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第5章 ミレーヌと過ごす休日
第29話 これからの事。
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第29話 これからの事。
異世界フォーチュリアは地球より2時間くらい早く夜になる。
地球と自転が違うのだろうか。
そもそも作り自体が違うのかはわからないけど、子供の頃から夜の訪れが早くもっと遊びたいという不満はあった。
夜の時間が長ければ夜行性のゴブリンなどのモンスターが活動しやすい。
これもゴブリン達が活発な理由の一つだ。
夜の世界はみんな眠る事になっている。
蝋燭や油が高価な事もあって就寝が早いのは、ガス灯などが完備されなかった時代の地球と同じ。
ただ冒険者の宿というのは見習い魔法使いがアルバイトで魔法の光で宿屋や酒場を照らすのでまだ宵の口。
一旦解散してお風呂に入ったあと、旅の汚れを落とした僕とミレーヌとシグレさんとセシルさんは夕食を一緒にした。
「さっきの話の続きだけどさ。ユキナとミレーヌがよければあたい達と一緒に冒険にいかないかい?」
セシルさんがそう話を切り出すとシグレさんも頷いてくれた。
とても嬉しくてありがたいけど、いつまでも面倒を見て貰っていても良いのだろうか。
「私もセシルも二人が良いなら共に冒険しても良いと思っている。青銅級になったとはいえ二人はまだ危なっかしい。それに冒険者は青銅級が一番危ないのだ。青銅級となれば受けれるクエストも増える。そこを見誤って死ぬものが多い」
「でも鉄級のお二人にいつまでも甘えているというのも申し訳ないですし」
「ユキナとミレーヌはもっと強くなれる。だがそれは生き残ったらという前提の話だ。ユキナとミレーヌが強くなれば私とセシルも安心して背中を預ける事ができる。冒険者というのは利害関係ですぐに不和となり、最悪殺し合いにまで発展する。信頼できる仲間は金塊よりも貴重なのだ」
「ま、すぐに答えを出さなくてもいいよ。あたい達も一週間くらいは休むからさ。その間に決めてくれたらいい。あたい達の顔色を窺わなくていいからさ。二人で相談して決めておいてよね」
セシルさんはそう言うとギムニという芋で作られた度数の強いお酒を飲み干してお代わりを注文する。
ギムニは僕も飲んだことがあるけど強すぎて飲み干せなかった。
セシルさんどれだけ酒豪なんですか!?
シグレさんはそれを見て呆れた顔をした後、追加注文をする為に店員さんを呼び止めます。
「ユキナもミレーヌも初めての旅で疲れただろう。ゆっくり休むのも冒険者の務めだと思う事だ。疲れは動きを鈍くする。常に万全を心掛けなくてはいけない」
そう言って僕とミレーヌの目の前に、鶏のような鳥の丸焼きがどかんと一匹ずつ皿に乗せられて運ばれてきた。
鳥の内臓を抜いて輸入品の高価な香辛料で味付けしたひき肉を詰めて焼いた贅沢な料理で、裕福な家でもお祝いや特別な日でなければ食べられないくらい高価な料理。
「わたしとセシルからのお祝いだ。他にも注文したから沢山食べるといい」
「いっただきま~す♪」
僕が遠慮する前にミレーヌが鶏肉にフォークを突き刺してナイフで切り分ける。
焼けた鳥の胸からひき肉と香辛料の美味しそうな匂いがして肉汁が切り口から溢れる。
その匂いに僕は遠慮するのをやめた。
「いただきます」
肉汁の溢れる鶏肉とひき肉は、胡椒のようなこの世界の香辛料で下味がされていてとてもスパイシーで美味しい。
食べ盛りの僕とミレーヌが勢いよく食べ出すとシグレさんとセシルさんが嬉しそうに微笑んでくれた。
僕達は本当に素晴らしい人たちと巡り合えた。
もしかして僕達は豪運なのかもしれない。
こういう縁は大切にしないといけないだろう。
素直に言えばシグレさんとセシルさんと一緒に旅が出来れば安心だし学べることは多い。
何より僕は二人が好きだ。
だから即答したかったけどミレーヌの事もあるし二人で相談しないといけない。
一週間以内に答えを決めればいいとの事なので、よく考えてから決めようと思い今夜は美食を堪能する事にしよう。
◆◆◆
今までは別部屋だったけど男女の仲になったので僕は勇気を出してミレーヌと同じ部屋に泊まりたい。
恋人でもないのに同じ部屋で寝るなんて図々しいし性欲丸出しだから嫌がられるかもしれない。
そう思われても僕はミレーヌと一緒に居たい。
勿論僕も健康な男子だから性欲はあるし、ミレーヌのとても美しくて綺麗な身体に触れたい。
でもそれだけじゃない。
ミレーヌと一緒にいると胸の中が暖かい気持ちになって嬉しくなる。
何故だろう。
ミレーヌに抱きしめてもらうと僕の勇気が湧いてくる。
折れかけた心が癒されて行くのだ。
でも、もし拒否されたら。
そう考えると怖くて足がすくむ。
僕がそんな悶々とした状態で落ち着きなく、宿の廊下を行ったり来たりしているとぽんと肩を叩かれた。
振り返るとセシルさんがニヤニヤと笑っていた。
ミレーヌじゃない事に落胆してしまった僕はセシルさんに申し訳なくて胸が苦しくなる。
「よっユキナ。何悶々としてるのさ」
「いえ、別に」
そう言いながら僕は自分の欲望を見透かされたように思い、それが恥ずかしくてセシルさんの顔を真っすぐ見れず顔を伏せた。
視線を逸らす僕の顔を覗き込むように見るセシルさん。
一生懸命左右に顔を振りセシルさんに見つめられるのを避けようしたけどセシルさんと目があってしまう。
セシルさんがそんな僕を楽しそうに見つめていた。
「ユキナはどうしたいのさ」
「僕はその……」
「正直に言ってみな」
「ミレーヌと一緒に居たいです」
「そんなにミレーヌの身体を堪能したいのかい?」
「それは」
「否定しなくていいんだよ。ユキナも男だからね」
そう言って楽しそうに僕の顔を見つめるセシルさん。
こっち方面はセシルさんに両手を上げるしかないと思うと悔しい。
「ミレーヌを抱きたいです」
「ユキナは美人なら誰でもいいのかい?なんならあたしの知り合いの娼婦を紹介してあげるよ。ミレーヌみたいな小娘じゃ無くて、もっとユキナを楽しませてくれる女なら何人もいるよ」
「ありがたいですけど僕はミレーヌがいいです。ミレーヌが僕の隣にいてくれれば何もいりません。僕が愛してるのはミレーヌだけなんです」
僕は自分の顔が熱を持っている事を自覚した。
きっと顔を赤くしてみっともないだろう。
胸が苦しいほどミレーヌを抱きたいし一緒に過ごしたい。
「お、おお~。お姉さん少年が素直すぎてこっちまで照れちまうよ」
そう言ってセシルさんが僕の肩を掴んで後ろを振り向かせた。
そこにはミレーヌがもじもじと太ももをすり合わせて立っていた。
もう一度お風呂に入ったのか、長袖水色のシャツの姿。
ミレーヌも恥ずかしいのか頬を赤くして僕をちらちらと見ていた。
僕はミレーヌを見つめる。
水色のシャツを押し上げる豊かな胸と括れた腰、細くてすらりとした足を見ているとあの日の夜を思い出してしまう。
……思い出してしまって股間が立ってきてしまう。
「……あ、これはその」
「ユキナのえっち♪」
そう呟くミレーヌだったがどこか嬉しそうだった。
僕の悩みは杞憂だった。
ミレーヌも僕と一緒にいたかったのだ。
「ほらユキナ。しっかりしな!!」
どんって僕の背中を叩いてセシルさんが僕の事を促す。
ミレーヌが欲しいならはっきり言えって意味だとわかる。
「ミレーヌ。僕はミレーヌが好きだ。だから今夜は一緒にいたい」
「ユキナはボクだけがいいって本気で思ってるの?」
「うん。僕はミレーヌと一緒に居たい」
「わかった。ボク部屋を引き払うね」
そう言ってミレーヌが宿の主人に部屋のキャンセルをしに行こうとしたら。
「ああ。それならあたいがやっといたよ」
セシルさんが既に手を回していたらしい。
最初からこうなる事がセシルさんにはわかっていたのだろうか。
「ほらほらお二人さん。ずっと廊下にいても仕方がないだろ。早く部屋に入りなよ」
そう言ってセシルさんが僕とミレーヌの肩を叩いて、僕がとっていた部屋のドアを指さす。
僕とミレーヌはお互いの顔を見れないくらい恥ずかしくなりながら部屋に入っていった。
◆◆◆
そんな僕達を見送ったセシルさんに廊下の角に立っていたシグレさんが呆れた口調でセシルさんに話しかける。
「……まったくお節介な奴だ」
「お節介なくらいがいいんだよ。じゃなきゃあの二人の仲は全然進まないよ。生きてるって実感が無いと冒険者なんてやってらんないって」
そう言ってセシルさんがケラケラと笑うと、シグレさんが呆れたようにため息をついた。
異世界フォーチュリアは地球より2時間くらい早く夜になる。
地球と自転が違うのだろうか。
そもそも作り自体が違うのかはわからないけど、子供の頃から夜の訪れが早くもっと遊びたいという不満はあった。
夜の時間が長ければ夜行性のゴブリンなどのモンスターが活動しやすい。
これもゴブリン達が活発な理由の一つだ。
夜の世界はみんな眠る事になっている。
蝋燭や油が高価な事もあって就寝が早いのは、ガス灯などが完備されなかった時代の地球と同じ。
ただ冒険者の宿というのは見習い魔法使いがアルバイトで魔法の光で宿屋や酒場を照らすのでまだ宵の口。
一旦解散してお風呂に入ったあと、旅の汚れを落とした僕とミレーヌとシグレさんとセシルさんは夕食を一緒にした。
「さっきの話の続きだけどさ。ユキナとミレーヌがよければあたい達と一緒に冒険にいかないかい?」
セシルさんがそう話を切り出すとシグレさんも頷いてくれた。
とても嬉しくてありがたいけど、いつまでも面倒を見て貰っていても良いのだろうか。
「私もセシルも二人が良いなら共に冒険しても良いと思っている。青銅級になったとはいえ二人はまだ危なっかしい。それに冒険者は青銅級が一番危ないのだ。青銅級となれば受けれるクエストも増える。そこを見誤って死ぬものが多い」
「でも鉄級のお二人にいつまでも甘えているというのも申し訳ないですし」
「ユキナとミレーヌはもっと強くなれる。だがそれは生き残ったらという前提の話だ。ユキナとミレーヌが強くなれば私とセシルも安心して背中を預ける事ができる。冒険者というのは利害関係ですぐに不和となり、最悪殺し合いにまで発展する。信頼できる仲間は金塊よりも貴重なのだ」
「ま、すぐに答えを出さなくてもいいよ。あたい達も一週間くらいは休むからさ。その間に決めてくれたらいい。あたい達の顔色を窺わなくていいからさ。二人で相談して決めておいてよね」
セシルさんはそう言うとギムニという芋で作られた度数の強いお酒を飲み干してお代わりを注文する。
ギムニは僕も飲んだことがあるけど強すぎて飲み干せなかった。
セシルさんどれだけ酒豪なんですか!?
シグレさんはそれを見て呆れた顔をした後、追加注文をする為に店員さんを呼び止めます。
「ユキナもミレーヌも初めての旅で疲れただろう。ゆっくり休むのも冒険者の務めだと思う事だ。疲れは動きを鈍くする。常に万全を心掛けなくてはいけない」
そう言って僕とミレーヌの目の前に、鶏のような鳥の丸焼きがどかんと一匹ずつ皿に乗せられて運ばれてきた。
鳥の内臓を抜いて輸入品の高価な香辛料で味付けしたひき肉を詰めて焼いた贅沢な料理で、裕福な家でもお祝いや特別な日でなければ食べられないくらい高価な料理。
「わたしとセシルからのお祝いだ。他にも注文したから沢山食べるといい」
「いっただきま~す♪」
僕が遠慮する前にミレーヌが鶏肉にフォークを突き刺してナイフで切り分ける。
焼けた鳥の胸からひき肉と香辛料の美味しそうな匂いがして肉汁が切り口から溢れる。
その匂いに僕は遠慮するのをやめた。
「いただきます」
肉汁の溢れる鶏肉とひき肉は、胡椒のようなこの世界の香辛料で下味がされていてとてもスパイシーで美味しい。
食べ盛りの僕とミレーヌが勢いよく食べ出すとシグレさんとセシルさんが嬉しそうに微笑んでくれた。
僕達は本当に素晴らしい人たちと巡り合えた。
もしかして僕達は豪運なのかもしれない。
こういう縁は大切にしないといけないだろう。
素直に言えばシグレさんとセシルさんと一緒に旅が出来れば安心だし学べることは多い。
何より僕は二人が好きだ。
だから即答したかったけどミレーヌの事もあるし二人で相談しないといけない。
一週間以内に答えを決めればいいとの事なので、よく考えてから決めようと思い今夜は美食を堪能する事にしよう。
◆◆◆
今までは別部屋だったけど男女の仲になったので僕は勇気を出してミレーヌと同じ部屋に泊まりたい。
恋人でもないのに同じ部屋で寝るなんて図々しいし性欲丸出しだから嫌がられるかもしれない。
そう思われても僕はミレーヌと一緒に居たい。
勿論僕も健康な男子だから性欲はあるし、ミレーヌのとても美しくて綺麗な身体に触れたい。
でもそれだけじゃない。
ミレーヌと一緒にいると胸の中が暖かい気持ちになって嬉しくなる。
何故だろう。
ミレーヌに抱きしめてもらうと僕の勇気が湧いてくる。
折れかけた心が癒されて行くのだ。
でも、もし拒否されたら。
そう考えると怖くて足がすくむ。
僕がそんな悶々とした状態で落ち着きなく、宿の廊下を行ったり来たりしているとぽんと肩を叩かれた。
振り返るとセシルさんがニヤニヤと笑っていた。
ミレーヌじゃない事に落胆してしまった僕はセシルさんに申し訳なくて胸が苦しくなる。
「よっユキナ。何悶々としてるのさ」
「いえ、別に」
そう言いながら僕は自分の欲望を見透かされたように思い、それが恥ずかしくてセシルさんの顔を真っすぐ見れず顔を伏せた。
視線を逸らす僕の顔を覗き込むように見るセシルさん。
一生懸命左右に顔を振りセシルさんに見つめられるのを避けようしたけどセシルさんと目があってしまう。
セシルさんがそんな僕を楽しそうに見つめていた。
「ユキナはどうしたいのさ」
「僕はその……」
「正直に言ってみな」
「ミレーヌと一緒に居たいです」
「そんなにミレーヌの身体を堪能したいのかい?」
「それは」
「否定しなくていいんだよ。ユキナも男だからね」
そう言って楽しそうに僕の顔を見つめるセシルさん。
こっち方面はセシルさんに両手を上げるしかないと思うと悔しい。
「ミレーヌを抱きたいです」
「ユキナは美人なら誰でもいいのかい?なんならあたしの知り合いの娼婦を紹介してあげるよ。ミレーヌみたいな小娘じゃ無くて、もっとユキナを楽しませてくれる女なら何人もいるよ」
「ありがたいですけど僕はミレーヌがいいです。ミレーヌが僕の隣にいてくれれば何もいりません。僕が愛してるのはミレーヌだけなんです」
僕は自分の顔が熱を持っている事を自覚した。
きっと顔を赤くしてみっともないだろう。
胸が苦しいほどミレーヌを抱きたいし一緒に過ごしたい。
「お、おお~。お姉さん少年が素直すぎてこっちまで照れちまうよ」
そう言ってセシルさんが僕の肩を掴んで後ろを振り向かせた。
そこにはミレーヌがもじもじと太ももをすり合わせて立っていた。
もう一度お風呂に入ったのか、長袖水色のシャツの姿。
ミレーヌも恥ずかしいのか頬を赤くして僕をちらちらと見ていた。
僕はミレーヌを見つめる。
水色のシャツを押し上げる豊かな胸と括れた腰、細くてすらりとした足を見ているとあの日の夜を思い出してしまう。
……思い出してしまって股間が立ってきてしまう。
「……あ、これはその」
「ユキナのえっち♪」
そう呟くミレーヌだったがどこか嬉しそうだった。
僕の悩みは杞憂だった。
ミレーヌも僕と一緒にいたかったのだ。
「ほらユキナ。しっかりしな!!」
どんって僕の背中を叩いてセシルさんが僕の事を促す。
ミレーヌが欲しいならはっきり言えって意味だとわかる。
「ミレーヌ。僕はミレーヌが好きだ。だから今夜は一緒にいたい」
「ユキナはボクだけがいいって本気で思ってるの?」
「うん。僕はミレーヌと一緒に居たい」
「わかった。ボク部屋を引き払うね」
そう言ってミレーヌが宿の主人に部屋のキャンセルをしに行こうとしたら。
「ああ。それならあたいがやっといたよ」
セシルさんが既に手を回していたらしい。
最初からこうなる事がセシルさんにはわかっていたのだろうか。
「ほらほらお二人さん。ずっと廊下にいても仕方がないだろ。早く部屋に入りなよ」
そう言ってセシルさんが僕とミレーヌの肩を叩いて、僕がとっていた部屋のドアを指さす。
僕とミレーヌはお互いの顔を見れないくらい恥ずかしくなりながら部屋に入っていった。
◆◆◆
そんな僕達を見送ったセシルさんに廊下の角に立っていたシグレさんが呆れた口調でセシルさんに話しかける。
「……まったくお節介な奴だ」
「お節介なくらいがいいんだよ。じゃなきゃあの二人の仲は全然進まないよ。生きてるって実感が無いと冒険者なんてやってらんないって」
そう言ってセシルさんがケラケラと笑うと、シグレさんが呆れたようにため息をついた。
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