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受け視点2
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「噂よりも美人だね」
遠慮なく大股で室内に立ち入ってきた男は、にこやかな笑みを浮かべながら私のことをじろじろと見てきた。
ウリョウよりは小柄だけど私よりも遥かに大きな体。服の上からでも筋肉が付いているのが見て取れるから、武人なのかもしれない。だがウリョウやこの部屋の護衛なんかと比べるとずっと明るそうな……いや、正直に言ってしまえば軽薄そうな雰囲気を持つ男だった。
「ジシェン様! このお部屋にはウリョウ様がお許しになった方以外は入れないようにと言われております。どうかお引き取りを」
「おや、子供なのに主人の言うことを聞いて偉いねぇ」
エイレンが私の前に身を投げ出すようにして立ち、低く頭を下げる。
だがその必死の訴えを聞いてもジシェンと呼ばれた男は顔に張り付けた笑みを深くするばかりで、その場から動こうとはしない。
「でも使用人が……誰に盾突いているかは、考えた方がいいんじゃないかな?」
穏やかな口調でまるで優しくたしなめるような言葉。
それに彼の顔は温和な笑みを浮かべているが、その瞳の奥は笑っていないことに気が付いてぞくりとしたものが肌を這った。
「エイレン、こっちへ」
慌ててエイレンの腕を掴み私の横へと引っ張る。
私も立場が強いとは言えないけれど、エイレンはただの使用人。
この国では貴人の機嫌を損ねたらそれだけで罰が与えられることすらあるのだ。
青い顔をしているエイレンの肩を抱きよせると、男は片方の眉を器用に吊り上げた。
「酷いな、そんなに怯えた顔をしなくてもいいのに」
怯えさせたのはそちらだろう。
喉まで言葉が出かかるが押しとどめて彼の顔を見る。
ウリョウとは違った、少し甘い顔立ち。
だがよく手入れされているであろう艶やかな髪も、仕立ての良い服も、彼が高い地位にいることを示していた。
「はじめまして、だねカレル王子。僕はジシェン。ウリョウの幼馴染だよ。だからそんなに警戒しなくてもいい。あの岩みたいに堅物だったウリョウが前王の妾を囲ってるって聞いたから、気になって見に来ちゃった。悪いことするつもりはないから安心して」
「カレル、です」
「よろしくね」
ウリョウの幼馴染。
そう聞いて、ここで斬って捨てられる可能性は低いのだろうかと少し安堵する。
それでも安心なんてすることはできなくて体を固く強張らせたまま、掠れた声をだした。
私の返事を聞いた彼は笑みを深くして、顎に手を当てると、ますます舐めるように私の頭からつま先にまで視線を滑らせた。
「……にしても、明るい髪色に白い肌。体格はやっぱり男だけど確かにそそるものがあるね。苛めたくなるっていうか、屈服させたくなるっていうか……ウリョウも毎晩のように来てるんでしょ?どう?あいつ優しい?」
「いえ、その……」
彼が言っていることが夜の話だというのは容易に想像できた。
今まであからさまに性的な話をしてきた人がいなかったわけじゃない。
特に前王に、他の人間をもてなすように言われた時、戯れのように王との閨の話を聞かれることもあった。
卑猥な言葉を口にさせられることもあった。
だから別に乙女のように恥じらうようなことはないのだけど、ウリョウとのことだと言葉に詰まる。
なにしろ話せることなどないのだから。
しかしそれを真っ向から伝えていいのか分からず、どう誤魔化そうかと考えると思わず眉間に皺が寄った。
そんな私を見つめていたジシェンは、ふ、と真顔になった。
「……まさかウリョウ、まだ君に手を出してないの?」
その言葉に思わず体がびくりと動く。
「ふーん、そうか」
ジシェンはそんな私の態度に、合点がいったのだろう。私の言葉を聞く前に『なるほど』と呟くとにやにやとした笑みを浮かべた。
別に事実なのだから反論のしようもない。嘘をついて後からウリョウに知られてより大きな問題になったら困るだけだ。そう思って唇を噛む。
ジシェンは一歩さらに私に近づくと、押し黙る私の顔を覗き込んで低い声で呟いた。
「まぁ、あいつがカレル王子に手を出したくないって気持ちも、分からないわけじゃないしなぁ」
「……え?」
手を出したくない、気持ち? ずっと考えていたその答えを……彼は分かるというのか。
思ってもみなかった彼の言葉に思わず間抜けな声が出る。彼の影が私の顔にかかり、ごく近い距離になってしまっているということに気が付いた。でもそれよりもその言葉の続きを聞きたくて息をのむ。
なんでウリョウは私を本当の意味で彼のものにしないのか。抱く程度しか価値のない私を。
じっとジシェンの瞳を見つめると大きな掌が伸びてきて、そっと顎の先を持ち上げられる。
「君、前王に色々されてたんでしょ?ウリョウみたいな真面目な奴ほど面倒だよね。でも許してやってよ。君に対する気遣いだと思うし」
前王に、色々。確かにされていた。口にするのも憚られるようなことを、ずっと。ずっと。
それに対して真面目なウリョウが、気遣う?
