9 / 12
受け視点2
8
しおりを挟む
扉を開いて中に入ってきたのは、ウリョウだった。
はじめはただ茫洋とした顔で私とジシェンを見たウリョウだったが、見る間にその顔が険しく歪められていった。
私の目元を汚していた涙を慌ててふき取るが、それも見られてしまっていたかもしれない。
「答えろ。何をしているか聞いている」
冷え冷えとした声を発したウリョウが、一歩室内に踏み込んでくる。
それに今まで氷漬けにされたように固まっていたジシェンが、縋りついていた私の手を振り払い後ろへ飛び退いた。
振り払われた衝撃で、膝をついていた私はべしゃりとその場に尻もちをつく。
「待て、ウリョウ。俺が呼んだんじゃない。手を握っていたように見えたのも誤解だ」
ちらりとジシェン様を見上げると首を横に振っている彼の顔は固く強張っている。
ウリョウが不機嫌な理由は分からない。
だがあまりよくない事態になっていることは鈍い私の頭でも理解できた。
私は尻もちをついた体を起こし、その場に手を付くと頭を下げた。
「……わ、私が、ジシェン様にお願いがあって参りました」
ウリョウの視線が私に降り注がれているのが気配で分かる。
刺すようなその視線を感じて、つっかえながら言葉を紡ぐ。
「今まで、助けてもらった恩に報いずに、本当に申し訳ないと思っています」
ただ餌を与えられるのを口を開けて待つ雛のように、私は彼からの優しさをただ甘受していた。
だけどそれではいけないとようやく気が付いた。
このまま彼の傍に居続けることがどれほど厚顔なことか。
しかも唾棄される存在にも拘らず、恥知らずにも彼に思いを寄せているなんて。
「ですからどうか、……どうか、私をどなたかへ下げ渡して頂けませんでしょうか。ジシェン様でなくても、どなたでも結構です」
できれば誰か、他の誰かが貰ってくれると言ってからウリョウに伝えたかった。
でなければ、この優しい男はまた私に気を遣ってしまうかもしれない。
性処理のためですら使いたくない程に嫌っている私を、今までそうと気が付かせずに傍にいさせてくれたんだ。
ここで再び彼の温情に縋るような真似をしたら、また誰か優しい相手に宛がわれるかもしれない。
でも私は……私を冷たく値踏みするジシェンのような、どうしたら一番私を高く売り払えるか考える相手がいい。
その方が少しでも彼の役に立てるだろうから。
頭を下げたまま言葉を重ねる私を、ウリョウは暫く無言で見つめていた。
空気は重く、誰もが固唾をのんで自分の心臓の音まで聞こえそうだった。
駄目、なんだろうか。
憎い相手であっても簡単に下げ渡せるほど、私の立場とは簡単なものじゃないんだろうか。
床に付いた指先が緊張に冷たくなる。
思わずその指先をぎゅっと握ると、重たい足音と共にウリョウがこちらへ近づいてきた。
「俺がそれを許すと思ったのか」
頭の上で低い声がした。
そう思った瞬間、私の体は浮き上がっていた。
腕を取られて立たされたのだと分かった時には、胸倉を掴まれて床からかかとが浮いた。
「……っ!」
驚きと息苦しさに呼吸が止まる。
彼はなぜか私のよれた化粧をした顔と、服を見回して忌々し気に舌打ちをする。
初めて見る、その憎いと言わんばかりの表情に私はただ息をのんで固まった。
「いや、許さないと思ったから、こんな他の男に助けを求めるような真似をしたんだろうな」
固まる私を見下ろしたままそうウリョウは呟くと、胸倉を掴んでいた私を肩に担ぎあげた。
荷物のように片手で持ち上げられてその不安定さに思わず彼の服にしがみつく。
「ジシェン、沙汰を知らせるまで部屋から出るな」
「ウリョウ……!」
言い捨てたウリョウに、ジシェンが何か言いつのろうと名を呼ぶがウリョウは気にせずに足を進める。
扉から出ると、廊下のすぐ脇にエイレンが蒼白な顔をして立っていた。
目が合うと涙を浮かべてこちらを見つめている姿に、ああ彼がウリョウをここへ呼んだのか、とそんなことを考えている場合でもないのに朧気に思った。
ウリョウは普段はこの時間は執務に忙しく、ジシェンの部屋で鉢合わせるなんてことはあり得ない。
だから、エイレンが。
頭の隅でそんなことを考えているうちに、ウリョウは足早に回廊を進んでいった。
途中で何人かの人達とすれ違ったけれど誰からも声はかけられない。
肩に担がれている私はどこへ進んでいるのかも分からなかったけれど、決して短くない時間歩いた後にいくつかの扉を潜り抜けて、ようやくどこかの部屋へとたどり着いた。
