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第3章 パクス
18 守る戦い
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アウレリアとリゴーの戦いはまだ続いていた。
アウレリアの髪はすっかりチリチリになっていた。リゴーはそれを見て笑いながら「似合ってるぜ、その髪型」と言った。
「生意気ね」
リゴーはまた逃げ出した。さっきからこの繰り返し。城内部には様々な仕掛けが施されていた。アウレリアはリゴー歩きながら追いかける。
通路の角を曲がると、そこにリゴーの姿はなかった。近くには扉がある。
「次はその部屋?」
面倒そうにアウレリアがドアを開けると、そこは窓のない暗闇の部屋だった。
アウレリアは笑みを浮かべドアをゆっくりと閉めた。
「次は何かと思えばこんなこと。暗闇は私にとって困ることはないの。よく、見えるわよ、あなたの居場所が」
アウレリアがハッタリを言っていないのはリゴーにもよく分かっていた。
アウレリアはリゴーのいる場所へとゆっくり歩き出す。
一歩、また一歩と。
リゴーは持っているリモコンのスイッチに親指が触れる。そして、アウレリアがもう一歩進んだ時、スイッチが押された。
暗闇だった部屋にいきなり強い光が四方八方全体照らし出した。
アウレリアは悲鳴をあげながら両目を手でおさえた。
「暗闇でよく見えるなら暗視ゴーグルをしているのと同じようなもの。その状況でいきなり強い光にあてられたらどうなるか」
リゴーは拳銃で頭と首を狙って打ち続けた。沢山の血が流れた。それでも、貫いた穴から弾丸が体から抜け落ちると、傷口は一瞬にして閉じてしまう。
「何度も何度も撃ち殺しやがって……痛みがないわけじゃない……」
「お前はゾンビか。いや、ゾンビでも流石に死んでるぞ」
「いいわ。もうこんなことやめにしましょう」
「何だと?」
「あなたにとってこの城は武器。なら、城はもういらない。またつくればいい」
アウレリアは指をパチンと鳴らした。すると、爆発音があちこちで起こった。
「もうあなたはおしまい。城と一緒に崩れるの」
「ハハッ……やってくれたな魔女め」
城が次々と爆破され崩壊していく様子を出港準備にとりかかっていた部下達は船の上でその様子を眺めていた。
甲板長は「ほら、言わんこっちゃない」と呟いた。
「ほら、てめぇら! グズグズしてねぇで手を動かせ」
走るリゴーを見て嘲笑うアウレリア。もう無駄だと分かると、アウレリアはその場から姿を消した。
リゴーはというと、やられてたまるかと隠し部屋へと入り、床の絨毯を外し、床の蓋を外すと、一番下へと直通の梯子があり、それを急いで駆け下りていく。
途中、隠し部屋が爆破され崩れていく音と振動がした。
見上げると既に上は瓦礫で塞がれている。
「クソクソクソ」
急ぎ降りると、内側からしか開けられない非常口があり、そのドアを開け外へと出た。
更に走って城から離れると、港へと急いだ。
走りながら港にとまっている船を見ると、その異変に気づいた。
「何で俺がいねぇのに出港の準備してんだ? クソ、あいつら」
更にスピードを上げて走る。
一方、出港の準備をしていた部下達は此方に向かって走る船長を見つけた。
「甲板長! 船長です。船長が生きてます」
甲板長は冷や汗を感じた。
まずいと咄嗟に判断しピストルを抜くと、甲板から此方に向かって走る船長に向かって撃ち始めた。
「甲板長!? なにやってるんですか」
「俺達が船長を置いて逃げるところを気づかれたんだぞ。俺達はおしまいだ」
部下がそれに説得されかけた時、甲板長の後頭部に銃を突きつけられ、甲板長がそれに気づいた直後、少年は引き金を引いた。
甲板長は倒れ、その様子はリゴーにも見えた。
殺したのはアペールだった。
アペールはリゴーを見た。その目は殺したぞと訴えている。
元々、甲板長は嫌いだった。だから、殺せたのかもしれない。
船長が船に乗り込むと、アペールが近づいた。リゴーはアペールを一瞥すると、直ぐに舵をとりに向かった。
「なんだよ、お礼も無しかよ」
リゴーは「出港だ」と部下に命令する。
錨が上げられ船が動き出し、港から離れる。
すると、島の上空から黒い鳥が飛んできた。人面を持つ鳥だ。顔はあのアウレリアだった。
「セイレーンか」
海賊達が騒ぐ中、リゴーは冷静にそう言った。
アウレリアはリゴーを見つけ「しぶとい男だ」と言った。
「それはお互い様だろ。で、どうするつもりだ? まだ続けるのか? 今度は船と部下も諦めるのか? 分かったろ、ゲスな魔女め。俺からは何も奪えやしない。俺達は海賊だ! 奪いはするが、奪われるような間抜けはしない」
アウレリアは不気味な笑いをすると「今日のところは諦めるとするよ」とそう言って遠くへ飛んでいった。
それを見て部下達はホッと安堵した。
アペールはじっと船長を見ていた。
アウレリアの髪はすっかりチリチリになっていた。リゴーはそれを見て笑いながら「似合ってるぜ、その髪型」と言った。
「生意気ね」
リゴーはまた逃げ出した。さっきからこの繰り返し。城内部には様々な仕掛けが施されていた。アウレリアはリゴー歩きながら追いかける。
通路の角を曲がると、そこにリゴーの姿はなかった。近くには扉がある。
「次はその部屋?」
面倒そうにアウレリアがドアを開けると、そこは窓のない暗闇の部屋だった。
アウレリアは笑みを浮かべドアをゆっくりと閉めた。
「次は何かと思えばこんなこと。暗闇は私にとって困ることはないの。よく、見えるわよ、あなたの居場所が」
アウレリアがハッタリを言っていないのはリゴーにもよく分かっていた。
アウレリアはリゴーのいる場所へとゆっくり歩き出す。
一歩、また一歩と。
リゴーは持っているリモコンのスイッチに親指が触れる。そして、アウレリアがもう一歩進んだ時、スイッチが押された。
暗闇だった部屋にいきなり強い光が四方八方全体照らし出した。
アウレリアは悲鳴をあげながら両目を手でおさえた。
「暗闇でよく見えるなら暗視ゴーグルをしているのと同じようなもの。その状況でいきなり強い光にあてられたらどうなるか」
リゴーは拳銃で頭と首を狙って打ち続けた。沢山の血が流れた。それでも、貫いた穴から弾丸が体から抜け落ちると、傷口は一瞬にして閉じてしまう。
「何度も何度も撃ち殺しやがって……痛みがないわけじゃない……」
「お前はゾンビか。いや、ゾンビでも流石に死んでるぞ」
「いいわ。もうこんなことやめにしましょう」
「何だと?」
「あなたにとってこの城は武器。なら、城はもういらない。またつくればいい」
アウレリアは指をパチンと鳴らした。すると、爆発音があちこちで起こった。
「もうあなたはおしまい。城と一緒に崩れるの」
「ハハッ……やってくれたな魔女め」
城が次々と爆破され崩壊していく様子を出港準備にとりかかっていた部下達は船の上でその様子を眺めていた。
甲板長は「ほら、言わんこっちゃない」と呟いた。
「ほら、てめぇら! グズグズしてねぇで手を動かせ」
走るリゴーを見て嘲笑うアウレリア。もう無駄だと分かると、アウレリアはその場から姿を消した。
リゴーはというと、やられてたまるかと隠し部屋へと入り、床の絨毯を外し、床の蓋を外すと、一番下へと直通の梯子があり、それを急いで駆け下りていく。
途中、隠し部屋が爆破され崩れていく音と振動がした。
見上げると既に上は瓦礫で塞がれている。
「クソクソクソ」
急ぎ降りると、内側からしか開けられない非常口があり、そのドアを開け外へと出た。
更に走って城から離れると、港へと急いだ。
走りながら港にとまっている船を見ると、その異変に気づいた。
「何で俺がいねぇのに出港の準備してんだ? クソ、あいつら」
更にスピードを上げて走る。
一方、出港の準備をしていた部下達は此方に向かって走る船長を見つけた。
「甲板長! 船長です。船長が生きてます」
甲板長は冷や汗を感じた。
まずいと咄嗟に判断しピストルを抜くと、甲板から此方に向かって走る船長に向かって撃ち始めた。
「甲板長!? なにやってるんですか」
「俺達が船長を置いて逃げるところを気づかれたんだぞ。俺達はおしまいだ」
部下がそれに説得されかけた時、甲板長の後頭部に銃を突きつけられ、甲板長がそれに気づいた直後、少年は引き金を引いた。
甲板長は倒れ、その様子はリゴーにも見えた。
殺したのはアペールだった。
アペールはリゴーを見た。その目は殺したぞと訴えている。
元々、甲板長は嫌いだった。だから、殺せたのかもしれない。
船長が船に乗り込むと、アペールが近づいた。リゴーはアペールを一瞥すると、直ぐに舵をとりに向かった。
「なんだよ、お礼も無しかよ」
リゴーは「出港だ」と部下に命令する。
錨が上げられ船が動き出し、港から離れる。
すると、島の上空から黒い鳥が飛んできた。人面を持つ鳥だ。顔はあのアウレリアだった。
「セイレーンか」
海賊達が騒ぐ中、リゴーは冷静にそう言った。
アウレリアはリゴーを見つけ「しぶとい男だ」と言った。
「それはお互い様だろ。で、どうするつもりだ? まだ続けるのか? 今度は船と部下も諦めるのか? 分かったろ、ゲスな魔女め。俺からは何も奪えやしない。俺達は海賊だ! 奪いはするが、奪われるような間抜けはしない」
アウレリアは不気味な笑いをすると「今日のところは諦めるとするよ」とそう言って遠くへ飛んでいった。
それを見て部下達はホッと安堵した。
アペールはじっと船長を見ていた。
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