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おまけ *
しおりを挟む* 朔弥視点
産まれた時から、誰かの記憶があった。
その記憶は読書好きでテレビっ子だったが、今は体力に恵まれ、運動も得意で、放課後はよくサッカーをしていた。
俺が十歳の時、向かいに住んでいた親子が再婚した。
母親同士にお互い五歳の娘がいたことで仲良くなり、彼女たちが俺の家に遊びに来た。
それが遥と俺の出会いだった。
遥の受験期に母親から家庭教師を頼まれ、妹の幼馴染みから、可愛い一人の女の子として意識するまで間もなかった。
まずいと思った俺は、コンパで知り合った子と付き合うことにした。
過酷な山登りが趣味の彼女と。
山に登ると煩悩が薄れたから。
そのうち、川や湖でのんびり過ごす非日常感を好んで、彼女とは別れてしまったが、高校生になってどんどん可愛くなる遥に近づかないようソロキャンプに出た。
好きという気持ちを認める頃には、篤志が遥にぴったり寄り添って入る隙もなくなった。
近くに住む恭介も犬みたいに遥の周りをうろついていたのが気になった。
遥が可愛すぎてモテすぎてつらい。
そして気づいた。
これ…... 一番最後に靖子が遊んでた十八禁乙女ゲームだ、と。
あの時は……。
※
俺がアニメを観ている横で、靖子はパソコンにかじりついていた。
真顔で何してるのかと思えば、エンディングの回収をしているのだと。
俺は色々と突っ込まれているエグいスチルに顔が引きつった。
『バッドは精神的にクるからサクサク進めてご褒美スチルが観たいんだ~』
へらっと笑いながらも手は止めない。
今日中に終わらせて、ご褒美を見たら明日からの旅行を悔いなく楽しめると続けた。
靖子とつき合って一年、こんなに気楽につき合える相手はいないと思っていた。
明日のプロポーズの準備はできている。
翌日はその事で緊張していた俺は霧の中の峠道にハンドル操作を誤り、彼女を巻き込んで命を失ったのだ。
後悔しかない。
*
朔弥からしたら、車の中で靖子に聞いた少ない情報と、篤志の様子を見る限り、ゲームはもう始まってるのではないか、とりあえず篤志の動向だけは気をつけることにした。
靖子のことは想い出になっていたから、俺が遥を好きなのはゲームの強制力なのかじっくり考えてみたかった。
遥が靖子かもしれないと思ったのは篤志から逃げてきた彼女がおいしそうにホットサンドを食べた時。
前世で二人でいる時によく食べていたが、なんでも挟んで食べる俺を笑いながらつき合ってくれた。
あの夜、急遽二人分の荷物を積み込んだ。
もっと確かめたい。
俺が攻略対象なら靖子は脇役でこっそり見守りたいだろうと予想していただけにヒロインかと驚いたが、別荘で繰り返しホットサンドを出しても嫌がらず、靖子が食が偏ると言って大量にスープ仕込んだのも真似して作ると、翌日何も言わずともトマト缶を入れたのは遥だった。
少しは思い出しているのかもしれない。
流されやすい遥と芯の強い靖子、別荘での数日は二人を比べてみることも多かったが、細かいことはどうでも良くなるくらい、今の遥が好きだった。
そもそも、朔弥だって性格が変わっているだろう。
アウトドア好きをアピールすると遥の笑顔が引きつるのが面白かった。
※
「ね、……こう、ゆうの、となりに……聞こえちゃ、うと……んっ……おも、うの……」
「遥が大きな声出さなきゃ大丈夫だよ」
部屋についた露天風呂のふちに座り、遥を向かい合わせに自分の腿にのせ、胸を舐め回した。
夕食前の明るい時間、お願いしてある部屋出しの時間まであと一時間半ほど。
ようやく温泉に来ることができた。
「ほら、自分から入れてみたら? 早くしないと仲居さんに見られちゃうよ?」
「んっ……できない……」
「腰上げて。支えてあげるから。ほら、気持ちよくなりたいだろ?」
「……はぁっ」
予めゴムをはめた俺自身を遥がそっと握り込んで、蜜口にあてると力まかせにぐっと飲み込んだ。
「くっ……」
お互いの体が密着して締め付けられる感覚に吐き出したい欲求に耐えた。
はあ、はぁと息をする遥の背中を撫でてから湯船に浸かる。
「ちょっと温まってから動こうな」
ちゅっちゅっと唇を啄みながら、
「急に入れたら苦しかっただろ? そんなに欲しかったのか?」
きゅんきゅんと内壁を締められ、俺もぐっと息を飲む。
抱きしめてくる遥の柔らかな感触を楽しみながら彼女の反応を伺う。
あのゲームで、朔弥は野外好きらしいが、遥が外のほうが敏感になるから、野外が多かったのではないかと、こうなってみて推察した。
のぼせる前に再度ふちに深く腰かけると、遥に足裏をついてしゃがむように促す。
「これ、なんだか……」
「遥の奥まで入って気持ちいいよ。お尻あげて」
ふるふると震えながら腰をあげるが、半分ほどあげたところで全て飲み込む。
涙目になった遥がむり、と声を上げるので俺が尻を掴んで、腰を揺らす。
「声我慢して」
「……っ……ん……んーっ……」
どこからか子供の笑い声が聞こえた。
遥がぴしりと固まる。
「子どもに聞こえたら困るね、遥。どうしようか……? これでもイケるかな……」
二人の繋がったところに手を伸ばし、陰核を嬲る。
「んっ!」
「噛んでもいいから頑張って我慢して」
「……ん、朔ちゃん、して……」
遥の尻を支えて誘導すると、自力で腰を上げ下げする。
緩慢な動きは、しばらくすると物足りなく感じたようで、徐々に速度をあげた。
遥が涙をこらえながら見上げる。
「朔ちゃん……足りない、手伝って……」
その言葉に俺自身がぐっと質量を増やし、内壁を押し拡げた。
自らの指を咥えて声を押さえようとする遥の唇を塞ぎ、奥に強く押しつけるように動く。
すぐさま内壁がぎゅうぎゅう収縮した。
「……っ……!」
彼女がイくのを感じた後、きつく絞りこまれる感覚に耐えきれず欲望を吐き出す。
「朔ちゃん、ひどい...… 」
そのまま抱きかかえて室内のシャワー室へ移動した。
力の抜けた彼女の背にシャワーがかかるよう調節した後、さっと新しいゴムをつけたモノを彼女の後ろからずぶりと挿入する。
遥の全身にぶわっと鳥肌が立った。
「ああーーっ」
内壁が奥へ誘うよううねる。
宥めるように抱きしめ、体を撫でると、鏡越しに責めるような彼女と目が合う。
だだもう可愛いだけだ。
「もぉ、……時間、でしょ?」
「まだ、大丈夫だ、よ。……鏡みて、遥。エロい、可愛い。……それで。恭介は何であんなに顔を赤くしてた?」
遥と実家に寄った時、隣の家から出てきた恭介が、遥を見るなり真っ赤になって家の中に戻ってしまった。
何かあったのか?
いやしかし、恭介が遥を避けていて篤志も大人しくしている今のうちに、婚約しておこうか。
本当は今すぐ籍を入れたい。
「実家で、この間朔ちゃんと……した、時、んっ……恭介の、部屋から……見え、ちゃった、みたいっ。たぶん、目が、合った……はぁ……カーテン、開いてたからぁ!」
「なんでその時、言わなかった? その頃から、見られるのが、好きだったのか?」
「そんなわけっ……ない、じゃない! あ、あんなの……も、集中、できな……」
ゆっくりと揺さぶられながらの会話に息も絶え絶えだ。
誰もいない実家の、遥のベッドで迫ったのは俺だが、恭介に乱れる遥を見せてしまったのは失敗した。
どんなだったか、遥と再現して気をつけなくては。
「恭介とも、二人きりに、なるなよ」
「なら、ない、からぁっ……信じ、て?」
「信じてるよ。心配なだけ…... 好きだ」
うなじに噛みつきながら激しく抽挿した。
遥とたくさん話したい。
いつか、笑いながら靖子と昔の俺の話を。
その前に遥は俺に気づくだろうか。
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