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25 帰り路 ※

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 コロンブと何度か話し合う必要があるかと思って予定を空けていたたものの、あっさり済んだために王都にあるルナン伯爵家を訪ねた。

 パーティで顔を合わせなかったコロンブの兄で、ルナン伯爵のブレーズにマルスランを紹介して、コロンブを近づけないように念押ししたら、神妙な顔をして頷く。

 ルナン伯爵の領地で見かける珍しい毒草が使われ、伯爵家からやってきた侍女が行方をくらませているのだから、疑いの目で見られるのはブレーズも嫌だと思う。

 彼も娘がいるからロゼールのように嫌な噂を立てられたくないはず。
 侍女の行方も知らないと聞いていて、ルナン伯爵家の領地にも戻っていないことは分かっていた。
 調べている途中で足取りが消えたから、うまく隠れたか亡くなっている可能性もある。

「では失礼しますね、ルナン伯爵」
「あぁ、気をつけて。私達は社交シーズンが終わるまでは王都にいるよ」

 彼に別れを告げた後、ロゼール達は早速領地へ戻ることにした。
 領地から急を要する手紙は届かなかったし、皆頼りになる者達だから特に心配はしていなかったけれど、半月近く空けるのはここ数年で初めてだった。

 老執事夫妻に王都の屋敷を任せ、馬車に乗って行きとは別の道を通り、別の宿に泊まる。
 それを知っているのは塩田の責任者とアントワーヌの二人だけだった。

 万一何かあった場合に連絡が取れるように伝えてあったのだけど、日付けが僅かにずれてしまった。
 早く帰れる分には問題ないと思うけど。

 そしてマルスランは、王都の屋敷にいる時よりも大胆にロゼールに触れた。
 屋敷の者の目を気にせず愛し合えると言って。
 やはり騎士をしていたから体力があるのかもしれない。
 
 今も、四つん這いになったロゼールの後ろから、覆い被さるようにして動きを封じる。

「……っ、……!」

 逃れられない快楽を、枕に顔を埋めてやり過ごす。
 彼に拓かれてそれほど経っていないから、陰茎が入る瞬間は毎回震えてしまう。
 そして脚に力が入らなくなって、彼がロゼールの腰を掴んで激しい律動を繰り返すから目の前に靄がかかった。

 何も考えられなくて、ただ与えられる快楽を受け取るだけ。

「ロゼール」

 彼の手が花芯を嬲り、内壁がうごめいた。

「……んっ!」

 身体が熱くて、これ以上もう駄目だって思うのに、絶頂へと追い上げられる。

「ロゼール、待って」

 子種を絞ろうとうごめく内壁をそのままに、マルスランが陰茎を抜いた。

 どうして、と思う。
 
「マルスラン……?」

 彼がロゼールの腰に腕を回して抱き起し、彼の脚の間に腰を下ろす。
 背中には張りつめた陰茎が当たるというのに、訳がわからない。

「ロゼール、このまま入れたい」

 座ったまま向かい合って受け入れたことはあるけれど、同じほうを向くのは初めてだった。
 身体はまだ熱いままで、彼が足りない。

「……どうしたら?」
「膝をついて腰を上げて」

 言われるがまま、膝をつく。
 マルスランが腰を支えながら言う。

「俺を握って自分で入れてごらん。ゆっくりでいいから」
 
 ごくりと唾を飲み、下を見やった。
 両手で掴むと、生き物みたいにぴくりと動く。
 そのままかたまっていると、マルスランが腰に唇を押し当て、強く吸いついた。

 ロゼールは小さく息を吐いて、それを蜜口に当てる。
 お互いが濡れているからすべってしまって、陰茎を強く握ると、マルスランが低くうめいた。

「ごめんなさい……痛かった?」
「いや、……気持ちいいよ」
「嘘」
「本当に。……ロゼールの中に入ったらもっと気持ち良くなる」

 ロゼールはもう一度、今度はゆっくりと腰を下ろす。
 丸く膨らんだ先端を受け入れてしまえば、後は自重で飲み込めだ。

「……ぁ、は……っ」

 マルスランの上に座り込み、微かに漏れた声が恥ずかしくて、ロゼールは唇を噛む。
 マルスランの腕が腰に巻きつき、引き寄せられて胸板に寄りかかる。

「……っ、マルスラン……」

 膝が浮いてバランスを崩したロゼールの脚を大きく開いてマルスランの脚にかけた。
 
「ロゼール、前見て」
 
 正面に鏡なんてなかったはずなのに。
 脇にカーテンがあるから窓だと思い込んでいたのかもしれない。
 ロゼールはとんでもない痴態に涙が浮かんで、逃れようともがいた。
 けれどマルスランが両腕ごとすっぽり抱きしめて離してくれなかった。

「綺麗だよ、とても」

 そう言ってうなじに強く吸いついた。

「マルスランッ、恥ずかしい……」
「ロゼール。灯りは落としてあるから、はっきり見えないよ。……ここに泊まるのは今夜だけだから」
「でも……っ」

 マルスランに顎を取られて唇が重なる。

「んぅ……、ふ」

 そうして、ロゼールの思考を止めてしまうのだからすごくずるい。
 そのまま花芯に触れて、一気に体温が上がった。

「マルスランッ、駄目、あぁっ!」

 思いがけず下から突き上げられて、声が抑えられない。
 恥ずかしい。
 こんなの、恥ずかしくてたまらない。

「……我慢している君も可愛いけど……ずっと、ロゼールの声が聞きたかった」
「やっ、恥ずかし……っ、……あ、っ」

 目の前にぼんやりと二人の姿が映っている。
 身体を拓かれ、すべてを曝け出し、どこを見ていいかわからない。
 頭の中が混乱して、耐えられない。
 とうとう涙が溢れた。
 
「……ふっ、……う、……っ」 
「……ロゼール?」

 喉が震えて、苦しい。
 マルスランが腕を緩め、ロゼールの脚を持ち上げてつながったまま回転させると向かい合わせになった。

 マルスランに見られているのを感じて、ロゼールは彼の首に顔を押しつける。
 抱きしめられて背中を撫でられると、すごく安心して、深く息を吐いた。

「今みたいなのは、いや……」
「わかった」

 おずおずと顔を上げると、まだ早かったなってマルスランが優しく笑ったけれど。
 ロゼールがそうじゃないって言う前に、口づけが落ちた。

「声は我慢しないで」

 向かい合ったまま揺さぶるから、ロゼールは少しでも声を抑えようと口づけをねだり、返ってそれがマルスランを興奮させていることに気づかなかった。

 移動中は馬車の中で眠り、宿屋でマルスランに翻弄されるというのを繰り返しながら領地へ着いた。

 
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