どういう意味なのか、掴み切れない。私が、私の何が悪くて彼は手を出してこないのか。
「それは……」
それはどういう意味なのか。そう聞こうとした刹那、開けっ放しだった扉の外から荒い足音が聞こえてきた。
「ジシェン!! お前は一体何をしているんだ!」
怒鳴り声と共に飛び込んできたのはいつも落ち着いて焦った顔なんて見たことのないウリョウだった。
彼は私とジシェンの傍まで駆け寄ると、ジシェンの胸倉を掴んで私から引き剥がす。
彼が怒鳴るところなんて初めて見て、その恐ろしさに私は呼吸を止める。だがジシェンはまるで『降参だ』とでも言うかのように両手を上げ、さっきまでと変わらない軽薄な口調で喋り出した。
「やだな~、何もしてないよ。ちょっと君の白い花の王子様の顔を見に来ただけじゃないか。紹介してくれって言ってもいつまでも会わせてくれないし、幼馴染としてはお前が騙されてるかもって心配だったんだよ」
「うるさい、黙れ。余計なお世話だ。そして早く出て行け」
「えー、ちょっと待ってよ、俺も王子様助ける時にめちゃくちゃ協力したじゃん。根回しとかしてさ。なのに酷くない?」
ウリョウとジシェンはもみ合いながら、何やら話をしている。幼馴染というのは本当だったのか。怒りをあらわにしていたウリョウが、ジシェンの言葉に徐々に落ち着きを取り戻していくのが分かった。そしてやや乱暴にジシェンを部屋から追い出すと、扉を閉めて疲れたようにため息をついた。
「……カレル、平気か?何もされていないな?」
「あ、うん、平気です」
疲れた顔をしたウリョウは私の方へ歩み寄って、頭を撫でる。
「怪我は?」
「ないです」
私の言葉に少しだけウリョウの目元が緩む。だが彼はその後にまた探るように私の瞳を覗き込んで呟いた。
「ジシェンに、何か言われたか?」
その言葉に、体が少しだけ固くなった。
あれは果たして言われた、と言っていいんだろうか。
『まぁ、あいつがカレル王子に手を出したくないって気持ちも、分からないわけじゃないしなぁ』
ジシェンが呟いた言葉が頭に浮かぶ。
ここで聞いてしまおうか。
彼が私に手を出したくない理由を。
ジシェンにあんなことを言われた、ウリョウは一体なにを思っているのかと尋ねてしまおうか。
そう思うけれど……。
唾を飲み込んで、震えそうになる声を抑えつけた。
「別に、何も」
「そうか」
そっと瞳を地面へと俯かせて呟いた言葉に、ウリョウは私の頭をもう一度強い力で撫でるとその手を離した。
「……もう戻らないといけないな。今夜、また来る」
いつも低い声だけどなぜか今日は一層低く聞こえる。
その言葉に私はただ頷いて、待っているとすら言えずに、あっさりと離れていく彼の背をただ見つめた。
遠慮なく大股で室内に立ち入ってきた男は、にこやかな笑みを浮かべながら私のことをじろじろと見てきた。
ウリョウよりは小柄だけど私よりも遥かに大きな体。服の上からでも筋肉が付いているのが見て取れるから、武人なのかもしれない。だがウリョウやこの部屋の護衛なんかと比べるとずっと明るそうな……いや、正直に言ってしまえば軽薄そうな雰囲気を持つ男だった。
「ジシェン様! このお部屋にはウリョウ様がお許しになった方以外は入れないようにと言われております。どうかお引き取りを」
「おや、子供なのに主人の言うことを聞いて偉いねぇ」
エイレンが私の前に身を投げ出すようにして立ち、低く頭を下げる。
だがその必死の訴えを聞いてもジシェンと呼ばれた男は顔に張り付けた笑みを深くするばかりで、その場から動こうとはしない。
「でも使用人が……誰に盾突いているかは、考えた方がいいんじゃないかな?」
穏やかな口調でまるで優しくたしなめるような言葉。
それに彼の顔は温和な笑みを浮かべているが、その瞳の奥は笑っていないことに気が付いてぞくりとしたものが肌を這った。
「エイレン、こっちへ」
慌ててエイレンの腕を掴み私の横へと引っ張る。
私も立場が強いとは言えないけれど、エイレンはただの使用人。
この国では貴人の機嫌を損ねたらそれだけで罰が与えられることすらあるのだ。
青い顔をしているエイレンの肩を抱きよせると、男は片方の眉を器用に吊り上げた。
「酷いな、そんなに怯えた顔をしなくてもいいのに」
怯えさせたのはそちらだろう。
喉まで言葉が出かかるが押しとどめて彼の顔を見る。
ウリョウとは違った、少し甘い顔立ち。
だがよく手入れされているであろう艶やかな髪も、仕立ての良い服も、彼が高い地位にいることを示していた。
「はじめまして、だねカレル王子。僕はジシェン。ウリョウの幼馴染だよ。だからそんなに警戒しなくてもいい。あの岩みたいに堅物だったウリョウが前王の妾を囲ってるって聞いたから、気になって見に来ちゃった。悪いことするつもりはないから安心して」
「カレル、です」
「よろしくね」
ウリョウの幼馴染。
そう聞いて、ここで斬って捨てられる可能性は低いのだろうかと少し安堵する。
それでも安心なんてすることはできなくて体を固く強張らせたまま、掠れた声をだした。
私の返事を聞いた彼は笑みを深くして、顎に手を当てると、ますます舐めるように私の頭からつま先にまで視線を滑らせた。
「……にしても、明るい髪色に白い肌。体格はやっぱり男だけど確かにそそるものがあるね。苛めたくなるっていうか、屈服させたくなるっていうか……ウリョウも毎晩のように来てるんでしょ?どう?あいつ優しい?」
「いえ、その……」
彼が言っていることが夜の話だというのは容易に想像できた。
今まであからさまに性的な話をしてきた人がいなかったわけじゃない。
特に前王に、他の人間をもてなすように言われた時、戯れのように王との閨の話を聞かれることもあった。
卑猥な言葉を口にさせられることもあった。
だから別に乙女のように恥じらうようなことはないのだけど、ウリョウとのことだと言葉に詰まる。
なにしろ話せることなどないのだから。
しかしそれを真っ向から伝えていいのか分からず、どう誤魔化そうかと考えると思わず眉間に皺が寄った。
そんな私を見つめていたジシェンは、ふ、と真顔になった。
「……まさかウリョウ、まだ君に手を出してないの?」
その言葉に思わず体がびくりと動く。
「ふーん、そうか」
ジシェンはそんな私の態度に、合点がいったのだろう。私の言葉を聞く前に『なるほど』と呟くとにやにやとした笑みを浮かべた。
別に事実なのだから反論のしようもない。嘘をついて後からウリョウに知られてより大きな問題になったら困るだけだ。そう思って唇を噛む。
ジシェンは一歩さらに私に近づくと、押し黙る私の顔を覗き込んで低い声で呟いた。
「まぁ、あいつがカレル王子に手を出したくないって気持ちも、分からないわけじゃないしなぁ」
「……え?」
手を出したくない、気持ち? ずっと考えていたその答えを……彼は分かるというのか。
思ってもみなかった彼の言葉に思わず間抜けな声が出る。彼の影が私の顔にかかり、ごく近い距離になってしまっているということに気が付いた。でもそれよりもその言葉の続きを聞きたくて息をのむ。
なんでウリョウは私を本当の意味で彼のものにしないのか。抱く程度しか価値のない私を。
じっとジシェンの瞳を見つめると大きな掌が伸びてきて、そっと顎の先を持ち上げられる。
「君、前王に色々されてたんでしょ?ウリョウみたいな真面目な奴ほど面倒だよね。でも許してやってよ。君に対する気遣いだと思うし」
前王に、色々。確かにされていた。口にするのも憚られるようなことを、ずっと。ずっと。
それに対して真面目なウリョウが、気遣う?
どういう意味なのか、掴み切れない。私が、私の何が悪くて彼は手を出してこないのか。
「それは……」
それはどういう意味なのか。そう聞こうとした刹那、開けっ放しだった扉の外から荒い足音が聞こえてきた。
「ジシェン!! お前は一体何をしているんだ!」
怒鳴り声と共に飛び込んできたのはいつも落ち着いて焦った顔なんて見たことのないウリョウだった。
彼は私とジシェンの傍まで駆け寄ると、ジシェンの胸倉を掴んで私から引き剥がす。
彼が怒鳴るところなんて初めて見て、その恐ろしさに私は呼吸を止める。だがジシェンはまるで『降参だ』とでも言うかのように両手を上げ、さっきまでと変わらない軽薄な口調で喋り出した。
「やだな~、何もしてないよ。ちょっと君の白い花の王子様の顔を見に来ただけじゃないか。紹介してくれって言ってもいつまでも会わせてくれないし、幼馴染としてはお前が騙されてるかもって心配だったんだよ」
「うるさい、黙れ。余計なお世話だ。そして早く出て行け」
「えー、ちょっと待ってよ、俺も王子様助ける時にめちゃくちゃ協力したじゃん。根回しとかしてさ。なのに酷くない?」
ウリョウとジシェンはもみ合いながら、何やら話をしている。幼馴染というのは本当だったのか。怒りをあらわにしていたウリョウが、ジシェンの言葉に徐々に落ち着きを取り戻していくのが分かった。そしてやや乱暴にジシェンを部屋から追い出すと、扉を閉めて疲れたようにため息をついた。
「……カレル、平気か?何もされていないな?」
「あ、うん、平気です」
疲れた顔をしたウリョウは私の方へ歩み寄って、頭を撫でる。
「怪我は?」
「ないです」
私の言葉に少しだけウリョウの目元が緩む。だが彼はその後にまた探るように私の瞳を覗き込んで呟いた。
「ジシェンに、何か言われたか?」
その言葉に、体が少しだけ固くなった。
あれは果たして言われた、と言っていいんだろうか。
『まぁ、あいつがカレル王子に手を出したくないって気持ちも、分からないわけじゃないしなぁ』
ジシェンが呟いた言葉が頭に浮かぶ。
ここで聞いてしまおうか。
彼が私に手を出したくない理由を。
ジシェンにあんなことを言われた、ウリョウは一体なにを思っているのかと尋ねてしまおうか。
そう思うけれど……。
唾を飲み込んで、震えそうになる声を抑えつけた。
「別に、何も」
「そうか」
そっと瞳を地面へと俯かせて呟いた言葉に、ウリョウは私の頭をもう一度強い力で撫でるとその手を離した。
「……もう戻らないといけないな。今夜、また来る」
いつも低い声だけどなぜか今日は一層低く聞こえる。
その言葉に私はただ頷いて、待っているとすら言えずに、あっさりと離れていく彼の背をただ見つめた。
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