埋めた。
「……んっ、……んん、んあっっ……」
「あぁ、スズ……すごく、いいです」
「……もう、むりぃ……」
「もっと、あなたをっ……!」
私の背中で荒い息を吐くクラウスは二度目の精を吐き出した。
背中に口づけ、私の胸を触っているうちに簡単に硬度を取り戻して、ぐりぐりと奥を攻める。
「ふぁぁっ……」
そのままグラインドしてぐちょぐちょと私の中をかき回すから、溢れて滴っているのを感じた。
どうやら彼は女性が初めてらしい。
止まらない性欲に私は揺さぶられ続ける。
身体を起こしておくこともできず、クラウスに引き上げられた腰だけをあげているという恥ずかしい体位で。
「たくさん、子どもほしいですね」
彼は全然総受けじゃない。
いや、確かにね、私に出会わなかったらそうだっただろうけどね。
穏やかに過ごせそう?
ナニ、ソレ?
女神様、こんなのあり?
目が覚めると私は柔らかなベッドに寝かされていた。
ちょっとなにが起きたかわからない。
さっきのは夢だと思いたいけど、カラダが痛い。
「スズ……起きましたか?」
「クラウス……」
ここに来て研究対象のごとく、身体検査をされ、うまいこと言われて脱がされてそのまま何度も抱かれた。
この人、嫁が欲しかったわけじゃないよね?
初めの好感度が高かった分、がっかりだ。
「……ごめんなさい、あなたが来てくれて嬉しくて舞い上がってやり過ぎてしまいました」
眉毛を下げて困ったように笑う。
それくらいじゃ機嫌は治らないけど。
「いい研究対象だった?」
「それはっ……そうですが……その前にあなたは私の最愛の人です」
「……………」
最愛ってさ……。
このタイミングで言われても嬉しくないし。
「あなたってさ。研究ばかなの? 女性にこんな扱いして、この先上手くいくと思うわけ?」
「…………ごめんなさい」
「もっとさ、女心の研究したほうがいいよ」
私の言葉に彼は顔を上げた。
「わかりました。そう、します。……だから、嫌わないで」
捨てられた子犬みたいな顔されるとね、許せはしないけどほんの少しくらい歩み寄ってもいい。
私は小さく頷いた。
お昼ご飯も食べずに抱かれて、腹ぺこの私が目覚めたのは夜の十二時頃だったらしい。
「寝食を忘れがちなので、午前中は家政婦に掃除や料理のストックを準備してもらってます。ここではのんびりしていただければ……」
「わかった。じゃあ、あまり家にいない方がいいかもね。外に出てみたいのだけど」
「では明日の午前中に一緒に出かけましょう」
クラウスの住まいは市街地にあるから、街並みを見て回るのは面白そう。
「……いいの?」
「もちろんです。それに……女性一人で出歩くのはやはり危ないので」
誘拐とか人身売買とかあると言う。
「女の人に手を出したら死罪じゃないの?」
「バレなければいいと思ってる輩もいますから」
街歩き、楽しい。
これ、旅行に来たみたいな気分だわ。
お土産、買いたい!
あげる人いないけど。
おいしいもの食べたい!
お金持ってないけど、そう思っていたらクラウスがおごってくれた。
朝市で焼き立てのパンと厚切りのベーコンを買って、挟んで食べる。
「チーズもあればよかったな」
「じゃあ、次は他の朝市にいきましょう」
「うん」
絆されちゃったかな。
街を案内する彼は物知りだから私の質問に何でも答えてくれておもしろい。
外に出ている分には彼はいい人だ。
うん。
ちゃんと、気遣いできるし、優しいし穏やかだし。
今日はこのまま家に戻らないで過ごしたいな。
彼が私の顔を見て微笑んだ。
「楽しいですか?」
「うん。明るくて、いい街だね。食べ物もおいしいし」
「それはよかったです。この先にきれいな噴水の公園があるのでそちらで一息休みましょうか」
「はい」
導かれるまま歩いていると、時々子供やその親から声をかけられる。
「先生!結婚したの?」
「……これからだよ。まだ口説いてるところなんだ」
「がんばってね!」
なんて会話を何度もすることになった。
妻だって言っちゃわないところが彼らしいのかも。
私がもの言いたげな視線を送ると、困ったように笑う。
「……本当のことでしょう?あなたを好きだとわかってもらえないと私は死んでしまいます」
「そんなことないでしょ」
「いえ、本当に。あなたがこの街に、私の隣にいるだけでこんなに幸せな気持ちになれるんです。あなたのいない世界なんて考えられません……」
うわー。
「あなたにも私を好きになってほしい。……今後はあなたにお伺いを立ててから触れます。無理やりなことはしませんから」
「わかった」
簡単に答える私は、単純だ。
クラウス、悪い奴じゃない。
私のこと好きで暴走したんだと思えば。
「次も外でデートしてくれる?」
「はい、もちろんです」
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