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第13章 アルスラン帝国
第93話 ロッテの魔法
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第93話 ロッテの魔法
「登録ね。それじゃギルド許可証を見せて頂戴」
受付嬢に戻ったエレナさんが僕たちのギルド許可証を確認すると、全員が鋼級冒険者だと知って驚いた。
鋼級の下の鉄級で上位10%いるかどうかなのに鋼級は5%いるかどうか。
6人全員が鋼級なんていうのは異例中の異例だった。
「ちょっ!!ちょっと待ってね!!こんなの初めてだから実力に合致する依頼内容をギルド長と協議するわ。今夜はここの上にある宿に泊まっていって。エストみんなをご案内して。丁重にね」
エレナさんがそういって忙しそうに書類の束を抱えて奥の部屋へ向かっていく。
僕たちはエストという少女に案内されて、最上階にある全ての冒険者が羨む超高級な部屋へ向かった。
そのエストという少女は黒色の髪をショートカットの髪型にした、フリルのついたメイド服を着たロッテと同じくらいの年頃の少女で、肌の色が薄茶色なのでフミン族の女の子だとわかる。
僕たちがエストに驚いているとロッテはエストの存在に驚いたようだった。
フミン族はあまりいないので見る機会は多くないし殆どが隠れて生活している。
まして従業員として正式に雇われているフミン族なんて聞いたことがない。
高価な青水晶で作られたドアノブを開くとペルシャ絨毯のような絨毯が敷かれていて、ショーケースの中には東方のショウ帝国からの輸入品である白磁や青磁が並んでいる。
テーブルとチェアは年代物の樫の木で作られ一目で高価な品とわかった。
ブックシェルフの中には各国の書物が並べられていて、僕たちの故郷のフレーベル国は勿論アルスラン帝国や東方の交易国家シリカ国やさらに東方のショウ帝国などの一目で高価だとわかる書物が並んでいた。
高価なガラス細工のグラスとワインの乗ったワゴンを押してくるエスト。
「エストと申します。皆さまのお世話を仰せつかりました。なんでもお申し付けください」
そう言って目を伏せて礼をするエストちゃんだ。
その立ち居振る舞いは付け焼刃とは思えず、長く従業員として雇われていたのだとわかる。
「エストちゃん。僕たちは冒険者だから、そんなに畏まらなくてもいいよ」
「そうそう。ボクたちは貴族じゃないんだから」
僕とミレーヌがそういうとエストちゃんが少し驚いた顔をした後微笑んだ。
「わかりました。では私は皆さまをお客さまとしておもてなしさせていただきますね」
「この中の本は自由に読んでいいの?」
「勿論でございます。通訳の手配もいたしますのでお申し付けください」
そう言ってエストちゃんが礼をするとロッテが
「私が読めるからいいよ」
と言ってしゅぴっと可愛く手を上げた。
学のあるフミン族の少女はとても珍しい。
ロッテは何者なのだろうか?
何にしろ通訳がいらないのはありがたい。
僕たちが勇者パーティだという秘密は知られたくないからね。
「それでは隣の部屋に控えていますので御用があれば鈴を鳴らしてください」
そう言ってエストちゃんは礼をして僕たちの部屋を退室したあと、隣の部屋へと向かった。
「ロッテ、本当に読めるの?」
「任せてください」
そう言うとロッテは本を開いて手のひらを本のページに添わせる。
するとロッテの瞳が金色に輝いて本を包み込んだ。
「これで読めるはずです。ユキナさん読んでください」
そう言って僕に東方文字で書かれたショウ帝国出版の本を手渡す。
当然僕は東方文字なんて知らない。
騙されたと思ってページを開いたらそこに書かれていたのは僕の慣れ親しんだフレーベル国の文字だった。
「えええ!?なんでこうなってるの!?」
「ユキナボクにも見せて」
僕の隣に座っていたミレーヌに手渡すとミレーヌは僕とロッテを交互に見詰めて
「本当だ……ボクの知ってるフレーベル文字だよ」
そう言ってミレーヌは頭を捻っていた。
この本は東方文字の筈の本なのにどうしてだろう?
「ユキナにもフレーベル文字で書いてるように見えるよね?」
僕も再び本を手にする。
やっぱりフレーベル文字だった。
「私は攻撃魔法とかは使えませんが、こういう地味な魔法が使えるんです。この魔法はリードランゲージっていう、知らない言語で書かれた、単語・文章・記号などを解読する呪文です。その呪文をこの本にかけたんです。1時間しか効果はありませんから読めなくなったら言ってください」
そう言ってロッテが説明してくれた。
「凄いなロッテは」
「えへへへ。それほどでもありませんよ」
照れるロッテの頭を撫でて褒めると、さらに照れて身体をくねくねさせる。
かわいいなあ。
「こういう地味な魔法はそれほど得意じゃないし、俺自身やフェリシア自身にしか効果がない魔法だ。それを他人に付与できるなんてロッテは凄いな」
クヌートが人を褒めるなんて珍しい。
クヌートは普段無口であまり他人を褒めない。
「えへへへ。それほどでもありませんよ」
照れるロッテの頭をクヌートが優しく撫でて褒めると頬を赤くして恥ずかしがる。
本当にかわいいなあ。
僕は実家にいる妹たちを思い出した。
「折角だし一通り読んでおこう。知識は多い方がいい」
そう言って僕たちは本を開く。
情報は僕たち冒険者にとって死活問題だったりする。
例えば東方を旅していて見知らぬモンスターと遭遇したとして、それが人間に友好的かどうか。
戦う場合どういう能力を使ってくるか。
そのモンスターは単体なのか、群れを作る習性なのか。
知能は高いのか低いのか。
まったく情報が無いのとでは全然違う。
前世の地球でも、異民族と接触した場合どうするのかお互い散々悩んだという。
人間どうしでもそうなのだから相手がモンスターだからなおさらだ。
ここは冒険者ギルドだから集められるだけ集めた情報がこの本棚にある。
寝泊まりさせてくれる間に一冊でも多くの本を読んでおこう。
翻訳魔法が使えるロッテとパーティを組んで本当に良かったと僕たち全員が思っていた。
「登録ね。それじゃギルド許可証を見せて頂戴」
受付嬢に戻ったエレナさんが僕たちのギルド許可証を確認すると、全員が鋼級冒険者だと知って驚いた。
鋼級の下の鉄級で上位10%いるかどうかなのに鋼級は5%いるかどうか。
6人全員が鋼級なんていうのは異例中の異例だった。
「ちょっ!!ちょっと待ってね!!こんなの初めてだから実力に合致する依頼内容をギルド長と協議するわ。今夜はここの上にある宿に泊まっていって。エストみんなをご案内して。丁重にね」
エレナさんがそういって忙しそうに書類の束を抱えて奥の部屋へ向かっていく。
僕たちはエストという少女に案内されて、最上階にある全ての冒険者が羨む超高級な部屋へ向かった。
そのエストという少女は黒色の髪をショートカットの髪型にした、フリルのついたメイド服を着たロッテと同じくらいの年頃の少女で、肌の色が薄茶色なのでフミン族の女の子だとわかる。
僕たちがエストに驚いているとロッテはエストの存在に驚いたようだった。
フミン族はあまりいないので見る機会は多くないし殆どが隠れて生活している。
まして従業員として正式に雇われているフミン族なんて聞いたことがない。
高価な青水晶で作られたドアノブを開くとペルシャ絨毯のような絨毯が敷かれていて、ショーケースの中には東方のショウ帝国からの輸入品である白磁や青磁が並んでいる。
テーブルとチェアは年代物の樫の木で作られ一目で高価な品とわかった。
ブックシェルフの中には各国の書物が並べられていて、僕たちの故郷のフレーベル国は勿論アルスラン帝国や東方の交易国家シリカ国やさらに東方のショウ帝国などの一目で高価だとわかる書物が並んでいた。
高価なガラス細工のグラスとワインの乗ったワゴンを押してくるエスト。
「エストと申します。皆さまのお世話を仰せつかりました。なんでもお申し付けください」
そう言って目を伏せて礼をするエストちゃんだ。
その立ち居振る舞いは付け焼刃とは思えず、長く従業員として雇われていたのだとわかる。
「エストちゃん。僕たちは冒険者だから、そんなに畏まらなくてもいいよ」
「そうそう。ボクたちは貴族じゃないんだから」
僕とミレーヌがそういうとエストちゃんが少し驚いた顔をした後微笑んだ。
「わかりました。では私は皆さまをお客さまとしておもてなしさせていただきますね」
「この中の本は自由に読んでいいの?」
「勿論でございます。通訳の手配もいたしますのでお申し付けください」
そう言ってエストちゃんが礼をするとロッテが
「私が読めるからいいよ」
と言ってしゅぴっと可愛く手を上げた。
学のあるフミン族の少女はとても珍しい。
ロッテは何者なのだろうか?
何にしろ通訳がいらないのはありがたい。
僕たちが勇者パーティだという秘密は知られたくないからね。
「それでは隣の部屋に控えていますので御用があれば鈴を鳴らしてください」
そう言ってエストちゃんは礼をして僕たちの部屋を退室したあと、隣の部屋へと向かった。
「ロッテ、本当に読めるの?」
「任せてください」
そう言うとロッテは本を開いて手のひらを本のページに添わせる。
するとロッテの瞳が金色に輝いて本を包み込んだ。
「これで読めるはずです。ユキナさん読んでください」
そう言って僕に東方文字で書かれたショウ帝国出版の本を手渡す。
当然僕は東方文字なんて知らない。
騙されたと思ってページを開いたらそこに書かれていたのは僕の慣れ親しんだフレーベル国の文字だった。
「えええ!?なんでこうなってるの!?」
「ユキナボクにも見せて」
僕の隣に座っていたミレーヌに手渡すとミレーヌは僕とロッテを交互に見詰めて
「本当だ……ボクの知ってるフレーベル文字だよ」
そう言ってミレーヌは頭を捻っていた。
この本は東方文字の筈の本なのにどうしてだろう?
「ユキナにもフレーベル文字で書いてるように見えるよね?」
僕も再び本を手にする。
やっぱりフレーベル文字だった。
「私は攻撃魔法とかは使えませんが、こういう地味な魔法が使えるんです。この魔法はリードランゲージっていう、知らない言語で書かれた、単語・文章・記号などを解読する呪文です。その呪文をこの本にかけたんです。1時間しか効果はありませんから読めなくなったら言ってください」
そう言ってロッテが説明してくれた。
「凄いなロッテは」
「えへへへ。それほどでもありませんよ」
照れるロッテの頭を撫でて褒めると、さらに照れて身体をくねくねさせる。
かわいいなあ。
「こういう地味な魔法はそれほど得意じゃないし、俺自身やフェリシア自身にしか効果がない魔法だ。それを他人に付与できるなんてロッテは凄いな」
クヌートが人を褒めるなんて珍しい。
クヌートは普段無口であまり他人を褒めない。
「えへへへ。それほどでもありませんよ」
照れるロッテの頭をクヌートが優しく撫でて褒めると頬を赤くして恥ずかしがる。
本当にかわいいなあ。
僕は実家にいる妹たちを思い出した。
「折角だし一通り読んでおこう。知識は多い方がいい」
そう言って僕たちは本を開く。
情報は僕たち冒険者にとって死活問題だったりする。
例えば東方を旅していて見知らぬモンスターと遭遇したとして、それが人間に友好的かどうか。
戦う場合どういう能力を使ってくるか。
そのモンスターは単体なのか、群れを作る習性なのか。
知能は高いのか低いのか。
まったく情報が無いのとでは全然違う。
前世の地球でも、異民族と接触した場合どうするのかお互い散々悩んだという。
人間どうしでもそうなのだから相手がモンスターだからなおさらだ。
ここは冒険者ギルドだから集められるだけ集めた情報がこの本棚にある。
寝泊まりさせてくれる間に一冊でも多くの本を読んでおこう。
翻訳魔法が使えるロッテとパーティを組んで本当に良かったと僕たち全員が思っていた。
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