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14   二人の夜5

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「ぁ……」

 あんなに指で拡げられたのに、思い切り引き伸ばされているような感覚に私の身体がこわばる。

「……っ!」

 オーブリーが腰を引く。
 ほっとしていると、もう一度入ってきて圧がかかった。
 
「息、吐いて……」

 そう言われて呼吸することを思い出す。
 私がゆっくりと息を吐くとオーブリーが腰を進める。
 そうやってゆっくりゆっくり、腰を揺らした。

「そう、上手だ……」
 
 オーブリーの額に汗がにじむ。

「そろそろ……全部、入った……?」
「あと、少し」
「多分、大丈夫、と思う……から、いいよ?」
「……あぁ、もう、エラ。……まだ少し、我慢して」

 腰を引いてからさっきより深く侵入してくる。

「んんっ……」
「痛い?」
「……だい、じょぶ……お腹の、中が……オーブリーで、いっぱい、だけど……」

 私に覆いかぶさってそっと口づけた。
 交わる角度が変わって驚く。

「あ……」
「もう、煽るなって」

 上からゆっくりと突き込まれて、ぴりっとした痛みに声を上げた。

「んぁっ……!」
「ごめん……これで全部だよ」

 私の太腿にオーブリーの腰が当たって、温かい人肌にほっとした。
 何度か唇を啄みながらそのまま待っていてくれる。
 頬を撫でる手が優しくて。
 大事にされていると思えて、好きだという気持ちが溢れる。
 本当に、ずっと好きでよかった。

「ありがとう……オーブリー……」
「大丈夫か?」 
「うん……まだ苦しい、けど……嬉しい。大好き、オーブリー……んっ」

 私の中でぴくりとオーブリーのモノが動いた。

「エラ、愛してる。一生、大切にするから、俺以外見るな」
「うん……これまでだって、オーブリーしか見てこなかったもの」
「……この九年が惜しいな……」
「そう、だね……でも。これからはずっと……一緒にいられるんでしょ……?」

 私が見上げると、柔らかい笑みを浮かべてゆっくりと唇を重ねてきた。

「ああ。ずっと一緒だ」

 そう言って笑った顔は色っぽい。
 こんなふうに初めてを過ごせるなんて。
 今夜のことは一生忘れられない。

「もう……大丈夫だよ」
「ありがとう、エラ。……一緒に、気持ちよくなろう」

 オーブリーが馴染ませるようにゆっくりと腰を回した。
 それから、身を引いてあっさり抜いた。
 大きなオーブリーのモノが私の中から出る感覚に身体が震える。
 ほっとして力を抜いた私を見たオーブリーが、私の頬を撫でてキスをした。

「ちょっと出血してるか……痛む?」
「思ったより、大丈夫……」

 その後は私をみつめながら、ゆっくりと入ってきた。

「オーブリー、大好き」
「エラ、好きだ。……愛してる」

 大好きな人が私の身体の誰も触れたことのないところを探る。
 痛みはあるのにそれ以上に胸がいっぱいで幸せで。

「大丈夫か?」
「……うん、すき……」
「エラ……かわいい……もう離せないよ」

 オーブリーが、聞き慣れない音を立てながら浅い場所を突き始めた。

「あっ……」

 拡げられた圧迫感と鈍い痛みはあるけれど、じわじわと快感が高まる。
 気持ちいい。
 なんだか涙が出そう、悲しくないのに。
 
「かわいいな、エラ」

 そう言って私とオーブリーの繋がる場所に手を伸ばした。

「やぁっ……」
「本当に、嫌?」

 オーブリーが意地悪だ。
 私一人乱されて。
 いまだ涼しい顔で。
 気持ちいい。
 心を乱すはしたない音が大きくなる。

「エラ、愛してる」

 彼の言葉にお腹の奥が熱くなって、オーブリーが一瞬顔をゆがめた。
 繋がりに伸ばした手を動かしながら揺さぶってくる。
 その動きに私は口を閉じていられない。
 
「……っ、はぁっ……も、だめっ……ぉ、ぶりぃーっ!」
「だめじゃなくて、いいだろ」

 頭の中が真っ白で、わけがわからなくなった。
 オーブリーが私の奥までゆっくり大きく突き始めたから、ふいに涙がこぼれた。

「あっ……、あっ……、あっ……」
「すごい、な……熱くて、うねって……すげぇ、いい」

 荒々しい表情のオーブリーが動きを早める。
 思いがけず奥を突かれて息が止まりそうになった。

「……っ!」

 私の中にじんわりと温かいものが広がる。
 荒い息を吐くオーブリーが私の上に落ちてきてしっかりと抱きしめた。
 男の人の重みを初めて感じて私も背中に腕を回す。

「ごめん、重いよな」

 オーブリーが私を抱きしめたまま反転して、口づけた。

「……無理させたか?」

 私は首を横に振る。

「……大丈夫……と思う……。オーブリー、優しいから」
「エラ、お前だから優しくできるんだ」
「……ありがとう、大好き」

 オーブリーの胸に耳を当てる。
 少し早い心音が逆に私の心を落ち着かせる。

「ミアにも……」

 思わず口に出してはっとする。
 こんな、幸せな時に思い出すなんて。
 オーブリーは小さく笑って頭を撫でた。

「あいつとは一度だけだ。それに……こんな風にはならなかった」
「一度、だけ?」
「そう、妊娠したのを隠そうとやってきた時だけだよ」
「……そう、なんだ……変なこと、言ってごめんなさい…」

 私はオーブリーを信じる。

「いや、いいよ。もう覚えてもいない……特別なのはエラだけだし、今夜のことは……一生忘れられない。これからずっと、エラだけだ」

 もう一度、していいか?
 そう訊かれて私は赤くなって頷いた。

「エラ、愛してる…………気づいているか? 俺がそう言うたびにお前の中が俺を締めつける」
「そんなの、知らない」

 私の中で柔らかくなっていたものがまた硬さを取り戻している。

「こんな風にまた抱きたくなるのもエラだけだよ」

 オーブリーの欲を浮かべた瞳に私は小さく頷いた。





 
 
 
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