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13 初詣は小さな神社へ
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* 皆さまにとって良い一年になりますように! 今年もよろしくお願いいたします。1/2は初夢の日だそうです。
******
「人がたくさんいるから、もっとこっち寄って」
カキの地元で有名だけど、元日を過ぎれば人は少ないと聞いてやって来た神社。
水の神様を祀っているとかで、縁結びとか合格祈願で訪れるというより、ご近所さんが除夜の鐘を聞きながら足を運ぶんだって。
御神酒か甘酒をタダで飲めるというのも嬉しいポイントみたい。
「思ったより、人が多いな。みんな昨日はのんびりしてたのかも」
カキがそう言って、私をさらに引き寄せる。
いつも以上に甘くてくすぐったい。
「ウン、そうだね」
余計なものが視界に入らないように、カキを見つめる。すると嬉しそうに笑うから。
ラブラブのバカップルみたい!
「サクラ、見過ぎ」
「やだった?」
「やじゃない」
なんだろう。すごく恥ずかしくなって、うっかりお賽銭をあげて戻るおじいちゃんが視界に入る。
わかってた!
一年の始まりだし、覚悟はしてたんだ。
今日は特別な日だもん。
角松 ちんこ
『サイズ 鏡餅』
『硬度 門松』
『角度 しめ飾り』
『持続時間 雑煮』
『鏡餅に乗っているのはだいだい』
やっぱり正月バージョンか。
だよね!
だけどまたツッコミどころが多くてどうしたらいいかわからない‼︎
鏡餅って玄関サイズと床の間サイズでだいぶ違うんだけど!
硬度と角度逆じゃないの⁉︎
硬度がしめ飾りってのもわけわかんないか……ねじれてるし。
雑煮ってなにー?
角松おじいちゃーん!
鏡餅に乗ってるのはみかんだと思ってたよ‼︎
教えてくれてありがとう~。
「サクラ、どうした? おみくじ気になる?」
私の視線の先の、さらに向こうにひっそりおみくじが置いてある。タイミングよかったかも!
「う、ん。そうだね……新年だし引きたいな」
カキの声に視線を戻す。
すると。
「柿沼、あけおめ! 久しぶりだな。あ……彼女?」
「あー、うん。今度結婚するんだ」
カキの同級生が現れた!
あー、あー、あー、ちょっと待って。
目が泳いじゃうけど、なんとか挨拶して黙る。
高田 ちんこ
『サイズ 初夢』
『硬度 富士』
『角度 鷹』
『持続時間 なすび?』
『お年玉はお年魂』
なにこれー?
サイズの初夢って、夢見ちゃってるサイズなの?
いやいや、これあれだ?
一富士、二鷹、三のなすびにハテナついちゃってるじゃーん!
ダジャレ? ダジャレだよね?
新年早々、すべりまくってるけど!
「……じゃあ、今度飲みに行こうぜ!」
「あぁ、またな」
ペコリと頭を下げてなんとかやり過ごした私に、カキが笑って私をのぞき込む。
「あいつイケメンだからさ、サクラが見惚れたら嫌だなって思ったんだけど」
「そうだった……? 私はカキの顔の方が好きだよ」
多分また会った時はなすびとセットで覚えてしまってると思うー‼︎
ナスメン!
素麺に揚げなす入れて食べたくなった~。
「……なに、今日。俺を喜ばせてどうする気?」
「どうするも何も。本当に思ってることを言っただけ……じゃあさ、カキの家に素麺ある? ナスは? 家でご飯食べようよ」
カキが首を傾げる。
「そんなのでいいの? 素麺はあるけど、ナスはない。ついでに何かおいしそうな総菜買ってもいいな」
「うん、そうだね」
そんな会話をしてすぐに、自分達のお詣りの番で。
――早く弟にこのスキルを渡せますように!
パンパン、叩いてお願いした。
「じゃあ、おみくじ引こう」
移動中はキョロキョロせずに歩いて、さらに目の前のカップルを見ないようにしておみくじを引いた。
「俺、大吉だ。サクラは?」
「末吉。うーん、微妙……あっ! カキ、見て!」
むこどり、よめどりよし。
「……今年中に籍入れよう。そうしたい」
「うん、私も」
正直、末吉が何番目にラッキーかなんてわからない。
でも結婚に対していいこと書いてあったから嬉しいな。
「あの、すみません。おみくじ、引きたいんですけど……」
新春で二人の世界に入っていたかも!
