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21   デート

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 私が落ち着くまで、オーブリーに柔らかく抱きしめられて宥められる。
 
「オーブリー、大好き」
「俺も大好きだよ、エラ。……きれいにするからこのまま待って」

 そのまま身を起こそうとするから私は慌てて抱きついた。

「オーブリーは……? だって、その、それ……」

 オーブリーは高ぶりを私に触れないようにしていたけど、昂奮しているのは気づいていた。
 
「……しばらくしたら治るから」
「あの。でも……オーブリーが苦しそう。……私……してもいい?」
「…………何を?」

 お客さんの話では女の人からアレを舐められると気持ちいいと言っていた、気がする。
 オーブリーだって私にしてくれたんだもの。
 
 彼の肩を押して起き上がる。
 一緒に起き上がったオーブリーの脚の間に手を伸ばしてズボンを緩めた。

「……エラ?」
「……やってみる。……頑張るから」

 ズボンの中に手を入れて温かくて硬い彼のモノをそっと握った。
 どのくらい力を入れていいか分からなくて、にぎにぎと指を動かした。
 ぴくぴくと動くし、温かくて硬いけれど表面はなめらかな触り心地。
 でもごつごつもしてるような?

「……何しようと、してる?」

 低くかすれた声に顔を上げる。

「あの……舐めていい、かな?」
「……ああ、エラ。……して欲しいけど、まだ早い」

 ぎゅっと抱きしめられて息ができない。
 私が握ったままのアレがぴくっと動いて湿った感覚がする。

「それはまた今度で……今は手を貸してくれ」

 ベッドに並んで腰かけ、下着を下げた。
 その存在感に私は圧倒される。
 けど、温かくて触れるとぴくりと動くところなんて別の生き物みたいで不思議とかわいく思える。
 でも、片手では握れない太さに首を傾げる。

「本当に、私の中に……」
「入ったし、次もちゃんと入る。……この辺握って」

 私の手に彼の手が重なり、くびれたところを握って上下する。

「いいよ……そのまま続けて……」

 吐息まじりの色気のある声に私が顔を上げると唇が重なった。
 初めから舌が絡められて、私は酔う。
 右手がおろそかになるとぎゅっと上から包まれて少し早く動かした。

「……っ!」

 オーブリーがさっと上からタオルをかぶせたから彼が吐き出したものが私たちの手を濡らす。
 色っぽい表情を見せるオーブリーに私はドキドキして見入る。
 荒い息が治まるのを待って、私が話しかけた。

「あまり小さくならないのね……?」
「……そんなにみるなよ。ここで最後までしたくないだろう?」

 私の手を拭い、さっと吐き出したものを拭いて立ち上がる。
 ポケットからハンカチを取り出して私の前にしゃがみ込んだ。

「エラも、気持ち悪いだろ?」

 スカートをまくって脚の間を拭こうとするから、自分ですると身をよじる。

「これも……未来の夫の役目だから」
「……わかった。でも恥ずかしい」

 オーブリーがにっこりと笑って太ももの上までスカートをあげ、脚の間にそっとハンカチを当てられる。

「食べてしまいたいな……。なあ、エラ、結婚式の後、何日休める?」
「五日休んでいいって言われたよ。オーブリーは?」
「俺も五日休みだ。よかった……その時は我慢しないから」

 欲を孕んだ瞳に射抜かれたのは一瞬のことで。
 次の瞬間にはいつもの穏やかな顔で私は抱きしめられた。

 






 部屋にいると、くっついていたくなるので身支度を整えて階下に降りた。
 誰もいない。
 おかしいねって言いながら外を覗くと父さんが中庭で日向ぼっこをしている。
 オーブリーの進言のおかげで、みるみる調子が良くなっていて、これなら仕事復帰もできそうとみんなで喜んだ。
 
「父さん」
「あぁ、エラにオーブリー、出かけるのかい?」
「こんにちは、トムさん。これから街にでて食事をして来ます。遅くなる前に送り届けるので安心してください」
「ははっ、君のこと信頼してるから、朝までに帰してよ」
「……それほど遅くなりませんよ。でも、ありがとうございます」

 ちょっと恥ずかしくて黙ったままの私の手を取り街へ繰り出した。








 いきなり連れてこられたのが一度も踏み入れたことのない宝飾店で驚く。
 
「いくつか勝手に選んでしまったけど……とりあえず見て。他に欲しいものあったら言って」

 部屋の奥に通されて、真珠のセット、珊瑚のセット、二人の結婚指輪が並ぶ。

「オーブリー?」

 結婚指輪だけでいいよ、と小声で伝える。
 にっこり笑ったオーブリーが、奥さんを飾り立てるのに少ないくらいだと言う。
 ずっと船に乗っていたから、金を使うこともなくて心配する必要ないから、と笑った。
 
「一緒に出かける時につけて欲しい。この世で一番きれいな奥さんは俺のエラだって感じて嬉しくなるから」
「うん。恥ずかしい、けど、ありがとう」

 もう十分だからね、と言ったのに話を聞いていた店員が次から次へと持ってきてオーブリーに勧めるし、端から買おうとするから困ってしまった。
 その後向かった仕立て屋でも同じことが起こる。

「オーブリー、もう十分だから」
「いや、これも着てみて。……うん、きれいだ、買おう。……それと、最後にこれ、着て」
「……最後だよ?」

 何着も着替えてさすがに疲れた。
 オーブリーがこんなに服にこだわるとは思わなくて驚く。

「俺の選んだものでエラを飾りたいんだ。……ただ、嫌なものは嫌って言って」

 いつもより大人っぽい作りのワンピースは、身体のラインをきれいに見せてくれる。

「本当に美しいな……エラは」

 満足げに笑うオーブリーを見て、私はもごもごとありがとうと答えた。

 そのまま着替えずに向かった料理店は照明を落としたロマンティックな作りで、胸がいっぱいで食事が喉を通らない。

「どうした? 口に合わない?」
「そうじゃないの……おいしいよ。私、幸せすぎて。夢みたいで」
「まだたいしたことしていないよ。これからもっとエラを幸せにしたい」

 私は首を横に振った。

「あのね、こうしてオーブリーと一緒に過ごせるだけで私は幸せなの。……あんまりたくさん買ってもらうとどうしていいかわからないから、しばらく何もいらないからね?」

 エラは欲がないな、と笑われたけど小さい頃あんなに焦がれたオーブリーの隣に立てる今、それ以上に欲しいものなんてない。



 
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