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大事にしてくれる人
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真剣な顔のアスファーが再び近づいてきて、唇を触れ合わされる。
「ふ、……ん、ぅ……、」
ぬるりとした肉厚な舌が咥内に這入り込んできて、粘膜を舐め上げられる。くちゅくちゅと卑猥な唾液の音が羞恥と興奮を煽った。
決して強引さも乱暴さもない口づけなのに、まるで体は操られているように動かない。俺はただただアスファーに舌を吸われるままにびくびくと背筋を震わせた。
「好きだよ、ウィチ」
長すぎる口づけが解かれ耳元で囁かれて、呼気が耳を擽り体が跳ねた。
「すぐに俺を好きなってくれとは言わないから……俺のことが嫌いじゃないなら、抱かせてほしい」
「や、……、まって、」
あっさりベッドに押し倒されて、ますます体は動かなくなる。もぞもぞとシーツの上で身を揺らすけど、彼は気にした様子もなくシャツをめくり素肌に触れてくる。恋焦がれた男の手の熱に鳥肌が立つけれど、その手を押し留めた。
「ん?どうした?怖い?」
「ちが、う」
まだ子供に言い聞かせるみたいな彼の甘い声に、首を横に振る。
これからセックスしようって時に、水を掛けるようなことは言いたくない。
好きな人とできるんだから、せめて彼がしたいって思っている時に従順に足を開くべきだ__今まで、ずっとそう思って口を噤んできていた。
でも、俺は恐怖で萎えそうなる心をなんとか奮い立たせて言葉を紡いだ。
「アスファー、……俺、その、重いやつだから、こういうことしたら本気になるっていうか、割り切れないっていうか、」
今までの彼氏は、みんなすぐに俺から離れていった。
俺に飽きたから。
他に好きな人ができたから。
俺が重たすぎて面倒になったから。
大事にされない恋愛を何度もしてきたけど、慣れることは一向になかった。
こんな予防線を張るようなことはしたくないけど……もしこれでセックスして舞い上がってからアスファーに捨てられたら、俺は生きていけない。
「俺、できるだけヤキモチとか焼かないようにするけど、アスファーがこの先も他の人とかと寝るつもりなら……俺とするのはやめたほうがいいと思って。俺、たぶん凄い泣くし喚くしウザい奴になると思う」
「……ウィチ?さっき、お前は俺の番だっていっただろう?」
「番かもしれないけど、でも、それと浮気するかしないかは別物だろ。って言うか、そもそも俺……その、恋人みたいな扱いってことでいいの、かな?それともヤるのって今日だけのつもりだった?」
「そうか……。ウィチは、まだ分かってないのか」
アスファーが剣呑に目を細める。
掌が伸びてきた、と思ったら、シャツが無理やり開かれてボタンが弾き飛んだ。
そのまま首筋に唇が触れた、と思ったら歯を立てて甘く噛みつかれた。
「え、?ぁ、あ!」
「番は竜人にとって、ウィチが思っているよりもずっと大事なことだ。他の相手なんて目に入るわけがない。お前が嫌がっても絶対に逃がさないし一生手放さない……そう思うほどにはお前に狂っているんだ。ウィチ、お前しかいらないと何度言えば分かる?」
首筋を舐められ、舌がそのまま胸まで降りてくる。
あちこちを吸われていくつも赤く鬱血の痕を残された。
「今日だけなわけないだろう。お前の過去に嫉妬しておかしくなりそうなのに、未来まで誰かに譲って堪るか」
指先で弄られて痛いほどに尖った乳首を、舌先で舐め転がされて、むず痒いような刺激に腰が震える。
「ん、……ぅ、んん、」
「唇を噛んだらダメだ。傷がつく」
唇を噛みしめていると、口の中に指を差し込まれる。
だらだらと口の端から唾液が零れて、顔に朱が昇った。