控えめに声をかけられて、幸せな気分のまま振り向いた。
「あれ、柿沼? 何年振りだろ? 全然変わってないな!」
「重村もな。中学卒業してからだから……十年近く会ってなかったかな」
また、カキの同級生⁉︎
がっちり体型のスポーツマンが現れた!
カキの地元怖い~。
重村 ちんこ
『サイズ 数の子』
『硬度 かまぼこ』
『角度 伊達巻き』
『持続時間 家族の繁栄を願う!』
『栗きんとん大好き』
正月といえばおせちだもんね。
初日はおいしく食べるけどね。
いやいやいや、もっといい例えあったでしょ⁉︎
「……はじめまして」
ちゃんと笑えているかな⁉︎
こんなに体大きいのに数の子サイズ?
かまぼこか伊達巻と間違えてない⁇
伊達巻きに角度なんてあるのか、ないのか、あるのかな。
巻いてるけどな!
持続時間も意味わからないし、栗きんとん大好きって、そのまま重村さんの好み?
それとも隠語? 隠語なの?
「ずいぶんシャイなんだね。次に会った時にでも、中学ん時の柿沼の話を教えるよ」
「やめろって」
さわやかに笑うから、私も頑張って受け答え、した‼︎ 多分!
これが限界。
重村さんと別れてから、カキの家へ向かう。
お互いの実家に挨拶に行くのは、また今度。考えるだけでドキドキしちゃう。
カキのお父さんと対面するのが怖いから!
「今日は予想外の奴らにあったな……」
「カキの地元だもんね」
「次はサクラの地元で初詣もいいな」
「うん!」
これからは毎年一緒にいられるんだ!
嬉しいな。
それに、私の地元のほうが、何かと心構えができていいかもしれない。
初詣もしたし、今日も無事に一日を乗り越えられたから、今年もなんとかなるはず。
ちんこステータスに動じない一年にしたい!
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「人がたくさんいるから、もっとこっち寄って」
カキの地元で有名だけど、元日を過ぎれば人は少ないと聞いてやって来た神社。
水の神様を祀っているとかで、縁結びとか合格祈願で訪れるというより、ご近所さんが除夜の鐘を聞きながら足を運ぶんだって。
御神酒か甘酒をタダで飲めるというのも嬉しいポイントみたい。
「思ったより、人が多いな。みんな昨日はのんびりしてたのかも」
カキがそう言って、私をさらに引き寄せる。
いつも以上に甘くてくすぐったい。
「ウン、そうだね」
余計なものが視界に入らないように、カキを見つめる。すると嬉しそうに笑うから。
ラブラブのバカップルみたい!
「サクラ、見過ぎ」
「やだった?」
「やじゃない」
なんだろう。すごく恥ずかしくなって、うっかりお賽銭をあげて戻るおじいちゃんが視界に入る。
わかってた!
一年の始まりだし、覚悟はしてたんだ。
今日は特別な日だもん。
角松 ちんこ
『サイズ 鏡餅』
『硬度 門松』
『角度 しめ飾り』
『持続時間 雑煮』
『鏡餅に乗っているのはだいだい』
やっぱり正月バージョンか。
だよね!
だけどまたツッコミどころが多くてどうしたらいいかわからない‼︎
鏡餅って玄関サイズと床の間サイズでだいぶ違うんだけど!
硬度と角度逆じゃないの⁉︎
硬度がしめ飾りってのもわけわかんないか……ねじれてるし。
雑煮ってなにー?
角松おじいちゃーん!
鏡餅に乗ってるのはみかんだと思ってたよ‼︎
教えてくれてありがとう~。
「サクラ、どうした? おみくじ気になる?」
私の視線の先の、さらに向こうにひっそりおみくじが置いてある。タイミングよかったかも!
「う、ん。そうだね……新年だし引きたいな」
カキの声に視線を戻す。
すると。
「柿沼、あけおめ! 久しぶりだな。あ……彼女?」
「あー、うん。今度結婚するんだ」
カキの同級生が現れた!
あー、あー、あー、ちょっと待って。
目が泳いじゃうけど、なんとか挨拶して黙る。
高田 ちんこ
『サイズ 初夢』
『硬度 富士』
『角度 鷹』
『持続時間 なすび?』
『お年玉はお年魂』
なにこれー?
サイズの初夢って、夢見ちゃってるサイズなの?
いやいや、これあれだ?
一富士、二鷹、三のなすびにハテナついちゃってるじゃーん!
ダジャレ? ダジャレだよね?
新年早々、すべりまくってるけど!
「……じゃあ、今度飲みに行こうぜ!」
「あぁ、またな」
ペコリと頭を下げてなんとかやり過ごした私に、カキが笑って私をのぞき込む。
「あいつイケメンだからさ、サクラが見惚れたら嫌だなって思ったんだけど」
「そうだった……? 私はカキの顔の方が好きだよ」
多分また会った時はなすびとセットで覚えてしまってると思うー‼︎
ナスメン!
素麺に揚げなす入れて食べたくなった~。
「……なに、今日。俺を喜ばせてどうする気?」
「どうするも何も。本当に思ってることを言っただけ……じゃあさ、カキの家に素麺ある? ナスは? 家でご飯食べようよ」
カキが首を傾げる。
「そんなのでいいの? 素麺はあるけど、ナスはない。ついでに何かおいしそうな総菜買ってもいいな」
「うん、そうだね」
そんな会話をしてすぐに、自分達のお詣りの番で。
――早く弟にこのスキルを渡せますように!
パンパン、叩いてお願いした。
「じゃあ、おみくじ引こう」
移動中はキョロキョロせずに歩いて、さらに目の前のカップルを見ないようにしておみくじを引いた。
「俺、大吉だ。サクラは?」
「末吉。うーん、微妙……あっ! カキ、見て!」
むこどり、よめどりよし。
「……今年中に籍入れよう。そうしたい」
「うん、私も」
正直、末吉が何番目にラッキーかなんてわからない。
でも結婚に対していいこと書いてあったから嬉しいな。
「あの、すみません。おみくじ、引きたいんですけど……」
新春で二人の世界に入っていたかも!
控えめに声をかけられて、幸せな気分のまま振り向いた。
「あれ、柿沼? 何年振りだろ? 全然変わってないな!」
「重村もな。中学卒業してからだから……十年近く会ってなかったかな」
また、カキの同級生⁉︎
がっちり体型のスポーツマンが現れた!
カキの地元怖い~。
重村 ちんこ
『サイズ 数の子』
『硬度 かまぼこ』
『角度 伊達巻き』
『持続時間 家族の繁栄を願う!』
『栗きんとん大好き』
正月といえばおせちだもんね。
初日はおいしく食べるけどね。
いやいやいや、もっといい例えあったでしょ⁉︎
「……はじめまして」
ちゃんと笑えているかな⁉︎
こんなに体大きいのに数の子サイズ?
かまぼこか伊達巻と間違えてない⁇
伊達巻きに角度なんてあるのか、ないのか、あるのかな。
巻いてるけどな!
持続時間も意味わからないし、栗きんとん大好きって、そのまま重村さんの好み?
それとも隠語? 隠語なの?
「ずいぶんシャイなんだね。次に会った時にでも、中学ん時の柿沼の話を教えるよ」
「やめろって」
さわやかに笑うから、私も頑張って受け答え、した‼︎ 多分!
これが限界。
重村さんと別れてから、カキの家へ向かう。
お互いの実家に挨拶に行くのは、また今度。考えるだけでドキドキしちゃう。
カキのお父さんと対面するのが怖いから!
「今日は予想外の奴らにあったな……」
「カキの地元だもんね」
「次はサクラの地元で初詣もいいな」
「うん!」
これからは毎年一緒にいられるんだ!
嬉しいな。
それに、私の地元のほうが、何かと心構えができていいかもしれない。
初詣もしたし、今日も無事に一日を乗り越えられたから、今年もなんとかなるはず。
ちんこステータスに動じない一年にしたい!
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