「誰も入れるな」
ウリョウの言葉に、扉を開けた護衛をしているらしい兵士はぴしりと背筋を伸ばし、私たちが中へと入るとすぐに扉を閉めた。
「ウリョウ、ここは……」
ここはウリョウの部屋、だろうか。
淡い色彩で彩られた私の部屋とは違い、少しくらい色合いの部屋にはいくつも重厚な家具が置かれている。
だが続きの間に繋がっているであろう扉もあって、室内は広く、私の部屋の数倍はあるだろう。
おそるおそる声をかけた私を無視してウリョウはその部屋を突っ切ると、やや乱暴に私を肩から降ろした。
「わっ……!」
「カレル」
日の光があまり入らないそこは、おそらく寝室。
私が4人寝転がってもまだ余りそうなほど大きな寝台に転がされて、あやうく舌を噛みそうになる。
そのまま転がってしまいそうになるのを慌てて手を付いて堪えると、逆光を背負った男に睨みつけられた。
「さっき言っていたことを説明してもらおうか」
「言ってたことって、」
低い声。
それから彼の、刺すような視線。
私の何かが彼を激昂させてしまったらしいことは理解できたが、何がいけなかったのか分からない。
ただ初めて見る彼の怒気に私は酸素の足りない金魚のように口をぱくぱくと開閉する。
間抜けなその姿をどう思ったのか、応えられない私に問いを重ねる。
「なぜ外に出た」
「王宮内なら、好きに動いていいって、言ってたから……」
今まで散歩も、勉強もしたいと言えば好きにさせてくれた。
その優しさに寄りかかっているだけの自分が嫌だったけど、彼が気にしないのだからジシェンに会っても問題ないと思った。
そんな思いで言葉を喉から絞り出すと、ウリョウは転がる私の腕を掴んで怒鳴り上げた。
「男と逢引していいとは言っていない!」
「ひっ……!」
恐ろしさに思わず目をつぶる。
は、と何度かウリョウが荒い息を吐いて、それから落ち着いた……いやどこか暗い低い声で問いを重ねてきた。
「ジシェンを誘惑して、俺から逃れようと思ったのか?」
彼の手が化粧に塗れた私の頬を滑る。
太い親指が滲んでいるであろう目元を擦り、それから口紅を拭う。
その汚れた指で煌びやかな服の刺繍を指先で辿られる。
ジシェンに会う時に、少しでも価値があると思われたかったから施した化粧。
だけどまるでジシェンをたぶらかそうとしたかのように言われて、答えられずに口を噤んだ。
「他の誰でもいいと言っていたな。どこぞの爺の方が俺に囲われているよりもマシだったのか?」
ウリョウは私の言葉を待っているわけではなかったようで、訥々と呟く。
「ちが……」
「違わないだろう」
震える唇で否定しようとするが、その言葉も最後まで紡がせてもらえない。
苛立った仕草で寝台に押さえつけられて、彼の大きい体が私に覆いかぶさった。
頑丈そうな寝台が二人の重みを受けて鈍く軋んだ。
「前王のようには、絶対にしたくないと思っていた。誰よりも大事にして、心を開いてくれるまで待とうと」
「ウリョ、ウ、」
暗い炎の灯った瞳が、じっとりとした湿度を持って私の体を見下ろしてくる。
いつも穏やかに微笑んでいた瞳が、ゆらゆらと揺らめいた。
「だが、どうせ嫌われているなら同じことか」
はじめはただ茫洋とした顔で私とジシェンを見たウリョウだったが、見る間にその顔が険しく歪められていった。
私の目元を汚していた涙を慌ててふき取るが、それも見られてしまっていたかもしれない。
「答えろ。何をしているか聞いている」
冷え冷えとした声を発したウリョウが、一歩室内に踏み込んでくる。
それに今まで氷漬けにされたように固まっていたジシェンが、縋りついていた私の手を振り払い後ろへ飛び退いた。
振り払われた衝撃で、膝をついていた私はべしゃりとその場に尻もちをつく。
「待て、ウリョウ。俺が呼んだんじゃない。手を握っていたように見えたのも誤解だ」
ちらりとジシェン様を見上げると首を横に振っている彼の顔は固く強張っている。
ウリョウが不機嫌な理由は分からない。
だがあまりよくない事態になっていることは鈍い私の頭でも理解できた。
私は尻もちをついた体を起こし、その場に手を付くと頭を下げた。
「……わ、私が、ジシェン様にお願いがあって参りました」
ウリョウの視線が私に降り注がれているのが気配で分かる。
刺すようなその視線を感じて、つっかえながら言葉を紡ぐ。
「今まで、助けてもらった恩に報いずに、本当に申し訳ないと思っています」
ただ餌を与えられるのを口を開けて待つ雛のように、私は彼からの優しさをただ甘受していた。
だけどそれではいけないとようやく気が付いた。
このまま彼の傍に居続けることがどれほど厚顔なことか。
しかも唾棄される存在にも拘らず、恥知らずにも彼に思いを寄せているなんて。
「ですからどうか、……どうか、私をどなたかへ下げ渡して頂けませんでしょうか。ジシェン様でなくても、どなたでも結構です」
できれば誰か、他の誰かが貰ってくれると言ってからウリョウに伝えたかった。
でなければ、この優しい男はまた私に気を遣ってしまうかもしれない。
性処理のためですら使いたくない程に嫌っている私を、今までそうと気が付かせずに傍にいさせてくれたんだ。
ここで再び彼の温情に縋るような真似をしたら、また誰か優しい相手に宛がわれるかもしれない。
でも私は……私を冷たく値踏みするジシェンのような、どうしたら一番私を高く売り払えるか考える相手がいい。
その方が少しでも彼の役に立てるだろうから。
頭を下げたまま言葉を重ねる私を、ウリョウは暫く無言で見つめていた。
空気は重く、誰もが固唾をのんで自分の心臓の音まで聞こえそうだった。
駄目、なんだろうか。
憎い相手であっても簡単に下げ渡せるほど、私の立場とは簡単なものじゃないんだろうか。
床に付いた指先が緊張に冷たくなる。
思わずその指先をぎゅっと握ると、重たい足音と共にウリョウがこちらへ近づいてきた。
「俺がそれを許すと思ったのか」
頭の上で低い声がした。
そう思った瞬間、私の体は浮き上がっていた。
腕を取られて立たされたのだと分かった時には、胸倉を掴まれて床からかかとが浮いた。
「……っ!」
驚きと息苦しさに呼吸が止まる。
彼はなぜか私のよれた化粧をした顔と、服を見回して忌々し気に舌打ちをする。
初めて見る、その憎いと言わんばかりの表情に私はただ息をのんで固まった。
「いや、許さないと思ったから、こんな他の男に助けを求めるような真似をしたんだろうな」
固まる私を見下ろしたままそうウリョウは呟くと、胸倉を掴んでいた私を肩に担ぎあげた。
荷物のように片手で持ち上げられてその不安定さに思わず彼の服にしがみつく。
「ジシェン、沙汰を知らせるまで部屋から出るな」
「ウリョウ……!」
言い捨てたウリョウに、ジシェンが何か言いつのろうと名を呼ぶがウリョウは気にせずに足を進める。
扉から出ると、廊下のすぐ脇にエイレンが蒼白な顔をして立っていた。
目が合うと涙を浮かべてこちらを見つめている姿に、ああ彼がウリョウをここへ呼んだのか、とそんなことを考えている場合でもないのに朧気に思った。
ウリョウは普段はこの時間は執務に忙しく、ジシェンの部屋で鉢合わせるなんてことはあり得ない。
だから、エイレンが。
頭の隅でそんなことを考えているうちに、ウリョウは足早に回廊を進んでいった。
途中で何人かの人達とすれ違ったけれど誰からも声はかけられない。
肩に担がれている私はどこへ進んでいるのかも分からなかったけれど、決して短くない時間歩いた後にいくつかの扉を潜り抜けて、ようやくどこかの部屋へとたどり着いた。
「誰も入れるな」
ウリョウの言葉に、扉を開けた護衛をしているらしい兵士はぴしりと背筋を伸ばし、私たちが中へと入るとすぐに扉を閉めた。
「ウリョウ、ここは……」
ここはウリョウの部屋、だろうか。
淡い色彩で彩られた私の部屋とは違い、少しくらい色合いの部屋にはいくつも重厚な家具が置かれている。
だが続きの間に繋がっているであろう扉もあって、室内は広く、私の部屋の数倍はあるだろう。
おそるおそる声をかけた私を無視してウリョウはその部屋を突っ切ると、やや乱暴に私を肩から降ろした。
「わっ……!」
「カレル」
日の光があまり入らないそこは、おそらく寝室。
私が4人寝転がってもまだ余りそうなほど大きな寝台に転がされて、あやうく舌を噛みそうになる。
そのまま転がってしまいそうになるのを慌てて手を付いて堪えると、逆光を背負った男に睨みつけられた。
「さっき言っていたことを説明してもらおうか」
「言ってたことって、」
低い声。
それから彼の、刺すような視線。
私の何かが彼を激昂させてしまったらしいことは理解できたが、何がいけなかったのか分からない。
ただ初めて見る彼の怒気に私は酸素の足りない金魚のように口をぱくぱくと開閉する。
間抜けなその姿をどう思ったのか、応えられない私に問いを重ねる。
「なぜ外に出た」
「王宮内なら、好きに動いていいって、言ってたから……」
今まで散歩も、勉強もしたいと言えば好きにさせてくれた。
その優しさに寄りかかっているだけの自分が嫌だったけど、彼が気にしないのだからジシェンに会っても問題ないと思った。
そんな思いで言葉を喉から絞り出すと、ウリョウは転がる私の腕を掴んで怒鳴り上げた。
「男と逢引していいとは言っていない!」
「ひっ……!」
恐ろしさに思わず目をつぶる。
は、と何度かウリョウが荒い息を吐いて、それから落ち着いた……いやどこか暗い低い声で問いを重ねてきた。
「ジシェンを誘惑して、俺から逃れようと思ったのか?」
彼の手が化粧に塗れた私の頬を滑る。
太い親指が滲んでいるであろう目元を擦り、それから口紅を拭う。
その汚れた指で煌びやかな服の刺繍を指先で辿られる。
ジシェンに会う時に、少しでも価値があると思われたかったから施した化粧。
だけどまるでジシェンをたぶらかそうとしたかのように言われて、答えられずに口を噤んだ。
「他の誰でもいいと言っていたな。どこぞの爺の方が俺に囲われているよりもマシだったのか?」
ウリョウは私の言葉を待っているわけではなかったようで、訥々と呟く。
「ちが……」
「違わないだろう」
震える唇で否定しようとするが、その言葉も最後まで紡がせてもらえない。
苛立った仕草で寝台に押さえつけられて、彼の大きい体が私に覆いかぶさった。
頑丈そうな寝台が二人の重みを受けて鈍く軋んだ。
「前王のようには、絶対にしたくないと思っていた。誰よりも大事にして、心を開いてくれるまで待とうと」
「ウリョ、ウ、」
暗い炎の灯った瞳が、じっとりとした湿度を持って私の体を見下ろしてくる。
いつも穏やかに微笑んでいた瞳が、ゆらゆらと揺らめいた。
「だが、どうせ嫌われているなら同じことか」
92
お気に入りに追加
772
あなたにおすすめの小説
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
愛されて守られる司書は自覚がない【完】
おはぎ
BL
王宮図書館で働く司書のユンには可愛くて社交的な親友のレーテルがいる。ユンに近付く人はみんなレーテルを好きになるため、期待することも少なくなった中、騎士団部隊の隊長であるカイトと接する機会を経て惹かれてしまう。しかし、ユンには気を遣って優しい口調で話し掛けてくれるのに対して、レーテルには砕けた口調で軽口を叩き合う姿を見て……。
騎士団第1部隊隊長カイト×無自覚司書ユン
騎士隊長が結婚間近だと聞いてしまいました【完】
おはぎ
BL
定食屋で働くナイル。よく食べに来るラインバルト騎士隊長に一目惚れし、密かに想っていた。そんな中、騎士隊長が恋人にプロポーズをするらしいと聞いてしまって…。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
こじらせΩのふつうの婚活
深山恐竜
BL
宮間裕貴はΩとして生まれたが、Ωとしての生き方を受け入れられずにいた。
彼はヒートがないのをいいことに、ふつうのβと同じように大学へ行き、就職もした。
しかし、ある日ヒートがやってきてしまい、ふつうの生活がままならなくなってしまう。
裕貴は平穏な生活を取り戻すために婚活を始めるのだが、こじらせてる彼はなかなかうまくいかなくて…。
【BL】寸劇
のらねことすていぬ
BL
偶然知り合った大人の男、伊佐島にどうしようもなく惚れてしまったフリーターの受け。泣き落としで付き合ってもらうことになったけど、彼が自分のことを好きだとは到底思えない。悩むことに疲れて別れることを決意するが、彼は他に男ができたと勘違いして……? すれ違っている二人の別れ話→ハピエンです。
【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。
天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。
しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。
しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。
【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる