7 / 9
☆
6 (終)※
しおりを挟むすべてをさらしたニールスが私の膝の裏に手をかけて持ち上げると、陰茎をこすりつける。
なんとなく思っていたけれど。
とても大きい。
「ヨハンナ、愛している」
腰を進めて押し入ってきたそれの長大さに慌てた身体が上にずり上がる。
「逃げないでくれ」
ニールスの言葉と同時に私はバランスをとるように彼に腕を伸ばした。
なにかにつかまっていなければ、身体がバラバラになってしまいそうな感覚。
ほっとしたようにニールスは私が求めるまま、身体を倒して抱きしめた。
それからぐっ、と奥深くまで突き入れられる。
「あ、は……ッ」
ぞわりと肌が粟立つ。
痛みはないけれど、想像以上に大きく拡げられる初めての感覚は恐怖に近かった。
脚が震えている。
「ぜんぶ?」
これ以上先があったらどうしよう。
「……あぁ」
「よかった」
相変わらず鼓動は速いままだけど、私がほっとして息を吐くのと同時にニールスも深く息を吐いた。
「こうしているだけでも気持ちいい」
「……嘘」
「嘘じゃない、ヨハンナが誘うように締めつけてくるから」
ニールスが笑うと彼の陰茎も揺れる。
呼吸するたびに大きく膨らんだカリ首が内壁をこするから、こちらも反応してしているだけ。
「してないわ、そんなこと……」
熱くて、形まで伝わってくる。
粟立った肌も落ち着いて、身体だけじゃなくて心も順応してきたみたい。
「もう少しこのままでいたいか?」
ニールスが軽く唇をついばみながら聞いてくる。こんなに穏やかで私を優先してくれる営みは初めてで驚いてしまった。
「ヨハンナ?」
そんな私をニールスが愛おしそうに見つめて聞いてくるから、伝える。
「ゆっくりなら、動いても大丈夫と思う」
「わかった」
試すようにゆっくり前後に揺らしただけなのに内壁のすべてをこすられる感覚が生々しく伝わってくる。
「ん、ニールス……」
ぎゅっと彼の首を腕を巻きつけると、耳元でかすかに笑ったのがわかった。
「おいで」
私を抱えたままゆっくりと身体を起こして、太ももの上に乗せる。
深くならないように脚を支えてくれているからニールスが求めるままに安心してキスを愉しんだ。
「ヨハンナ……キスが好きなのか?」
「そうみたい」
心地よくて、気持ちよくて幸せな気持ちになる。
「……それはよかった、俺もだ」
大きな体に包まれて受ける愛しげなキスも、優しく回された腕も、まだまだ余裕がありそう。
と思ったけれど、私の中のニールスの陰茎が時々ピクっと動く。
「ニールス、愛している」
彼の後頭部に指を差し込んで髪の手触りを楽しんでいると、背中に触れる指が背骨に沿ってゆっくり動いた。
ぞくぞくして逃れるように腰を浮かせると、ニールスに引き寄せられる。
そうしてゆったりと密着して愉しんだ後、私は天井を見上げていた。
「動いてもいいか?」
あまりに自然に倒されて無言で頷く。
ニールスの陰茎が一旦引き抜かれた後、なめらかに奥へと進む。
「ああぁ……ッ」
すごい質量。
揺さぶられると、張り出したカリ首が内壁のひだを刺激して甘くうずいてどんどん熱がたまっていく。
「ニー、ルス……っ!」
激しくないのに、最奥に押しつけるような穏やかな動きに身体がとろける。
「ここが好きそうだな」
身体が熱くてまともに考えられない。
誰にも触れられたことのない場所を一定のリズムで刺激するから、彼の思うままに身体をゆだねて長くて深い絶頂に達した。
「……もう少しつき合ってくれ」
大きな手が、私の腰をがっちりつかんで荒々しく打ちつける。十分に時間をかけてもらったからか、ただ快楽に飲み込まれる。
「あ、待っ……ニール、ス! あ、ああっ」
達したはずなのに再び押し上げられてニールスにしがみつく。おぼれそう。
気持ちいい、ただそれしか考えられない。
「気持ちいいな、可愛いヨハンナ」
かすれた声が耳に届く。
きつく抱きしめられたまま、ぐっと奥に押しつけられて彼が熱を放ったのを感じた。
目が覚めると、彼が起き上がるところだった。まだ薄暗い。
「ニールス……?」
自分のかすれた声に驚いて口を閉じる。
「焼きたてのパンを買ってくる。……すぐ戻るから、ゆっくり休んでくれ」
私の唇と目蓋に口づけを落とした。
「飲み物、ここに置いておくよ」
彼が出て行ってから、私は大きく息を吐いた。
昨夜は夢を見ているようだった。
すべてがぴったりで、彼の腕の中にいるとお姫様にでもなった気がした。
あんなに優しく触れられたのも、甘くとかされて何度も達したのも、初めてのことで。
もっと甘えていいのだと、もっと肩の力を抜いていいのだと言われているような気分になった。
営みは運動みたいなものと思っていたけど全然違う。、
彼は身体だけじゃなくて、すべて大きいから余計に気を遣ってくれたのだと思うけど。
二人の初めてだったからかもしれないし、元々の性質かもしれない。後者のような気もした。
今までの自分じゃないみたい。
もう以前と同じ失敗はしたくない。
だからこれからは本来の自分らしく生きよう。
ニールスとならどんなことも前向きに考えられそう。
でも今は起きていられそうもない。
きっと、この後も彼は私を甘くとろかすだろう。だってとても名残惜しそうだったから。
今のうちに眠っておかないと……そう思って私は幸せな気持ちで目を閉じた。
終
******
お読みいただきありがとうございます。
この後はアルヴィンとのエンディング全2話です。
大丈夫な方だけおつき合いいただけると嬉しいです。
61
お気に入りに追加
517
あなたにおすすめの小説
わたくしは悪役令嬢ですので、どうぞお気になさらずに
下菊みこと
恋愛
前世の記憶のおかげで冷静になった悪役令嬢っぽい女の子の、婚約者とのやり直しのお話。
ご都合主義で、ハッピーエンドだけど少し悲しい終わり。
小説家になろう様でも投稿しています。
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。
みゅー
恋愛
王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。
いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。
聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。
王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。
ちょっと切ないお話です。
旦那様が不倫をしていますので
杉本凪咲
恋愛
隣の部屋から音がした。
男女がベッドの上で乱れるような音。
耳を澄ますと、愉し気な声まで聞こえてくる。
私は咄嗟に両手を耳に当てた。
この世界の全ての音を拒否するように。
しかし音は一向に消えない。
私の体を蝕むように、脳裏に永遠と響いていた。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
その日がくるまでは
キムラましゅろう
恋愛
好き……大好き。
私は彼の事が好き。
今だけでいい。
彼がこの町にいる間だけは力いっぱい好きでいたい。
この想いを余す事なく伝えたい。
いずれは赦されて王都へ帰る彼と別れるその日がくるまで。
わたしは、彼に想いを伝え続ける。
故あって王都を追われたルークスに、凍える雪の日に拾われたひつじ。
ひつじの事を“メェ”と呼ぶルークスと共に暮らすうちに彼の事が好きになったひつじは素直にその想いを伝え続ける。
確実に訪れる、別れのその日がくるまで。
完全ご都合、ノーリアリティです。
誤字脱字、お許しくださいませ。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
寡黙な彼は欲望を我慢している
山吹花月
恋愛
近頃態度がそっけない彼。
夜の触れ合いも淡白になった。
彼の態度の変化に浮気を疑うが、原因は真逆だったことを打ち明けられる。
「お前が可愛すぎて、抑えられないんだ」
すれ違い破局危機からの仲直りいちゃ甘らぶえっち。
◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる