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6 泥沼化 ※微
しおりを挟むみんなが一斉にチャーリーを見る。
「エリザベスさん、僕と結婚してください!」
思いがけない求婚に、姉は顔を赤くして戸惑い、妹は怒り出す。
一体、今、何が起こっているんだろう。
「チャーリー! なによそれ! 私だってあなたなんて願い下げよ! お父様、婚約を白紙にして! お願い~」
「僕からも両親に話します。伯爵、お願いします。どうか、エリザベスさんと僕を結婚させてください! 歳の差なんて気にしません! 四つ、ですよね……僕頑張りますからぁ!」
「……いや、しかし……」
はっきりしない父が、黙ったままの姉を見る。
「…………」
チャーリーがまっすぐ姉を見つめ、それを妹が見つめ。
私は、何を見せられてるんだろう。
そして。熟考した姉が小さな声で言った。
「………………私、エイダン様と結婚します」
「え! 僕の気持ちは……」
「チャーリー、フラれたのよ。残念ね。じゃあ、お父様、婚約解消の手続きしてよ!」
「あ、あぁ……しかし、二人とも、もう一度よく、落ち着いて考えて……」
とりあえず、姉の心が決まったならよかった。
妹達のことは彼らに任せ、私もウォードの機嫌をとらないと。
さっきから無言で怖すぎる。
「では、私達も結婚の準備をしてくるわ。招待状も送ってあるしね」
ウォードを私の部屋まで連れて来たけど、ずっと何か考えているみたい。
すれ違った使用人達には、打ち合わせをするから呼ぶまで邪魔しないでと伝えた。
みんな、心得てます、みたいな顔するのが何か知られているのかなとそわそわしてしまう。
ウォードは何度も私の部屋にやって来ているし、部屋にこもっていることもあったし……簡単なまとめ髪は自分でできるようになったし、着替えは彼が手伝ってくれたし……。
私の部屋の扉がキッチリ閉じて鍵がかかっている。
もちろん閉めたのはウォードだ。
「あのね、ウォード。大丈夫だから。今、お母様がいないからあんな風に混乱してるけど、もう帰ってくるし姉の結婚まであと少し……私達、もうすぐ一緒に暮らせるのね」
彼の目の前に立ち、彼を見上げる。
いつもだったら、待ちきれないって感じで抱きしめてくれるのに。
何を考えているのかわからなくて怖い。
「私が好きなのはウォードだし、何も心配いらないわ」
「……まさか、婚約者を交代だなんて馬鹿げたことを言ってくるとは思わなかったな」
私の声なんて全く届いてないみたいに言う。
「そうよね! あり得ないわよね。まぁ、二人ともおかしいわよ、ね……っ」
急に抱き上げられてぽすんとベッドに倒れ込み、上からウォードがのぞき込んだ。
「……あんな案を思いつくなんて、闇に、葬ってしまおうか」
ウォードの家は有り余るほどの資産があるし、本当にしてしまいそうで怖い。
あれでも血の繋がった姉妹で、普段はだいたい仲がいい、と思ってるんだけど。
「あのっ、ウォード……キスして。私を安心させて……」
余計なことは考えてほしくない。
姉は不安感から口走ったことで……うまく宥めれば大丈夫、なはず。
妹はデビューしたてで浮かれているだけ……まぁ、浅はかではあるけど。
こんな状況に追い込んだ原因でもあるけど……!
「いいよ。いくらでも」
彼がかすかに笑って私の唇を啄む。
私が彼の首に腕を回すと、舌を差し入れて私を煽った。
彼は私には甘くて優しいのだけど。
「リア、絶対に手放さないよ」
「うん、そうして」
この後の晩餐はだるいんだろうな、なんて考えていたら。
「リア、結婚を確実なものにしようか……?」
「……っ、あの、でも、ここは……みんないる、し……」
「そうだね、みんなは今もお茶を飲みながら、話し合いをしているかもしれないね」
そう言われて私は焦る。
さすがに最後までしたら、証拠が残ってしまうんじゃないか、とか。
それに、もしかしたらまた揉めて誰か呼びに来るかもしれない。
「でも、あの、初めては結婚してからって……」
ウォードが眉を上げる。
「結婚相手を交換だなんてね? 何があるかわからない。……だからね、リア。鍵がかかっているから大丈夫だよ。……大きい声だけ出さないように気をつければ」
仄暗い笑みを浮かべたウォードが荒々しくキスをする。
「んんっ、待っ……」
話し合い、大事。
ウォードの胸を押して、なんとか会話をしたいと思うのだけど、力ではかなわない。
「ウォー、ド……ッ」
私の両手をひとまとめにして持ち、そのまま私の脚のほうへと頭を移動させた。
「リア? いっぱい可愛がってあげる。声だけは、気をつけて……まぁ、でも。俺はいつだってリアの可愛い声を聞きたい」
もう片方の手でスカートをまくり上げ、私の脚のつけ根をむき出しにした。
「ウォード、手、離して」
「嫌だ。もっと早くからこの問題を教えてほしかったな。そうしたら、こんなにこじれなかったよ? ちゃんと収まるべきところに、協力したのに」
「……ごめんなさい」
ここまで大きくなるとは思わなかったし、ウォードの耳には入れたくなかった、とは言えない。
でも私の思いが顔に出てしまったのかも。
「リア、お仕置きだよ」
私の両手を握ったまま、脚の間を舐める。
「ひうっ……!」
思わず漏れてしまった自分の声に驚くものの、口を塞ぐこともできなくてきゅっと口を閉じた。
「可愛い。たくさん泣いたらいい」
ウォードが笑って、私の体の中に浅く二本の指を挿れる。
そうされても痛くないくらい、私の体はウォードに馴染んでいた。
「こうしてこじ開けるように挿れられるの、好きだね。すぐ濡れるから、わかりやすい」
「違……っ。……ウォード、だからっ……」
口を開いてはいけないと思うのに。
油断した私に、彼が指を曲げて刺激する。
「あっ……!」
ぎゅっと唇を噛み締め耐える私に、彼は私が感じるところばかり執拗に触れた。
意図せず彼の指を食い締める。
「ここ、好き、だね」
それから脚のつけ根の突起を押し込むように舐められてあえなく絶頂に押し上げられたけれど、彼は引き伸ばすように優しく触れ続けた。
気持ちいい、けど、苦しい。
震えながら声を出さないよう耐える。
甘い苦しみに涙がこぼれた。
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