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屑でごめん①[改稿版]※☆  私はどうしても婚約者のいる令息達とも身体を重ねなければならなかった。

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* ビッチヒロイン、病み要素、無理矢理描写あります。モブとの絡み多数、ヒーローの登場は遅いです。
* 全六話。うちエンディングが三種類三話(メリバ、バッド、ハッピー)
* 胸糞注意です。痛いのが苦手な方もご注意下さい。シリアスしかありません。時系列がわかりづらくてすみません。ささやかな改稿となっております。



 




******


 二〇七年七月。


「お慕いしております……どうか、どうか、今夜だけ……お情けをください」
「ベッカ……しかし、私は……」

 侯爵令息の瞳が揺れる。
 だって彼には婚約者がいるから。

「わたくしだって、望まぬ相手のもとへと嫁ぐことになるのです……卒業まで待ってもらえないかも、しれません……だからっ、せめて、最初、くらいは……」

 彼に身体を押しつけて、潤んだ瞳でじっとみつめた。

「…………今夜だけ……君を恋人として扱っていいか?」
「はい……今夜のことは死ぬまで、二人だけの秘密です。……約束しましょう? 朝になったら、わたくしたちは今まで通り、オトモダチですわ……」

 彼の唇が躊躇いがちに重なる。
 少しカサついて、熱い。

「……ベッカ……好きだ」
「わたくしも……好きです」

 その後は無遠慮にぬるりと舌がすべりこみ、口内を蹂躙する。
 熱に浮かされたぎこちない動きも愛おしい。
 
「脱がせても?」
「…………はい」

 薄暗闇の中で、ドレスを脱がされそっとベッドに押し倒された。

「怖い……?」
「……少し、だけ……でも。やめないで……」

 私は以前の記憶がある。
 だから、私の身体は初めての痛みを覚えている。

「やさしく、する……」

 彼がそっとふくらみを握る。
 先端を指で弄んだ後、唇に含んだ。
 それから舌で弾き強く吸い上げる。

「んっっ……」

 彼が全身に唇を這わせ、脚のあわいに指をのばす。

「濡れにくい、かな……ちょっと我慢して」

 彼の唇が秘裂に触れた。
 唾液を落として塗り広げ、滑りをよくして花芯に触れる。

「恥ずかし、い……あっ……!」
「ここ、好き? もう少し」

 不器用そうに見えた彼も、閨事については学んでいたようで、蜜口にゆっくりと指を差し入れた。

 この後に快感が待っているとしても、今は違和感しか感じない。
 いや、初めてでそれを求めるのもおかしいか。

「力抜いて」

 花芯を優しく撫でながら、指を抜き差しして二本の指が難なく動くようになった。
 ちゅくちゅくと恥ずかしい音がする。
 彼が私の腰の下に枕を置き、膝の裏に手をかけた。

「あの……わたくし、今夜のために避妊薬を飲んでまいりました。……あとでもう一粒、目の前で飲みますから……」

 最後まで言う前に熱っぽい口づけを落とされて、甘い息が漏れる。

「あぁ、ベッカ……ッ、君を本当の妻にできたなら!」
「……はい……わたくしも」

 蜜口に彼の陰茎が押し当てられ、ぐぐっと先端が押し込められる。

「っ、はぁっ……」
「……すまないっ……!」

 半分ほど腰を進めた後、私の脚を胸に押しつけるようにして一気に貫いた。

「……っ‼︎」

 あまりの痛みに声が出ない。
 涙が溢れる私のまなじりに彼が唇を寄せた。

「愛しい人……」

 彼は優しい。
 こんな私を本当に恋人のように扱ってくれるのだから。

「……初めてが、あなたで、よかった……」

 何度も唇を啄まれて、私の身体も緩む。

「動いても、いい?」
「はい……お好きなように……」

 ぎこちない動きを繰り返した後、私の中に精を吐き出す。

「……ありがとう……」

 
 私の髪を撫でる手が優しいから、彼の腕に包まれたまま、うとうとする。
 とうとう彼と寝てしまったけれど、後悔はなかった。

 学園の卒業まであと半年と少し。








 二〇七年九月。


 朝早くに迎えに来てくれたのは、騎士団長令息。
 
「今日は二人きりで嬉しい。……さあ乗って」

 横座りする私の後ろに彼がまたがる。

「お嬢様、気をつけていってらっしゃいませ」
「ええ、彼と一緒だから大丈夫よ」
「……暗くなる前に戻る」

 彼は饒舌ではないけれど、とても頼りがいがある。

 向かったのは彼の領地の端に位置する森で、ほどよく木々が生い茂り、近くに小さな川が流れていた。

「とても素敵なところで育ったんですね」
「……あぁ、この辺りは俺の庭のようなものだ……人が来ないからのんびりできる」
「……すごく、落ち着く場所だわ」
 
 彼が嫡男ではないからと、見下すような伯爵家の次女と婚約している。
 彼女の姉は公爵家に嫁いだから、なおさら比べてしまうのかもしれないけど、聞くに耐えない暴言の数々に私は彼を慰めた。

「あなたはとても強い方ですのね。身体だけではなく、心も。ちゃんと、見ている方はいらっしゃると思うのです」
「……あなたも、ですか?」

 私はそれに微笑んだだけ。
 彼は能力も高く、努力を怠らない。
 それに奢ったところもなく、そんな姿は周りから好ましく映る。

 騎士団長になる日も来るかもしれない。
 婚約者は見る目がないと思う。
 誠実な方だから、恋に浮かれることはなくとも愛を育んでいくことはできるはずだし、きっと幸せな家庭を築けるだろうに。

「……あなたもわたくしも、望んだ相手と結婚できませんが……相手との関係をよくする努力はしてみるべきだと思っております」
「ベッカ……」

 彼が何かを諦めたようにギュッと拳を握る。

「……でも、こうして二人きりでいると、このまま歳を重ねていけたらどんなに幸せだろうか、と……そんなふうに考えてしまうのです」
「ベッカ……俺と……」

 私は彼の唇に指を当てる。

「その先を言ってはダメです。……この先どんなことがあっても、生きていけるようにあなたとの思い出をくださいませんか?」
「それは……」
「わたくしの婚約相手は、確定はしてませんが、父の友人の後添えを望まれております……」
 
 父が融資を受けているやり手の男爵で、私に来た釣書の中で一番の資産家だから他は断ってしまったと聞く。

「それはまた……父親ほど歳が離れているのか?」

 眉を潜めて考え込む彼の頬に手を伸ばす。

「だから……あなたに初めての相手になってほしいのです。そのくらいの意趣返し、いいでしょう?」

 あなたが相手だと一生言いませんから、あなたも秘密にすると約束してください、と彼を見つめて微笑んだ。

「ベッカ……騎士の見習いではあるが……誓わせてほしい。今日のことは二人だけの秘密だ。だから……」
「はい、あなたが、すき……」
「ベッカ‼︎」

 性急に唇を重ねられ、口の周りが唾液でベタベタになる。
 そのまま荒々しく胸を揉まれ、ブランケットの上に押し倒された。
 彼はスカートをまくり上げると脚のあわいに無骨な指を這わせる。

 下着の合わせ目が裂ける音がしたと思うと、彼の指がじかにあわいに触れた。
 震える私に彼がなだめるように声をかける。

「……ベッカに触れていると思うと、今すぐ爆発してしまいそうだ」

 そう言って彼は陰茎を私の蜜口に当てる。
 本当に性急。

「いい?」
「…………はい」
 
 震える私に口づけを落とす。
 それから彼が腰を前後させながら解していない狭い隘路を拡げていく。
 彼の唸り声を聞きながら、痛みと共に私は彼の全てを受け入れた。
 声は我慢できても、涙まで止めることができない。

