1 / 12
00
しおりを挟む
雲一つない青空では太陽がどこからでもよく見える。その下には黄土色の砂漠がずっと広がっていた。植物らしきものは見当たらず、動物の姿も見当たらない。太陽の影になるような場所はほとんどなく、風がたまに吹けば、細かい砂が散るだけだ。そんな砂漠に巨大なクレーターが出来ていた。しかも、周辺を見渡せば幾つもある。
その近くに二人の姿があった。
二人とも青年で、身長は180以上あり体格に恵まれた彼らはお互い向かい合っては掌を突き出し、なにやら怒鳴り声を両者は上げていた。
一人は緑色のターバンをしており、もう一人は紺色のターバンをしていた。緑色のターバンから僅かに見える髪の色は黒。もう一人の方は赤茶色の髪をしていた。髪の色は違っても瞳の色は同じグレーだ。人種としての違いはなかった。そんな二人は今大変揉めていた。
なんと言っても、先程のクレーターを作ったのは彼らの仕業だった。
緑色のターバンの青年はロイ、もう一人はグリムといった。
ロイは得意の魔法を幾つも詠唱を省略して完成させた。最早、魔法の進歩により魔法の詠唱は古臭い。同時に複数の違う属性の魔法の錬成に成功したロイの掌からは炎と電撃と水が勢いよく発射される。それをグリムは大量の砂を操り持ち上げると、大きな壁をつくりそれら全てを防いだ。
炎が放たれれば水をぶつければいい。そんな療養で攻守が連続して行われれば、決着など尽きそうにないだろう。
魔法には魔法力という基準を示すものがあるが、勘違いされやすいので先に説明すると、魔法力イコール体力的なものではない。魔法力は単純にその魔法の強さのレベルを意味する。
二人は最大で出せるレベルは同等だった。
つまり、魔法力による戦力差で勝利は望めず、二人は互角と言ってよかった。
そんな二人はもう既に30分戦いを続けていた。
ロイは高度な重力を操る魔法を行使し、グリムの体重を何倍もかける。グリムはそれに対しマジックキャンセルで魔法の錬成を崩し、ロイの重力魔法から逃げ出せたグリムは自分自身に肉体強化魔法を施し、生身の人間では決して届くことがない音速の領域で一気にロイの懐までいくと、一気に拳をためて放った。
後方に勢いよく飛んだロイは苦痛の表情をしながら、そのまま砂漠の彼方に不時着した。
砂漠の砂がクッションになってくれた為、彼は思った以上のダメージにならなかったが、痛みはまだ続いた。
ロイは素早く自分自身に回復の魔法をしようとしたが、そこに雷の雨が降り注いだ。
ロイは舌打ちし、砂漠の中に自ら魔法で沈んだ。
雷の雨はなにもないその場所にただ降り注ぎ、雷が落ちる度に衝撃で周りの砂が大量に飛び散ったりした。
グリムは周囲を警戒した。ロイが砂漠の中に潜ったのを見ていたからだ。
すると、グリムの背後からロイが砂漠から飛び出し、宙に高く飛んだまま黒い霧を放った。それは闇であった。
闇は飲み込んだ者の意識を奪う魔法だ。その闇に一度でもとらわれてしまえば、勝敗は一気に決まる!
だが…… 。
「お前はいつもそうだ! 俺の背後をとろうとする。学習しないな、ロイ!」
強い白い光を放ち、ロイの視覚を邪魔するどころか、ロイが放った闇すら遠ざけた。
黒い霧は強い光を嫌った。
思わず腕で光を目から守ろうとしたロイはグリムから完全に無防備となってしまった。
グリムはトドメの一撃、赤い稲妻をロイに向け放った。
赤い稲妻はロイを貫き、ロイは完全に意識を失った。
その近くに二人の姿があった。
二人とも青年で、身長は180以上あり体格に恵まれた彼らはお互い向かい合っては掌を突き出し、なにやら怒鳴り声を両者は上げていた。
一人は緑色のターバンをしており、もう一人は紺色のターバンをしていた。緑色のターバンから僅かに見える髪の色は黒。もう一人の方は赤茶色の髪をしていた。髪の色は違っても瞳の色は同じグレーだ。人種としての違いはなかった。そんな二人は今大変揉めていた。
なんと言っても、先程のクレーターを作ったのは彼らの仕業だった。
緑色のターバンの青年はロイ、もう一人はグリムといった。
ロイは得意の魔法を幾つも詠唱を省略して完成させた。最早、魔法の進歩により魔法の詠唱は古臭い。同時に複数の違う属性の魔法の錬成に成功したロイの掌からは炎と電撃と水が勢いよく発射される。それをグリムは大量の砂を操り持ち上げると、大きな壁をつくりそれら全てを防いだ。
炎が放たれれば水をぶつければいい。そんな療養で攻守が連続して行われれば、決着など尽きそうにないだろう。
魔法には魔法力という基準を示すものがあるが、勘違いされやすいので先に説明すると、魔法力イコール体力的なものではない。魔法力は単純にその魔法の強さのレベルを意味する。
二人は最大で出せるレベルは同等だった。
つまり、魔法力による戦力差で勝利は望めず、二人は互角と言ってよかった。
そんな二人はもう既に30分戦いを続けていた。
ロイは高度な重力を操る魔法を行使し、グリムの体重を何倍もかける。グリムはそれに対しマジックキャンセルで魔法の錬成を崩し、ロイの重力魔法から逃げ出せたグリムは自分自身に肉体強化魔法を施し、生身の人間では決して届くことがない音速の領域で一気にロイの懐までいくと、一気に拳をためて放った。
後方に勢いよく飛んだロイは苦痛の表情をしながら、そのまま砂漠の彼方に不時着した。
砂漠の砂がクッションになってくれた為、彼は思った以上のダメージにならなかったが、痛みはまだ続いた。
ロイは素早く自分自身に回復の魔法をしようとしたが、そこに雷の雨が降り注いだ。
ロイは舌打ちし、砂漠の中に自ら魔法で沈んだ。
雷の雨はなにもないその場所にただ降り注ぎ、雷が落ちる度に衝撃で周りの砂が大量に飛び散ったりした。
グリムは周囲を警戒した。ロイが砂漠の中に潜ったのを見ていたからだ。
すると、グリムの背後からロイが砂漠から飛び出し、宙に高く飛んだまま黒い霧を放った。それは闇であった。
闇は飲み込んだ者の意識を奪う魔法だ。その闇に一度でもとらわれてしまえば、勝敗は一気に決まる!
だが…… 。
「お前はいつもそうだ! 俺の背後をとろうとする。学習しないな、ロイ!」
強い白い光を放ち、ロイの視覚を邪魔するどころか、ロイが放った闇すら遠ざけた。
黒い霧は強い光を嫌った。
思わず腕で光を目から守ろうとしたロイはグリムから完全に無防備となってしまった。
グリムはトドメの一撃、赤い稲妻をロイに向け放った。
赤い稲妻はロイを貫き、ロイは完全に意識を失った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!
青空一夏
恋愛
私はブロッサム・ビアス。ビアス候爵家の次女で、私の婚約者はフロイド・ターナー伯爵令息だった。結婚式を一ヶ月後に控え、私は仕上がってきたドレスをお父様達に見せていた。
すると、お母様達は思いがけない言葉を口にする。
「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」
「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」
なぜ、お姉様の名前がでてくるの?
なんと、お姉様は私の婚約者の子供を妊娠していると言い出して、フロイドは私に婚約破棄をつきつけたのだった。
※タグの追加や変更あるかもしれません。
※因果応報的ざまぁのはず。
※作者独自の世界のゆるふわ設定。
※過去作のリメイク版です。過去作品は非公開にしました。
※表紙は作者作成AIイラスト。ブロッサムのイメージイラストです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる