つぎはぎだらけの異世界

アズ

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05 宇宙

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 馬車を放置し走って逃げたおじさんの背中が見えなくなると、俺達は急いで馬車から離れ、おじさんが再び戻ってくる前にとにかく遠くへと急いだ。
 ただ、走れば走る程にあまりの暑さに汗が体全体から湧き出てくる。汗っかきの体質では元々ない自分でさえびっしりかく程の汗だ。それ程までにここの気温は高く、どこへ行こうとカラッとした暑さは続いた。少しでも日陰に入って頭を守らなければ茹で上がりそうだ。
 街を見渡せば住人のほとんどが傘や帽子など、頭を保護している。
 天羽は突然「夜空には星が見えなかったのに、太陽はあるんだね」と揶揄した。
 多元宇宙を考えればそういった宇宙が全く存在しないとは限らない。だから、この世界に太陽があることは不思議ではない。だが、その確率はどれほどのものなのか。太陽の近くに人類に合った環境が偶然にも存在している。勿論、そういった偶然がなければ俺達はこうして存在し得ないだろう。生命の誕生は偶然の重なりの奇跡と言っていいわけだが、それは果たしてどれぐらいの確率になるのだろうか。決して高い確率でないことぐらいは容易に想像出来る。当然、人類や生命のいない宇宙、世界も存在してもおかしくはない。対してこの世界は偶然が出来すぎている。
「もう我慢出来ない!」
 突然天羽がそう言うと、彼女は噴水へ向かって走り地面を蹴って高く飛ぶと、噴水へとダイブした。
「天羽!?」
 近くで水遊びしていた子どもたちは水しぶきを浴びて更に大はしゃぎする。それを見ていた親達は噴水から起き上がる天羽を睨んだ。親達の目線は「危ないじゃない」「子どもが真似したらどうするの」とか、色々な文句がこもっていた。だが、天羽は大笑いしながら「冷たーい!」と大声をあげていた。
 俺は天羽に暫く近寄れなかった。他人のふりをしたかったが、ぞろぞろと大人達が現れ天羽に近づいて説教をし始めたが、天羽は当然この世界の言葉を知らず、ポカンとした顔をしていた。
 俺は仕方なくそこへ向かい、頭を下げながら天羽のかわりに謝り天羽を引っ張って噴水から出すと、急いでその場から離れた。大人達は不満そうな顔をまだしていた。
「いけないことだって普通に考えたら分かるだろ?」
「楽しいよ?」
「君は馬鹿か?」
「子どもは大声をあげるでしょ? 大人は叱るけど、子どもは大声をあげたいからあげる。ずっと楽しいことを大人達より沢山思いつく。羨ましいよね。私達はすっかりそれを忘れて出来なくなった」
「は? 君は子どもか?」
「どうして君は大人になろうとするの?」
「は? ずっと子どものままでいられるわけないだろ」
「そうね……でも、時々は子どもに戻りたいと思う。ねぇ? 私達ってもうそんな年だっけ?」
「いや……」
「まだ許されるんじゃない?」
「あのな……」
 俺は呆れてもう言葉が出てこなかった。
「冗談よ。本気にしないで。それよりこれからどうするわけ? コミュニティを探すんでしょ?」
「この街にあることを願うよ。前の街では目印は地球の絵だった」
「まさかこんな暑さの中を探し回るわけじゃないでしょ? 誰かに聞こうよ。私は喋れないから頑張ってね」
「はいはい」
 俺は適当に返事をした。実際、俺がやるしかないのは分かっていた。
 俺は早速目の前を通り過ぎた黒人に赤髪の女性に訊いてみた。その女性はお洒落な首飾りをしており、日傘をさしていた。
「あの、すみません。質問いいですか?」
「はい」
 女性は笑顔で応じてくれた。
「この街に異世界人、もしくは地球人のコミュニティを探しているんですが、この街にありますか?」
「あなた地球人?」
「はい。向こうにいる彼女もそうです」
「私、地球人に会うの初めて! 地球人って皆あなたのような人ばかり?」
「いいえ。この世界同様色んな人がいます。肌の色も喋る言葉もです」
「そうなの! ごめんなさい、コミュニティは聞いたことないわ。それより地球について色々教えてくれる?」
「いいですよ」
 俺は彼女に色々と地球の話しをしながら、逆にこの街について色々と教えてもらった。ついでに彼女が持っていた籠の中にあった果実を二つ譲ってもらった。
「ありがとう」
「こちらこそ」
 長話しになってしまったが、情報と食料をタダでゲットした。
 俺はその一つを天羽に渡した。
「おお! 食料だ」
「あの人に色々と街について聞けたけど、コミュニティについては知らなかったよ」
 俺はそう答えながら果実を丸かじりした。相変わらずの苦味が口の中で広がり、果物のような甘さや旨味が全くない。
 天羽は目と口の回りにシワが寄った。
「なにこれ? なんの果実?」
「覚悟した方がいい。この世界の食べ物は致命的に美味しくない」
「なにその地獄」
 その後も顔にペイントをしている男女とか赤い土面をしている謎の人とかに訊いても、コミュニティを知る人はいなかった。
「もしかするとコミュニティはこの街にないのかもしれない」
「だったらどうするわけ? コミュニティを頼りにする予定だったんでしょ?」
「しょうがないけど、別の街へ行くしかないよ」
「そこは歩いて行けるの? 金ないんでしょ?」
「分からないよ。でも、歩いて行くしかない」
「うわ……まぁ、そうか。そうだよね」



◇◆◇◆◇



 その頃、観察管は部屋を出て移動した。途中、二足歩行する人型警備ロボットと何度かすれ違った。
 マルテンターサランがロボットを気にする様子を見せると、男はそれに気がついた。
「ロボットが気になるかね?」
「武装していました。ロボット(バッテリー搭載)は他にもありますが、武装は何の目的ですか?」
「あれは警備ロボットだ。だが、武器だけが珍しいわけではないぞ。大抵のロボットは故障しても爆発は起こらない。だが、軍の機密性の観点から故障が起きた時、情報を抜き取られないよう自爆するプログラムが書き込まれてある」
「人を攻撃するロボットが普通に巡回してるんですか」
「安心したまえ。ロボットが勝手に暴走し人を攻撃するわけではない。ロボットには敵味方識別装置がある。昔は仲間認識コードを採用していたが、今では顔認証システムがそれにかわって識別している。まず、我々が襲われることはない」
 だとしたらさっき通り過ぎていったロボットは目の中にあるカメラで私達の顔を自動で判別していたことになる。あの一瞬で……高度な性能だ。
 二人はそのまま窓のある通路へと出ていた。
「なんですか、これは?」
 それは分厚い窓ガラスの向こうに広がる大地には巨大なパラボラアンテナが幾つもあった。
「なんだと思う?」
「分かりません」
「少し話しをしよう。人類が世界の終わりを想像する時、地球人はラグナロクという言葉を使って表現する。だが、我々の世界では科学的に世界の終わりについて説明しようとする。地球人の全てがラグナロクで説明するわけではないが、落雷で山が真っ二つに割れようと地球人のように神の仕業だとは考えない。我々は因果律をもとに現象について科学で説明が出来ると考える。だが、同時に我々は世界の全てが説明つけられるものだとは考えない。そこが地球人との根本的な違いにある。地球人は因果律が絶対なものとし、説明出来ない問題も科学がまだ進歩の途中であり、今は説明が出来ないと考える。もしくは神話に頼る。だが、我々には知り得ない世界が存在すると考える。何故なら、観測者が観測する方法は乏しく、それ事態に限界があるからだ。多方面から観測するには当然、内からの宇宙だけでなく、外からの観測も必要になる。それでも足りないかもしれない」
「では、あれで観測しているのですか? その、地球人の世界を?」
「いや、あれだけで観測は不可能だし、ダークエネルギーによって膨張を加速している宇宙では到底一つの宇宙ですら端まで届けるのは不可能だろう。膨張する宇宙では近くの宇宙でしかせいぜい観測がやっとだ」
「では、あれは何ですか?」
「宇宙に向けられたものだが、それは宇宙にある中継地点にある機械の方がもっとも重要になる」
「機械?」
「それは極秘で教えることは出来ない」
「私はここで何をされるんですか?」
「いずれ、君に任務が言い渡されることになるだろうが、それまでは教えることは出来ない」
「そこにあるのとは関係がないってことですか?」
「そうだ」
「それは危険なことですか?」
「教えられない」
「私はどちらにせよ今ので知りすぎた気がします。おそらく、私はもう戻れないところにいるってことですよね」
「そうだ」
 覚悟はしていたことだ。地球人と関わること事態ロクでもないことなのは分かっていた。だからこそのあの高給だったと自分は納得していた。だから、後悔はしない。ただ、にしてはここに来るのに早すぎた。
「だが、少しは君に話してもいいだろう。この宇宙について。我々が今いる宇宙は元々闇が広がる世界だった」
「え?」
「君は地球人から話しを聞いたりしなかったか? 地球人の世界では夜空は沢山の星が見られるそうだ。だが、この世界の夜空はそうはならない。あるのは日と我々の星だ」
「しかし、だとしたら何故私達の住む星が出来たんですか? ずっと昔は闇だったわけですよね?」
「そうだ。そもそも多元宇宙では物理法則も時の流れも違う。この宇宙も地球人のいる宇宙とは違うということだ。我々はその多元宇宙の観測を行うことが任務だ。だが、任務はそれだけではない」
 その時、彼の電子時計のタイマーが鳴った。
「時間だ。君の質問だが、答える前に私の質問に答えてもらう。今のを聞いてどう思った?」
「分かりません。なにがなんだか……」
「では、次会うまで答えはお預けだ。その時、もう一度同じ質問をする。それまでに考えておくように」
 そんなこといわれたって…… 。だが、そんなこと当然言えるわけがなかった。



◇◆◇◆◇



 天羽と俺は暫く街で聞き込みをして、次の街は『グリージブ』であるということが分かった。そこではこの国随一の植物学者が集結し土の研究と、荒野に植物を増やす任務に国からの予算を受けて活動する研究施設がある。そして、俺達の目的地でもあるコミュニティがあるとのこと。目的が分かればあとは移動手段だ。
 現在いる街からグリージブへの移動には運河を下る船に乗って運河を渡る必要がある。乗船には勿論お金が必要だ。ただ、そこまで高くはない為、二人なら一日働いて稼げばお釣りが出るぐらいだ。日雇いの募集ならこの街にもあった。荷物をおろしたり運んだり、建設現場や工事の仕事と、ほとんどが肉体労働だ。だが、問題は天羽はここでの言葉が分からないこと。俺は覚えた少ない単語でなんとか会話をしようとするものだから相手を困らせることもあるが、なんとかそれでも単純労働ならなんとかなりそうだった。
 しかし、天羽は自分も仕事をすると言い出した。
「あんたにずっと世話になりっぱなしになるわけにはいかない。少しは自分でも出来るようにならないと」
「大丈夫か?」
「ジェスチャーでなんとかしてみる」
 知らない土地で不安がないわけじゃないのに、その勇気と行動力は逆に負けてられないと自身の原動力にもなった。
「分かった」
 こうして俺達は荷物運びの日雇いをまる一日かけて仕事をした。
 それは両腕と腰にくる仕事で、後日には筋肉痛でうなされること間違い無しのレベルだった。対して天羽は額に汗をかきながらも弱音はいっさい口にしなかった。
 仕事が終わった頃にはすっかり空は夕焼けになっており、俺達は屋台で虫の丸焼きを買って食べた。それが一番安かったというのも理由だが、正直なにを食べても不味いしかないから一度は試しに昆虫食というものがどいうものかを知っておこうというのが理由だったが、意外にも美味しかったのだ。
「美味い! あとはこの見た目がどうにかなれば」
 虫の足と目がせめてなければと思う。
 隣で同じように食べた天羽は「確かに美味しいんだけどさ……こればっかずっと食べるのは嫌だな」と正直に答えた。
「確かに」
「早く地球に帰りたい」
「それか地球人でも美味しい野菜や果物を俺達で育ててみるのはどうかな?」
「出来るの?」
「俺達が向かう街には大きな研究施設があるんだ。研究者に言ったらそういった種の研究をしてもらえるかもだよ」
「そうなればとりあえずは一安心だけど、ずっと戻れないのはやっぱり嫌だね」
 異世界もののラノベやアニメは大概が現実世界に戻れずその世界に適合するのがほとんどだ。そして、実際俺が会ってきた地球人も適合している人達が何人もいた。だが、俺や天羽にはこの世界でずっとというのは無理だ。
「あとは戻れる方法が見つかればいいんだけどね」
 その後、俺達は安宿を見つけ一泊すると、朝には早速運河の方へ向かった。
 道中、グリージブへ荷物運びの募集をしている運送会社を見つけ、ついでと俺達はその募集を受けた。これで移動の運賃は会社持ちとなり、更にお金が入るという一石二鳥の持金が増える嬉しい巡り合わせを朝一番で幸運を掴むと、頭部に布をまるでターバンのように巻いて頭を日光の直射から守る運送会社社員と帽子を買った俺達は運河へと荷車を押しながら向かった。
 土煙が舞う道では、電気虫を搭載した四輪の車が何台か俺達を横切りあっという間に通り過ぎていった。
「私達も車に乗りたいね」
「電気虫事態、高いんだよ。車はもっと高い」
「この世界のエネルギーの運用は面白いと思うけど、他に色んなエネルギー用途があってもいい筈でしょ? 例えば風力や太陽光とか」
「確かにそれは思ったよ。この国の生み出すエネルギーは俺達がいた日本が年間生み出しているエネルギーに比べたらずっとずっと少ない。だから、夜はほとんど真っ暗で夜中に活動する人は少ないんだ。ただね、その分労働時間も少なくなるんだよ。だからこの世界は日本みたいに過重労働がない」
「つまり、いいことも悪いこともあると」
 暫くして、視界に運河が見えてきた。それにつれ、通行人も多くなっていった。
 運河の水の色は残念ながら汚れており、透き通った綺麗な水とは言えなかった。一部は生活用水として活用もされる運河。まさにここに住む人々にとっては重要な存在だと分かる。
 その運河には細長い船が幾つも見え、その上には沢山の荷物と人が乗っては港で乗り降りしていた。
 荷物は小さいものから大きいものまで様々で、大きいものになると建築資材とかになる。
 港には船に乗る人であふれており行列が出来ていた。その中には一般人がグリージブへ向かう船を列に並び順番待ちをしていた。
 時間がかかりそうだと思ったのは間違いではなかった。実際、乗船するのに半日はかかった。その間にも猛暑が俺達を襲った。だが、雨の日は船が出ない為、やはり日の出ている日になる。
 ようやく順番がくると、木箱に入った荷物を慎重に船へと移した。
 船の動力は電動モーターに直結している電気虫が発生させる電気だ。
 船が動きだし港から船が離れると、グリージブへ向かった。
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