41 / 83
●支えてくれる人
1
しおりを挟む
1時間以上、玄関に座り込んでいた。
立ち上がれない。
力が全く入らない。
手に違和感を感じて、見てみると、手が細かく震えていた。
それを見て、治まりかけていた涙が、また目にあふれてくる。
大好きな人ともう会えなくなる。
こんなにつらいこととは、知らなかった。
隆也と会えなくなることを、私の体は全身で拒否してるようだ。
手の震えも。
力が入らない足も。
体は正直だ―――
私は隆也に本音を見せずに、別れを受け入れた。
本当は嫌だったのに、子供みたいにだだをこねたかった。
何で私は隆也に、自分の本当の気持ちをぶつけられないんだろう。
スマホが鳴っている。
私は力なく、玄関に放ってあったバックの中からスマホを取り出した。
少し迷って、通話ボタンを押して、電話に出る。
『もしもし・・・』
『おー、由希ちゃん?』
『うん、シュン?』
『おぅ』
電話をかけてきたのはシュンだった。
もしかして隆也かなぁ・・・なんて、一瞬期待してしまった自分が滑稽だ。
『シュン、どうしたの?』
『由希ちゃん、何かあったでしょ?』
驚いた。
何で、シュンにわかってしまったんだろう。
『何で・・・?』
『声が暗い。それに、さっき様子がおかしかったから。だからちょっと心配になって、電話してみたんだけどさ』
『・・・・・・』
さっきの様子を心配してかけてくれたらしい。
シュンは本当に優しい。
でも今は優しくしないで欲しい。
優しくされると、我慢していた涙が又出てきてしまいそうになる。
『・・・・で、何があった?』
『さっき、隆也と会った。隆也がうちの前で待ってたんだ』
『・・・・・』
『それでね、隆也はまどかと結婚したいんだって・・・だから私とはもうね・・・』
そこから、私は話せなくなってしまった。
堰をきったように、涙がどんどん溢れてきたから。
我慢してたのに。
もう私はしゃくりあげることしか、できなかった。
立ち上がれない。
力が全く入らない。
手に違和感を感じて、見てみると、手が細かく震えていた。
それを見て、治まりかけていた涙が、また目にあふれてくる。
大好きな人ともう会えなくなる。
こんなにつらいこととは、知らなかった。
隆也と会えなくなることを、私の体は全身で拒否してるようだ。
手の震えも。
力が入らない足も。
体は正直だ―――
私は隆也に本音を見せずに、別れを受け入れた。
本当は嫌だったのに、子供みたいにだだをこねたかった。
何で私は隆也に、自分の本当の気持ちをぶつけられないんだろう。
スマホが鳴っている。
私は力なく、玄関に放ってあったバックの中からスマホを取り出した。
少し迷って、通話ボタンを押して、電話に出る。
『もしもし・・・』
『おー、由希ちゃん?』
『うん、シュン?』
『おぅ』
電話をかけてきたのはシュンだった。
もしかして隆也かなぁ・・・なんて、一瞬期待してしまった自分が滑稽だ。
『シュン、どうしたの?』
『由希ちゃん、何かあったでしょ?』
驚いた。
何で、シュンにわかってしまったんだろう。
『何で・・・?』
『声が暗い。それに、さっき様子がおかしかったから。だからちょっと心配になって、電話してみたんだけどさ』
『・・・・・・』
さっきの様子を心配してかけてくれたらしい。
シュンは本当に優しい。
でも今は優しくしないで欲しい。
優しくされると、我慢していた涙が又出てきてしまいそうになる。
『・・・・で、何があった?』
『さっき、隆也と会った。隆也がうちの前で待ってたんだ』
『・・・・・』
『それでね、隆也はまどかと結婚したいんだって・・・だから私とはもうね・・・』
そこから、私は話せなくなってしまった。
堰をきったように、涙がどんどん溢れてきたから。
我慢してたのに。
もう私はしゃくりあげることしか、できなかった。
0
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
旦那様、最後に一言よろしいでしょうか?
甘糖むい
恋愛
白い結婚をしてから3年目。
夫ライドとメイドのロゼールに召使いのような扱いを受けていたエラリアは、ロゼールが妊娠した事を知らされ離婚を決意する。
「死んでくれ」
夫にそう言われるまでは。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる