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11 ひとつ大人になる② ※

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 シェネイが、顔を覆ってどうぞと言った。
 すべてを委ねてくれる彼女に胸が熱くなる。
 何度か太ももを撫でて、それから脚の間に触れると指先が濡れた。
 なんだか嬉しい。
 そのまま顔を寄せて口づける。

「ん……っ」

 痛くないように、舌を使って彼女を愛する。俺はそうっとシェネイに触れた。
 さらに蜜が溢れて、彼女の吐息に声が混じる。

「シェネイ、痛かったら言って」

 蜜口の周りを指の腹でゆっくりなぞる。
 それからゆっくり指を挿れた。

「……温かい」

 思わずそう漏らして、慌ててシェネイの顔を見る。

「痛い?」
「痛くないわ」
「よかった……少し動かすよ」

 ゆっくり出し挿れして、内壁の温かさときつさを感じて拡げるように動かしてみる。
 もう1本指を増やして馴染ませるように動かしていくうちに余裕が出てきた。

 顔を上げてシェネイを見ると、痛くないと答えてくれる。けど、さっきまでと違って気持ちよくはないみたいだ。
 やっぱりもっと研究書を読めばよかったかも。第6夫人とシェネイは違うから、そのまま真似してもだめってことだよね……。
 
 さっきキスした場所が反応が良かったのを思い出して、舌を伸ばして花芯に触れると、内壁が動いてぎゅっと指を締めつける。

「……あっ、ん……!」

 不意にもらしたシェネイの声が俺を熱くする。恥ずかしそうに口を押さえるのも最高に可愛い。
 指はそのまま、舌は花芯に集中すると、内壁がうごめくのを感じた。
 
「ここがいいのかな……」

 女性の体の神秘に感動しつつ、触れ続ける。舌で花芯を弾いた時、シェネイの背中が弓なりに反り、内壁が指を規則的に締めつけた。

「……はぁっ、はぁっ、はっ……」

 荒い息を吐きながら、彼女の力が抜けていく。
 今、達した? そういうこと?
 なかなか難しいことだって書いてあったから胸がじーんとする。
 今すぐにでも体で感じてみたい。でも、シェネイに痛みを与えたくない。
 だから。
 
「……シェネイ、もう少しだけ」
「イライアス、もう十分だと思います。どうか、……その……」

 ちらりと俺の下肢に目を向けた。
 勃ち上がって下着を押し上げている状態に、彼女も気づいたらしい。

「わかった。脱ぐから待って」

 さっと脱いで、シェネイに覆いかぶさった。
 戸惑った顔をして下肢を見たのは、シェネイにないものだし、あまり見目の良いものではないからかもしれない。
 もう少しなにか……可愛らしければシェネイも怖がらないかも?

 顔でも書いておけばよかったかもしれない。
 彼女は俺の手を取り、指を絡めてじっと見た後で俺自身を見つめた。

「その……本当に入るのですよね……? いえ、その……」
「そのはずです。やはりもう少し準備を」
「いえ、このままお願いします。最初は皆、痛いと聞いてますし、ためらわないで下さい」

「シェネイ……」
「お願い」

 強い視線に俺は頷いて、彼女の蜜口へひたりと当てた。
 本能は突き進めというけれど、本当に収まるのか半信半疑ではある。
 大きく息を吐いてから、俺自身に手を添えたままゆっくり腰を進めた。

「どうか、そのまま……」

 彼女が俺に向かって手を伸ばす。
 抱きしめるために、体を倒しながら彼女を押し拓いた。

「……っ!」

 深くつながったまま、震える彼女を囲うように抱きしめる。

「痛いね、シェネイ」

 男も痛いなんて知らなかった。

「……イライアスも?」
「うん、すごく痛い」

 シェネイが慰めるように俺の背中を撫でる。

「でも俺は男だし! シェネイの方が痛いよね……ごめん、下手で」
「そんなことない……ずっと気持ちよかったもの」

 お互いに涙が浮かぶのは痛いからだけじゃないと思う。
 気持ちも近づく、幸せな行為なんだ。

「シェネイ、好きだ。愛してる」
「私も……イライアス大好き」

 そのまま、唇を合わせて何度も口づける。
 キスしていると、気持ちよくてお互いの緊張が緩むのか、シェネイに包み込まれた俺自身がピクリと動いた。

「んっ、いま……?」

 内壁が動くのを俺が感じとれるように、シェネイも俺自身の動きがわかったらしい。

「シェネイ、痛みはどう? 俺はすごく気持ちがよくなってきた……ごめん」
「謝らないで。嬉しいから……動いていいよ」

 そう言って俺の頬をそっと撫でる。
 その仕草にキュンときて、手のひらに頬を擦り寄せた。
 愛おしくて、たまらない。

「シェネイ、愛している」

 腰を引いただけで、ぞくぞくした。
 欲求に抗えず、数度の抜き挿しであっけなく精を吐き出してしまって、しょんぼりした気持ちで彼女を抱きしめる。  

「私も愛しているわ、イライアス」

 最初から失敗して情けない。
 そんな俺を慰めるように再び背中を撫でてくれる。

「……優しくしてくれてありがとう」
「シェネイのほうが優しいよ……俺、情けない」

 言葉も繕うことができないくらい落ち込む。だって、彼女をめくるめく愛の世界に連れていけなかった……。

「イライアスは私を宝物みたいに優しく触れてくれた。だからすごく幸せで、痛いのも少しだったわ。だから、次はお互いもっと上手くいくと思うの」
「シェネイ……俺、シェネイと結婚できて本当に幸せだ。また……してくれる?」
「……あとでなら」

 抱き合って、キスをして、笑い合って、少し眠った。
 恥ずかしがる彼女の体を清めて……なのに触れたくなって。

 いいよっていうシェネイに俺は。

「今はしない! だってシェネイは痛いでしょ? 領地に戻ったら新しい寝室だから、その時は我慢できないと思うんだ。その時は、もっとしていい?」
「はい……イライアス、大好き」

 俺も大好きだって、何度だって口に出してしまうのは我慢できなかった!
 
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