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魔女とは何か 1

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 もう一度媚肉の割れ目に顔を埋めて、下から上へと熱心に柔らかい場所を舐る。
 独特な香りと味が鼻に抜けて、その甘美さに血が滾った。
 腰は重たくなる一方で、すぐにでもルティエラの中に自身を埋めて無茶苦茶に腰を振りたい気持ちと、一方的に責められて泣きじゃくるその痴態をもっと堪能したい気持ちの中で葛藤をした。

 ──こんなに、一人の女性に執着をするものだろうか。
 愛とはこれほどまでに、激しいものなのか。
 
 薄い筈だった肉欲が、堰を切ったようにあふれだしている。
 大雨で川が決壊するように、今はただ──ルティエラを悦ばせることしか考えたくない。

 己の立ち位置も、出自も、為すべきことも、様々な葛藤でさえ──今は、遠い。

「れおさま、れおさま……っ、もお、わたし、ゃ、あ……っ」

 ルティエラの蜜口は、本当に男の高ぶりが入るのかと疑問になるほどに狭い。
 舌先でつつき、ぐにゅりと舌を押し込んだ。
 彼女の体の中を味わっている。その柔らかく熱い粘膜に、舌が触れている。
 そう思うだけで、感触と味と温度を感じるだけで、嗜虐的な快感が背筋を這いあがってくる。

 閉じようと抵抗する足が、逃げようとする腰が、すんすんと泣く声が全て、どうしようもないぐらいに可愛くてたまらなかった。

「おねがいです、おねがい、もう、やだぁ……っ」
「ここを、こんなに蕩けさせて、嫌だというのか? 違うだろう、ティエ。嘘をつくのは、いけない」
「ごめんなさい、れおさま……ごめ、んなさ……っ、あ、あぁっ、あん、ん……っ」
「気持ちいい?」
「いい、です……っ、きもちい……れおさま、おねがいです、もお……」
「君は、アルヴァロに抱かれたのか?」

 抱かれてはいないだろう。だが、聞いてみたくなった。
 ルティエラの気持ちがアルヴァロにあるのか、確認したかった。
 そう口にして、レオンハルトは自分が嫉妬をしていることに気づいた。
 
 生まれたときに呪いをかけられ全てを失ったレオンハルトの代わりに、全てを手に入れた弟を憎む気持ちはないが、ルティエラがあれを愛しているとしたら、忌々しいことだと思う。
 万に一つの可能性でも、潰しておきたかった。

「わたし、そんな……なにも、ないです、キスも、はしたないことも、れおさまがはじめてで……」
「では、俺は君の最初で最後の男だ。俺以外が君の体に触れることも、心を得ることも許さない。君は俺だけののものだ、ティエ」
「っ、は、はい……」
「その代わり、俺にも君しかいない」
「……っ、うれしい、わたし……っ、ふ、ぁ、ああ……っ」

 見開かれた瞳から涙がこぼれるのは、快楽のせいかそれとも、今だけ愛情が与えられているのだと、未だに思い込んでいるからか。
 もっと、追い詰めれば、この感情が彼女に伝わるのだろうか。
 育ての両親以外の誰も彼もがレオンハルトを不気味がり、遠ざける中で──ルティエラだけは、レオンハルトを騎士様と呼んだ。
 恐れず忌避せず嘲りもせずに、助けさえ、求めてくれた。
 あの時の自分はきっと、嬉しかったのだ。

 幾度目かの絶頂を迎えて、ルティエラはくたりと弛緩した。
 白い肌は薄桃色に色づいて、しっとりと汗ばんでいる。
 呼吸の度に上下に動く胸や、甘い吐息に誘われるようにして、レオンハルトはその体を優しく抱きしめた。
 労わるように目尻や頬に唇を落として、背中を撫でる。
 その僅かなふれあいでも、ルティエラはひどく感じているように、頬を染めて体を震わせた。

「ん、ぁ……あ……っ」
「撫でただけでイったのか? はは、可愛いな。だが、これからだ、ティエ」
 
 今、その体を貫いたら、どれほど淫らに泣いてくれるのだろう。
 考えただけでぞくぞくして、レオンハルトは口角を吊り上げる。
 愛しているから大切にしたいのと同じぐらいに、愛しているから泣かせたくなった。
 彼女の全てを、見たい。
 人には見せられないような姿を全て、己の手で暴きたい。

 衣服の前をくつろげると、今まで圧迫されて窮屈にしていた陰茎が勢いよく顔をだした。
 こんなに昂ったことなどあっただろうかというぐらいに、反り返り、滾っている。
 性欲処理のために自分で慰めた時には、ここまで膨れて硬くなるようなこともなかった。
 これがルティエラの中に入る。ずっと、心の片隅にいた女性と今から繋がる。
 レオンハルトは唇を舐めた。
 喉が渇いていた。喉だけではない、全身が飢えているようだった。

「力を抜いていろ。ティエ、大丈夫だ。全て俺に任せているといい」
「れおさ……っ、ん、ぁ、あああ……っ」
 
 蜜口に触れさせた昂りで幾度かその肉の狭間を撫でるようにして動かして、とろとろとあふれた愛液で怒張を湿らせた。
 入口に押し付けつけるようにすると、ルティエラの蜜口は収縮を繰り返して、レオンハルトを中へといざなおうとする。
 先端が柔らかい肉に包み込むようにして飲み込まれて、そのあまりの快楽にレオンハルトは奥歯を噛みしめた。
 乱暴なぐらいに強く腰を押し付けると、ルティエラはか細い悲鳴をあげながらきつくシーツを掴んだ。

 ルティエラの中は小さく狭く、レオンハルトを全て飲み込むことは困難だった。
 だが、さしたる抵抗もなく、最奥までレオンハルトを飲み込んで、ほんの少しの赤を滴らせた。

「痛いか?」
「ぃたく、ない、です……っ、きもちい、の……れおさま、わたし、はじめてなのに……っ」
「大丈夫だ、疑ってなどいない。いい子だな、ティエ。よく頑張った。そのまま、楽に。呼吸を続けて」
「は、い……ん、んん……っ、ひぅ、あ、あああ……っ」

 形のいい両足を抱えて、ゆるゆると腰を揺らめかせる。
 中にこすりつけるように動かすと、腰を中心に快楽が体に走り抜ける感覚がある。
 快楽に彩られた声を、喉の奥で押し殺した。

「ん……っ、ティエ……すごいな」
「あ、ひ……っ、あ、あぁ……っ」

 徐々に追い詰めるようにして、がつがつと腰を穿ちはじめる。
 柔らかい最奥が先端に吸い付くような感覚が、涙と唾液でぐちゃぐちゃになっているルティエラの快楽を感じ入っている表情が、愛らしい声が、すがるようにして腕を掴む、力ない指先の感触が──レオンハルトの中に眠っていた凶暴な獣を呼び起こすかのようだった。
 全て、喰らいつくしてしまいたくなった。
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