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その後

15 二人きりになって⑤ ※

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 ネッドさんが、私の芯を舌で刺激しながら、小径に指を差し入れる。
 違和感がないわけじゃないけど、先に快楽を拾ってしまっているから、一本目の指が小径を広げるように動いても痛みもない。

「大丈夫そうかな。……よかった」

 ゆっくりと指を動かすたび、濡れた音がして恥ずかしい。思わず脚に力が入る。

「……んっ……!」

 指を引き抜いて、二本の指を押し当てる。
 入り口が広げられる感覚に身体が驚くけれど、芯を口に含まれると、やっぱりそっちに気をとられた。

「あ……っ」

 芯の裏側あたりにネッドさんの指が触れる。
 一瞬、甘く痺れて私の身体がびくんと跳ねた。

「フィー? ここかな?」

 ネッドさんに探り当てられて、私の息が上がる。
 そのまま、うちとそとから刺激するから目の前がちかちかした。

「……あ、あっ」

 何度も何度も、指で触れ、時折芯を押し込むように舐められて私はたびたび頭が真っ白になった。
 私の身体が、自分のものじゃないみたいで、全く力が入らない。

「……ネッド、さん……っ!」

 いつの間にか、ネッドさんの指が三本に増やされていて、ゆっくりと拡げるように、私が反応するところばかり触れた。
 何も考えられなくて、ひたすら空気を取り込む。まるでずっと走り続けているみたいに息が上がった。

「フィー? 大丈夫……? ちょっとやり過ぎちゃったかな……」
 
 ネッドさんが私の顔をのぞき込む。
 ちょっと困ったような、心配そうな顔で。

「…………」
「フィー。そのまま、力を抜いていて」

 私は頷いて、ネッドさんに腕を伸ばした。

「一度、抱きしめて、もらえませんか……?」
「もちろん!」

 ネッドさんが力一杯私を抱きしめる。
 こうされると安心だけど、身体に熱くて硬いものが当たって、性差を感じた。
 あとで見ていいって言っていたけど……ネッドさんは少しも恥ずかしくないのかな。

 抱きしめられていると、どちらの心音かわからないけれど、鼓動が速まる。
 先に動いたのはネッドさんだった。

「フィー、怖がらなくていいから。多分、俺の……そんなに、アレだし……力を抜いていて」

 言っている意味がよくわからないけれど、私は頷いた。
 ほっとした顔で、ネッドさんが私の膝裏に手をかけて深く折り曲げる。
 
 ひたりと、小径に彼自身が当てられた。
 薄暗くてよくわからないけれど、つるっとして指よりも太い感覚がある。
 恋愛小説に痛みに涙を流したって書いてあって、少し不安になった。
 でも、相手はネッドさんだから。

「フィー、愛してるよ」
「私も……ネッドさん、愛してます」

 私の言葉を合図にしたかのように、ネッドさんが先端をわずかに押し込む。
 拡げられる感覚に震えると、腰を引く。 

 そうして何度かお互いを触れ合わせてからゆっくりと小径を進んだ。
 先端が収まると、とん、と奥までなめらかにすべり込む。

「あっ……‼︎」

 驚いて声を上げた私を、ネッドさんがじっと見つめていた。

 痛みは、ない。
 圧迫感と異物感はあるけれど、でも私の奥深くにネッドさんがいるんだと思ったら、涙が浮かんだ。

「……フィー、ごめん……大丈夫、か……?」
「はい……ずっと、ネッドさんが、優しくしてくれたので……」

 ネッドさんのほうが苦しそうに眉間に皺を寄せた。それから身体を倒して、私の目元に口づけて、唇を重ねた後で悔しげに言う。

「ごめん。もっと時間をかけるつもりだったんだ……」
「いえ、これでよかったんです……だって、ようやく、一つになれたから……」

 私がそう言うと、ネッドさんが苦しそうに何度も深呼吸をした。

「フィー、痛い? 大丈夫?」

 首を横に振る私に、ネッドさんが深く口づけした。
 再び甘い感覚に襲われて、彼を受け入れたままの場所がきゅんとして。
 いつまでこのままなんだろうって不思議に思う。

「……動いてもいいか?」
「はい……?」

 これで終わりじゃないって、知らなくて。
 ネッドさんが、身体を起こして私の様子を伺いながら腰を押しつけるように動いた。

 それからぎりぎりまで引き抜いて、芯の裏側に当たるように狙ってゆっくりと当ててくる。
 ずっと指で探られていた場所だから、私の身体は覚えていて、じわじわと熱が押し寄せた。

「あっ、やっ、あぁっ!」
「フィー、可愛い」

 私を眺めながら、ネッドさんが快楽の波に乗せていく。
 激しいわけじゃないし、むしろ、ネッドさんには余裕があるみたい。
 時々なにごとか、つぶやいているけれど。

「フィー、ずっと見ていたいっ、可愛い、好きだ」

 ネッドさんの愛に溺れそう。
 私は彼に抱きしめて欲しくて、手を伸ばした。

「ネッド、さんっ、ぎゅって、して」

 お互いの熱くなった身体を重ね合わせて、私はすごく満たされて。
 ネッドさんが、苦しそうに何度か腰を打ちつけると、私の中にじわじわと熱が広がった。

「愛してる、フィオレンサ」

 ネッドさんが私の唇を求める。

「痛む?」
「大丈夫、です」
「よかった……」

 ネッドさんが優しく微笑んで、頬を撫でた。

「ネッドさん、愛してます」
 
 お互いに隙間がないほど重なり合って、濃密なのに、それはとても優しい時間に感じた。
 見つめ合って何度も唇を重ね合わせているうちに、再び元気を取り戻したネッドさんは私を揺さぶり始めた。

「ネッド、さん……?」
「フィー。可愛い」

 それから私の身体を引っ張り起こすと、ネッドさんを受け入れたまま、ももの上に座らされる。
 背中を撫でられるのも、髪に差し入れられた指先が首筋に触れるのもぞくぞくして、私から身体を擦り寄せると、彼が舌を絡める口づけをした。
 お腹の中がきゅんとして、私の中のネッドさんの存在感が増す。
 
「フィー……ちょっと、それ、……はぁ、たまらない」
「んっ……」

 ネッドさんが下から押しつけるように動く。杭に穿たれているみたい。
 お互い裸で恥ずかしいはずなのに、ネッドさんと触れ合っているとそんなことも忘れてしまう。

「ネッドさん、すき。だいすき、きもち、いい……」
「ははっ、……可愛い。俺も大好き」

 恋人の触れ合いがこれなら、夫婦になったらどうなってしまうんだろう。
 夜明け前に私の限界を察して、ネッドさんが解放してくれた。

「……はぁ、フィーが足りない」
「…………」

 ネッドさんが眠って、というように目蓋の上に口づけを落とす。
 今日は教会へ行けないだろうなと思いながら、私はネッドさんの腕の中で目を閉じた。
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