「泣かせてすまない……だが、ベッカの初めてを俺のものにできて嬉しいと、思う」
「はい……」
「泣くな……」

 彼の指が私の涙を拭う。
 
「このまま、俺のものにしてしまいたいな」

 彼は腰を引くとためらいなく奥まで打ちつけ、大きく揺さぶる。

「……あぁっ……! いッ……‼︎」

 痛みに意識が朦朧とする。
 そのまま彼が私の中に精を吐き出し、孕めばいいのに、と呟いた。
 私はそんな彼を抱きしめながらほっと息を吐いた。








 二〇七年一一月。


 気さくな子爵家令息は、貿易が盛んな海に面した領地で育った。
 隣に大きな侯爵領があって、そのおこぼれをもらっているんだと笑う。
 友好国に囲まれているから、物々しい雰囲気もなく明るく活気に溢れ、ここに住んだら楽しく刺激的なのだろうと思う。

 そんな彼は無邪気に見えて狡猾な面もあって、それも好ましい。
 それこそ人間らしいもの。

「ベッカ、本当に欲しいものはないの?」

 港町を案内してもらいながら、私達はお忍びデートを楽しんでいる。
 彼にも一つ年下の可愛い婚約者がいるから。

「ええ。案外、必要なものって少ないのです……身体は一つしかありませんもの」
「……ははっ、そういうところがさぁ、逆になんでも与えたくなっちゃうんだよね」

「……そうでしょうか? それなら、わたくしは甘いデザート、いえ、珍しいお菓子など嬉しいです。王都でもなかなか手に入らないでしょう?」
「……ここでも、やっぱり、消えモノかぁ。ま、いっか。……ベッカ、いい店があるんだ。ついて来て」

 彼が私の手を取り小走りに駆け出した。

「待って!」
「いやだよ! 早く連れて行きたいんだ‼︎」

 彼は十ハ歳になったばかりで私より一つ年下だからか、可愛いさを前面に出してくる。
 私もそれが嫌じゃない。

「ほらっ! 急いでっ。……ね、とろけるように熱くて甘い、それでいて冷たいデザートを食べさせてあげるから」

 彼の無邪気でない側面が現れる。
 にやりと笑ってみせるけど、仄暗い瞳。
 なぜ彼が歪んでしまったのかはわからないけれど。

「そう……お腹いっぱい食べさせてくださる?」







「……いっ……あぁっっ……っ!」

 ティールームの個室に入るとすぐに私はソファの上に身体を押しつけられ、スカートをまくられた。

 そのまま彼が私の中に押し挿った。
 準備も何もなく、彼は何もかも小柄だとはいえそれは暴力に近い。

「あれ……? 僕の見込み違い? ベッカ、初めて、だったんだね。……はぁっ、こんなにっ、キツくて、……血が、流れているねっ」

 彼は何度か腰を打ちつけて私の中で精を放つ。

 望みのものは得たけれど。
 いきなり無理やり行為に及ばれたのは初めてで。

 ヒリヒリするのに、吐き出したはずの彼がゆるゆると腰を動かす。

「熱くとろけてもらおうと思ったのにな」
「ひどい……いくらなんでも……婚約者に、なんて言ったらいいか……」
「ベッカ、婚約が整ったの? それは悪かったね、大丈夫! 僕言わないから。僕も婚約者がいるからね!」
「……今日のことは忘れます。代わりにあなたはわたくしに二度と近づかないで」

 私が睨むと彼はサッと青ざめた。

「いやだっ! だって、いろんな男とデートしているからっ! ベッカが思わせぶりな行動とるからだよっ‼︎」
「そう……。だけど、こんなことされて許されると思う?」
「……それなら僕が責任取る! 結婚してよ、ベッカ」
「ごめんなさい……お互いにそれはできないでしょう?」
「そんな……それなら絶対に言わないからそばに居させて! もし破ったら船乗りになってもいい。それかこの店の権利を譲るよ! ここは僕に任されているから……」
「では、一筆書いて頂戴」

 一瞬ぽかんとした彼だけど、そのせいで萎えたらしく私から離れる。
 それからテーブルの隅にあった紙にサラサラと書きつけた。

「あなたの署名と、日付。それから、指切って母印押して」

 私の顔を見て、彼は何も言わずに血判を押した。
 私は男爵家の生まれだし、これがあるからといって彼は信用ならないけれど、ないよりはマシだから。
 
 





 






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