だが恥ずかしがる俺を見下ろしたアスファーは、まるで小動物を甚振る肉食獣のように悪辣に笑った。
「ウィチは、可愛いし、いやらしいな」
興奮に舌なめずりをするような声で呟かれる。
掌が下肢に伸びて来て、あっさりと下穿きごと取り去られた。
足を大きく割り開かれて、すでに兆していた陰茎を掴まれる。
くちくちと濡れた音がするのは自分が零した先走りだろう。
それが妙に恥ずかしくて足を閉じようとするけど、どこをどう抑えているのかぴくりとも動かない。
ただただ彼の手管に翻弄されて体に熱が溜まっていく。
「あ、ぁあ、あ、や、ぁ」
「気持ちいい?」
もう今にも達してしまいそうな陰茎を弄ばれて、俺はどうすることもできなくて涙目で喘ぐ。
乱れる俺に頬を吊り上げたアスファーは、ベッドサイドから何か取り出したかと思うと、粘り気のあるものを掌に伸ばした。
「好きだよ、ウィチ。早く、お前が俺だけのものだって分かってくれ」
後孔にそっと指が這わされて、ゆっくりと指が這入ってくる。
内壁を押し分けるように蠢くそれに、体を内側から暴かれて、俺は声にならない声を上げた。
ぬちゅぬちゅと指が出し入れされて、気持ちのいいところを見つけられてしまい、体が反応するのを隠せない。
まだ信じられないことはいっぱいある。
俺はもともと誰にも大事にされない人間で、恋人運なんか皆無で、俺に優しい恋人ができるなんてありえない。
それに竜人も竜も、この世界のことは分からないことばかりだ。
でも___
「ウィチ、何考えているんだ?」
「ひ、ぁんっ、!」
胸の突起を抓られて甲高い声が漏れる。
じんじんと痛みを訴えるそこから彼はすぐに手を放し、代わりに厚い舌でべろりと舐め上げられた。
尖らせた舌先でぐりぐりと苛められ、痛みがじんとした快感に変わっていく。
「や、……アス、ファー」
「俺以外のことを考えないでくれ。お前の心の中も、頭の中も独占したい」
耳元で囁かれる甘い言葉。
でも美しい緑の瞳には、燃えるような熱が燻っている。
ちりちりと燃えるようなその炎に炙られて、俺は強張っていた心がゆっくりと溶けだすのを感じた。
「……俺の、中はアスファーだけ、」
腕を伸ばして、そっとアスファーの首に抱き着く。
近づいた頬に口付けて、胸に顔をうずめる。
もうだめだ。
この気持ちを隠してなんていられない。
俺は誰にも大事にされないから、と心にかけていた枷が外れてしまう。
彼のことが好きで、__それを伝えずにはいられなくて、言葉を重ねた。
「出会ってからずっと、ずっとこうなりたいって思ってた。アスファー、好きだよ、これからもずっと好きだ」
「ウィチ……、本当に?」
がくがくと首を縦に振ると、アスファーはどこか張りつめていた雰囲気をやわらげて、眦を下げた。
「好きだよ。死ぬまで離さないから、覚悟してくれ」
アスファーの腕に力が籠って、窒息しそうなほど強く抱きしめられる。
苦しいはずなのにそれが心地よかった。
後孔を押し広げていた指が抜き出され、熱くて太いものが押し当てられる。
少し怖いほどの熱を感じて、でも俺はそれが嬉しくて、目を閉じた。
俺はきっと、ずっと大事にしてくれる人を探していたんだろう。
俺が全力で大事にできて、その気持ちを返してくれるような恋人を。
その相手がまさか人じゃないとは思わなかったけど。
それでも耳元で繰り返し囁かれる「愛している」という言葉に、俺は目元から涙が零れるのを感じた。
-------------
アスファー:3128歳。ウィチと会う前は実はあちこちで摘まみ食いしていた遊び(竜)人。ウィチがそのことを知って、一人でもやもやするのはまた近い将来の話。
ウィチ:竜の体液を取り込んだので不老長寿になるご都合設定(だが本人は知らない)。今後はアスファーの想像以上の束縛っぷりに悩まされる。それを、自分の過去の彼氏を気にしているのかな……と強く出れない可哀そうな人。
真剣な顔のアスファーが再び近づいてきて、唇を触れ合わされる。
「ふ、……ん、ぅ……、」
ぬるりとした肉厚な舌が咥内に這入り込んできて、粘膜を舐め上げられる。くちゅくちゅと卑猥な唾液の音が羞恥と興奮を煽った。
決して強引さも乱暴さもない口づけなのに、まるで体は操られているように動かない。俺はただただアスファーに舌を吸われるままにびくびくと背筋を震わせた。
「好きだよ、ウィチ」
長すぎる口づけが解かれ耳元で囁かれて、呼気が耳を擽り体が跳ねた。
「すぐに俺を好きなってくれとは言わないから……俺のことが嫌いじゃないなら、抱かせてほしい」
「や、……、まって、」
あっさりベッドに押し倒されて、ますます体は動かなくなる。もぞもぞとシーツの上で身を揺らすけど、彼は気にした様子もなくシャツをめくり素肌に触れてくる。恋焦がれた男の手の熱に鳥肌が立つけれど、その手を押し留めた。
「ん?どうした?怖い?」
「ちが、う」
まだ子供に言い聞かせるみたいな彼の甘い声に、首を横に振る。
これからセックスしようって時に、水を掛けるようなことは言いたくない。
好きな人とできるんだから、せめて彼がしたいって思っている時に従順に足を開くべきだ__今まで、ずっとそう思って口を噤んできていた。
でも、俺は恐怖で萎えそうなる心をなんとか奮い立たせて言葉を紡いだ。
「アスファー、……俺、その、重いやつだから、こういうことしたら本気になるっていうか、割り切れないっていうか、」
今までの彼氏は、みんなすぐに俺から離れていった。
俺に飽きたから。
他に好きな人ができたから。
俺が重たすぎて面倒になったから。
大事にされない恋愛を何度もしてきたけど、慣れることは一向になかった。
こんな予防線を張るようなことはしたくないけど……もしこれでセックスして舞い上がってからアスファーに捨てられたら、俺は生きていけない。
「俺、できるだけヤキモチとか焼かないようにするけど、アスファーがこの先も他の人とかと寝るつもりなら……俺とするのはやめたほうがいいと思って。俺、たぶん凄い泣くし喚くしウザい奴になると思う」
「……ウィチ?さっき、お前は俺の番だっていっただろう?」
「番かもしれないけど、でも、それと浮気するかしないかは別物だろ。って言うか、そもそも俺……その、恋人みたいな扱いってことでいいの、かな?それともヤるのって今日だけのつもりだった?」
「そうか……。ウィチは、まだ分かってないのか」
アスファーが剣呑に目を細める。
掌が伸びてきた、と思ったら、シャツが無理やり開かれてボタンが弾き飛んだ。
そのまま首筋に唇が触れた、と思ったら歯を立てて甘く噛みつかれた。
「え、?ぁ、あ!」
「番は竜人にとって、ウィチが思っているよりもずっと大事なことだ。他の相手なんて目に入るわけがない。お前が嫌がっても絶対に逃がさないし一生手放さない……そう思うほどにはお前に狂っているんだ。ウィチ、お前しかいらないと何度言えば分かる?」
首筋を舐められ、舌がそのまま胸まで降りてくる。
あちこちを吸われていくつも赤く鬱血の痕を残された。
「今日だけなわけないだろう。お前の過去に嫉妬しておかしくなりそうなのに、未来まで誰かに譲って堪るか」
指先で弄られて痛いほどに尖った乳首を、舌先で舐め転がされて、むず痒いような刺激に腰が震える。
「ん、……ぅ、んん、」
「唇を噛んだらダメだ。傷がつく」
唇を噛みしめていると、口の中に指を差し込まれる。
だらだらと口の端から唾液が零れて、顔に朱が昇った。
だが恥ずかしがる俺を見下ろしたアスファーは、まるで小動物を甚振る肉食獣のように悪辣に笑った。
「ウィチは、可愛いし、いやらしいな」
興奮に舌なめずりをするような声で呟かれる。
掌が下肢に伸びて来て、あっさりと下穿きごと取り去られた。
足を大きく割り開かれて、すでに兆していた陰茎を掴まれる。
くちくちと濡れた音がするのは自分が零した先走りだろう。
それが妙に恥ずかしくて足を閉じようとするけど、どこをどう抑えているのかぴくりとも動かない。
ただただ彼の手管に翻弄されて体に熱が溜まっていく。
「あ、ぁあ、あ、や、ぁ」
「気持ちいい?」
もう今にも達してしまいそうな陰茎を弄ばれて、俺はどうすることもできなくて涙目で喘ぐ。
乱れる俺に頬を吊り上げたアスファーは、ベッドサイドから何か取り出したかと思うと、粘り気のあるものを掌に伸ばした。
「好きだよ、ウィチ。早く、お前が俺だけのものだって分かってくれ」
後孔にそっと指が這わされて、ゆっくりと指が這入ってくる。
内壁を押し分けるように蠢くそれに、体を内側から暴かれて、俺は声にならない声を上げた。
ぬちゅぬちゅと指が出し入れされて、気持ちのいいところを見つけられてしまい、体が反応するのを隠せない。
まだ信じられないことはいっぱいある。
俺はもともと誰にも大事にされない人間で、恋人運なんか皆無で、俺に優しい恋人ができるなんてありえない。
それに竜人も竜も、この世界のことは分からないことばかりだ。
でも___
「ウィチ、何考えているんだ?」
「ひ、ぁんっ、!」
胸の突起を抓られて甲高い声が漏れる。
じんじんと痛みを訴えるそこから彼はすぐに手を放し、代わりに厚い舌でべろりと舐め上げられた。
尖らせた舌先でぐりぐりと苛められ、痛みがじんとした快感に変わっていく。
「や、……アス、ファー」
「俺以外のことを考えないでくれ。お前の心の中も、頭の中も独占したい」
耳元で囁かれる甘い言葉。
でも美しい緑の瞳には、燃えるような熱が燻っている。
ちりちりと燃えるようなその炎に炙られて、俺は強張っていた心がゆっくりと溶けだすのを感じた。
「……俺の、中はアスファーだけ、」
腕を伸ばして、そっとアスファーの首に抱き着く。
近づいた頬に口付けて、胸に顔をうずめる。
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俺は誰にも大事にされないから、と心にかけていた枷が外れてしまう。
彼のことが好きで、__それを伝えずにはいられなくて、言葉を重ねた。
「出会ってからずっと、ずっとこうなりたいって思ってた。アスファー、好きだよ、これからもずっと好きだ」
「ウィチ……、本当に?」
がくがくと首を縦に振ると、アスファーはどこか張りつめていた雰囲気をやわらげて、眦を下げた。
「好きだよ。死ぬまで離さないから、覚悟してくれ」
アスファーの腕に力が籠って、窒息しそうなほど強く抱きしめられる。
苦しいはずなのにそれが心地よかった。
後孔を押し広げていた指が抜き出され、熱くて太いものが押し当てられる。
少し怖いほどの熱を感じて、でも俺はそれが嬉しくて、目を閉じた。
俺はきっと、ずっと大事にしてくれる人を探していたんだろう。
俺が全力で大事にできて、その気持ちを返してくれるような恋人を。
その相手がまさか人じゃないとは思わなかったけど。
それでも耳元で繰り返し囁かれる「愛している」という言葉に、俺は目元から涙が零れるのを感じた。
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アスファー:3128歳。ウィチと会う前は実はあちこちで摘まみ食いしていた遊び(竜)人。ウィチがそのことを知って、一人でもやもやするのはまた近い将来の話。
ウィチ:竜の体液を取り込んだので不老長寿になるご都合設定(だが本人は知らない)。今後はアスファーの想像以上の束縛っぷりに悩まされる。それを、自分の過去の彼氏を気にしているのかな……と強く出れない可哀そうな人。
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