上 下
19 / 86
属国の姫は皇帝に虐められたい

理想的な調教

しおりを挟む


 狭い入り口に無理やり押し込まれるようにして、猛ったやや丸みを帯びて膨らんだ先端が突き入れられる。
 私の趣味に付き合ってくださっているジークハルト様なのだけれど、きちんと興奮してくださっているようで安堵する。
 やっぱりこういったことは、私一人が嬉しいだけではいけないと思うの。
 夫婦なのだし、ジークハルト様にも気持ち良くなって頂きたい。

「……っ、ふ、ぁ……」

「ティア、随分締め付けているが――余程男が欲しかったのだろうな、淫乱な姫君だ」

 嘲るような言葉に、びくびくと体が震える。

「じーくさま、やぁ、あ、あ……」

「淫乱と言われて喜んでいるのか? 浅ましいな」

 深く低い艶のある声音が、私を貶める言葉を耳元で紡ぐ。
 ジークハルト様の腕が私の下腹部を抱き込むように回っている。
 もう片方の腕は、痛いぐらいに強く乳房を掴んでいる。
 背中から私に覆いかぶさるようにしているジークハルト様の長く太い陰茎が、私の奥へとゆっくりとその存在を味あわせるかのように深くまで押し入ってくる。
 私の中は形を変えて、受け入れるためにたっぷりと最奥に蜜をたたえている。
 ぬるい泉にぬちゃりと先端が沈み込む。胎の奥にある壁に口づけるように熱い先端が触れる。ジークハルト様のそれも先走りの滑りけをおびていて、侵入はとても容易で、痛みもない。
 酷く熱く、ただただ気持ち良かった。

「窓に、淫らな顔が映っているぞ、姫君。涎を垂らして、まるで犬のようだな。このような姿、国の者たちが知ったらどう思うだろうな」

「――っ、は、あ、あ……っ」

 思わず、窓を見てしまった。
 窓には涙と唾液に塗れて、うっとりと快楽を受け入れている雌の顔をした私と――私を赤々と燃えあがる炎のような欲望をともした瞳で熱心に見据えながら、嗜虐的な笑みを浮かべている、例えようもなく淫靡で美しいジークハルト様の姿が映っている。
 高まり切っていた体の熱が、更にあがっていく。

「自分の姿を見てさえ、感じるのか。こうもすぐさま快楽に堕落するとは、張り合いのない」

 下腹部を押さえつけるように手のひらで支えられる。
 腰を曲げた状態で何とか窓に縋りついて立っている私の奥を、ジークハルト様の先端が揶揄うようにしてぐちゃりとかき回す。
 円を描くように、舐めるようにして最奥を抉られて、あまりの気持ち良さにぼろぼろと涙が零れた。

「あ、あぁぁ……っ、あふ、……あっ、あっ、ごめ、なさい……、じーくさま、わたくし、……っ、いく、いきたいの……っ」

「あぁ、いけ、ティア。窓の外からお前を見ている監視の兵に、お前の淫らな姿を見せつけてやれ」

「ぇ、あ……っ、そん、な、ぃやああ……っ」

 ずじゅ、じゅぶ、と水音をたてながら、残酷なほど激しく私の中をジークハルト様は犯しはじめる。
 指よりもずっと質量の大きいものに体を割り開かれる快楽に背中を震わせながら、私は窓に縋りつくようにして体を押し付けた。
 窓には引っ掛かりがなくて、体の力はすっかり抜けている。立っているので精一杯で、ともすればすぐに床に崩れ落ちてしまいそうになる。
 窓の外から誰かが見ているという想像をするだけで、恥ずかしくて、悲しくて、頭が変になるぐらいに気持ち良い。
 太腿を愛液が滴り落ち、出し入れが更に激しさを増した。

「あっ、あっ、いく、ぃくの……っ、わたくし、もう……っ」

 ごちゅ、ごちゅと、最奥を強く穿たれる。
 下腹部を抑えていた手のひらが、花陰の先端にある小さな芽をぷちゅぷちゅと押しつぶした。
 掴まれていた胸の先端を、きゅ、と摘ままれ、指の腹でこりこり転がされると、がくがく腰が震える。
 両足に緊張が走り、はくはくと息をつくことしかできない開きっぱなしの唇から、唾液が流れ落ちる。

「ひ、ぁあああ……っ」

 頭の中が白く弾けて、全身が痙攣するような激しい絶頂を迎えた。
 意識が濁り、力を失った体がずるりと、床に滑り落ちる。
 倒れこむより前にジークハルト様は私を抱き上げた。

「ジークさまぁ……」

 うっとりしながら、私はジークハルト様の硬い体に頬を摺り寄せる。
 気持ち良くて、ジークハルト様が素敵で、私の我儘を聞いてくださるジークハルト様が愛しくて、頭がふわふわした。
 眠気と心地よい疲労感に目を閉じていると、ベッドにやや乱暴に投げ捨てるようにされたので、私は吃驚してジークハルト様を見上げた。
 終わりだと思っていたのだけれど、ジークハルト様は不機嫌そうな顔で私を見下ろしている。
 私の顔の横に両手を置いて、私に覆いかぶさっているジークハルト様は、私の力の入らない足を強引に開くと再び昂ぶりを私の中へと突き入れた。

「あ、ひぁ、ぅう……っ」

「何を呆けている。終わりだとでも思ったのか?」

 真正面から見るジークハルト様は、皮肉気に唇を歪めて言った。
 なんて、淫らで、色っぽいのかしら。
 この方には性欲とかあるのかしら、と思っていた昨日の私は、ジークハルト様に土下座をして謝らないといけないわ。
 濃い色の皮膚にうっすらと汗が浮かんでいる。邪魔そうに黒い髪をかき上げる仕草が、揺れる耳飾りが、わずかに香る青臭い精液の香りと、清涼感のある清潔な香りが混じりあうのが、全部――たまらなく、良い。

「じーくさま、じーくさま、すき、すきです……っ」

 呆けた頭の中がジークハルト様への愛しさでいっぱいになって、私はぼろぼろ泣いた。

「雌犬の分際で私に愛を囁くとは、な。快楽を与える男なら誰でも良い癖に。お前が好きなのは、男の肉棒だろう。淫婦が」

「ちが、……っ、ごめ、なさ……っ、じーくさま、ゃ、ああ」

 苛立ったように、容赦なく腰を動かされる。
 ばちゅ、と皮膚がぶつかり合う音がする。
 激しすぎる快楽とときめく心と一抹の寂しさに、私は首を振った。
 シーツを掴む指先にも力が入らず、ただ泣きじゃくることしかできない。

「きもち、い、じーくさま、ゃあ、あ、っ」

「ティア。口を開けろ」

「ん、……んぅうう……っ」

 ぐい、と腕を引かれて、跳ねる体が逃げないように押さえつけられる。
 唇が合わさり、喉の奥まで舌が押し入ってくる。
 息苦しさに私はじたじたと暴れた。けれど、満足に動くこともできず、口の中を全て犯しつくすように舌で嬲られる。
 優しく甘い口づけとは程遠い、呼吸さえ奪われるぐらいの深いそれに、脳髄が痺れるぐらいの快楽が暴虐に体を支配して、私は震えながら何度か達した。
 収縮する膣壁が、ジークハルト様を無意識にしめつけて、私の中でジークハルト様が更に大きくなるのを感じる。

「んー……っ、ん、んん……っ」

 ひときわ大きく深く、引き抜かれた陰茎が幾度か私を抉った。
 絶頂を迎えて震える私の中へと、熱い液体がどろりと満ちる。
 唇が離れ、ジークハルト様は私の体をきつく抱きしめた。
 全て吐き出すように再び腰を打ち付けて私の最奥をぐりぐりと嬲っていたジークハルト様は、大きく息をつくと、そっと優しく私に口づけた。

「……大丈夫か、ティア」

 返事をすることもままならない私は、くたりと体の力を抜いて、ただ呼吸を繰り返していた。
 心も体も幸福で満たされている。
 気遣うように、ゆっくり優しく髪を撫でてくれる指先はどこまでも優しい。
 先程までの暴君のようなジークハルト様はすっかりどこかに消え去っている。

「ジーク様……、素敵……」

 ぐったりとしている私をとても心配してくださっているのを感じて、私はなんとかそれだけを言った。
 掠めるような口づけが、目尻や頬、唇に落ちる。

「良い子だ、ティア。ゆっくり、眠れ」

「ん……」

 冷たくされたあとの、この優しさ。
 どうしよう。
 好き。
 私は――なんて素敵な方と結婚することができたのかしら。
 ティアは果報者です。お兄様にお手紙を書かなければ。
 そんなことを考えながら、私の意識は深い眠りの中へと落ちていった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜

まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください! 題名の☆マークがえっちシーンありです。 王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。 しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。 肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。 彼はやっと理解した。 我慢した先に何もないことを。 ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。 小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました

せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜 神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。 舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。 専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。 そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。 さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。 その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。 海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。 会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。 一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。 再会の日は……。

【R18】国王陛下に婚活を命じられたら、宰相閣下の様子がおかしくなった

ほづみ
恋愛
国王から「平和になったので婚活しておいで」と言われた月の女神シアに仕える女神官ロイシュネリア。彼女の持つ未来を視る力は、処女喪失とともに失われる。先視の力をほかの人間に利用されることを恐れた国王からの命令だった。好きな人がいるけどその人には好かれていないし、命令だからしかたがないね、と婚活を始めるロイシュネリアと、彼女のことをひそかに想っていた宰相リフェウスとのあれこれ。両片思いがこじらせています。 あいかわらずゆるふわです。雰囲気重視。 細かいことは気にしないでください! 他サイトにも掲載しています。 注意 ヒロインが腕を切る描写が出てきます。苦手な方はご自衛をお願いします。

【R-18】堕ちた御子姫は帝国に囚われる

ゆきむら さり
恋愛
初めてHOTランキングに入れて頂けました🤗✨✨ 本当にありがとうございます🧡 〔あらすじ〕📝神の国ともされるその国には、不老不死の肉体を持ち、それを手にする者に、不老と永劫の命を与えるとされる神の御子が存在する。美しい御子姫が聖域となる神殿で、夜毎にその国の王族にあるものを差し出しては、恩恵を与える。やがて、強大な帝国を築いた魔皇帝バージルが神の国へと侵攻し、御子姫を奪いさる。物語は、そこから始まる。 ※設定などは独自の世界観でご都合主義。初回からR作品。ハピエン♥️

処理中です...