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初夜*
しおりを挟むぐちぐちと粘ついた音が部屋に響いている。後孔に深く差し込まれた熱を揺さぶられるたびに漏れ出る、そのいやらしい音から耳を塞いでしまいたい。だけどそんな僅かな願いも、大きな手に腕をベッドに押さえつけられていて叶わない。
「ひっ……っ、あ、ああ!あ゛!」
熱い。
熱くて苦しい。
こんなの耐えられない。
私のなにが気に障ったのか、暗い目をしたヒルベルトは、無理だやめてくれと騒いだ私をベッドに押さえつけ服を剥ぎ取ってきた。体中を撫でまわされて舐められて、すっかり私がグズグズになった頃に尻の奥の一番恥ずかしいところまでも彼の目の前に晒されてしまった。
見せつけるように取り出されたヒルベルトの陰茎は私のものとは比べ物にならないくらい大きくて太くて、なのにそれが尻の中にずっぽりと挿れられてしまった。
男同士の性交がどんなものかは知っていた。
だけど__それがこんな、奥の奥まで暴かれるようなことが、自分に起きるなんて。
しかもヒルベルトは酷く巧みで、痛みも苦しさもあったはずなのに、長い時間をかけて蕩かされて今はただ翻弄されているばかりだ。
あまりの羞恥にせめてもと顔を逸らしていると、それも気に入らないのか、一層奥を抉られ悲鳴が漏れた。
喉を反らして鳴くけれど、それでも許してもらえず二度三度と強く突き上げられる。
ベッドの上で仰向けに押さえつけられ足を大きく割り拓かれて、全てがヒルベルトの眼前に晒されている。
それだけでも死ぬほど恥ずかしいのに、さらに彼は甚振るように体を揺さぶってきて、情けない悲鳴を上げることしかできなかった。
「も、やめ、て、」
「やめません」
涙目で懇願しても、すぐさま強く鋭い言葉で拒否される。
それどころか彼は体を折り曲げて私の口に舌を這わせてくる。苛立ったようにべろりと唇を舐められ噛まれて、無理やり口を開かされてその隙間から舌を口の中にねじ込まれた。
強引に口の中を舐められているのに、背筋にぞくぞくとした快感が走って鼻から小さな声が漏れた。だけどヒルベルトは許してくれるどころか余計にしつこく口の中を舐め回すから、気持ちいいのと苦しいので頭が破裂しそうになってしまう。
「んっ……ん、ぁ、!」
腕を抑えつけていた手が離れ、その掌が私の脚の間に伸びてくる。
挿れられる前に散々弄ばれて何度も射精させられ、緩くしか勃ちあがっていないそれを指先で扱かれて、塞がれた口の端から嬌声が漏れた。
「あなたは放っておいたら浮気してしまいますから、やめません」
ようやく離れた唇でそう言うと、わずかな反応しか返さない私の性器を執拗に擦り上げる。
その間に腰も揺すられて内側から苦しさに近い快感が湧き上がってきた。
「し、しな、……浮気、なんて、」
「しない? 本当に? もし浮気したら何をするか分かりませんよ」
そう言いながらヒルベルトは私の陰茎を弄び続ける。
ぐりぐりと先端の敏感なところを苛められて悲鳴が漏れた。
いやだ。
もう無理だ。
このままでは死んでしまう。
「ヒルベル、……も、もう……でな、ぃ、……ぁあ゛!」
「ね、ユーリス様。俺一人が相手でも、十分楽しめるでしょう?」
まだ冷静を保っているらしいヒルベルトが、乱れる私のことを見下ろしながらそう呟く。
お願いだから許してくれ。
最後にそう呟いた言葉が、果たして彼に届いたのだろうか。
薄れゆく意識の中でぎらぎらと輝く瞳が私を見つめているのを感じていた。
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