16 / 20
終章 オレらのこれから。
①
しおりを挟む
「なんかコータさ、休憩んときとかあんまり出歩かなくなったよなー?」
弁当を食い終わって向かい合い、話していたオレとコータの傍らにサッカー部、清水が立ち止まった。
「あー、部活のヤツらとは放課後になれば会えるしな。わざわざ歩き回んなくても前の席に話すヤツがいればべつにいーやって、そんな感じかな」
「球技大会の後からだよな。タカが本性、現してそっからおまえら急に仲良くなったよな?」
そのセリフに一瞬、オレは動揺するが表情には出さずに言い放つ。
「そこまででもねーよ」
「まぁタカは、昔からイジりがいのあるヤツだとは思ってたけどな、おれは」
コータが笑いながら言うのを見下ろして、たまにはメシ後のフットサルにも参加しろよなと言い残し清水は校庭へと向かったようだ。
「サッカー部は部員あふれてんのに、わざわざおれら誘うのが清水らしいなぁ」
「つーかもう期末前なんだし、クソ暑い思いしてまで動きたくないけど」
店が繁盛すればするほど疲労も濃いものになる。そうすると自然と授業中に寝落ちすることも多くなるし、オレの成績が下がる一方なのをコータは心配してくれているようだった。
ちなみにオレが身体を張って弟を働かせまいと気張っているおかげか、総司は剣道部で早くも頭角を現しているそうだ。模擬戦で現主将に勝ったことから、すでに次期主将候補として名を馳せているとも聞く。
そう、もうすぐ期末試験が待っている。赤点なんか取って補修地獄なんてのはカンベンなんで授業中も必死にオレが眠気と戦っているのが、すぐ後ろにいるコータにはバレバレのようで。
「なあ。明日の定休日にさ、おれの家で勉強会やんねーか?」
わりとマジで心配そうな視線を受けて、オレはちょっと動揺した。
「ありがてーけどさ、コータってそんな頭よかったっけか?」
「まさか。そこはちゃんと『特別講師』を呼んである」
弁当を食い終わって向かい合い、話していたオレとコータの傍らにサッカー部、清水が立ち止まった。
「あー、部活のヤツらとは放課後になれば会えるしな。わざわざ歩き回んなくても前の席に話すヤツがいればべつにいーやって、そんな感じかな」
「球技大会の後からだよな。タカが本性、現してそっからおまえら急に仲良くなったよな?」
そのセリフに一瞬、オレは動揺するが表情には出さずに言い放つ。
「そこまででもねーよ」
「まぁタカは、昔からイジりがいのあるヤツだとは思ってたけどな、おれは」
コータが笑いながら言うのを見下ろして、たまにはメシ後のフットサルにも参加しろよなと言い残し清水は校庭へと向かったようだ。
「サッカー部は部員あふれてんのに、わざわざおれら誘うのが清水らしいなぁ」
「つーかもう期末前なんだし、クソ暑い思いしてまで動きたくないけど」
店が繁盛すればするほど疲労も濃いものになる。そうすると自然と授業中に寝落ちすることも多くなるし、オレの成績が下がる一方なのをコータは心配してくれているようだった。
ちなみにオレが身体を張って弟を働かせまいと気張っているおかげか、総司は剣道部で早くも頭角を現しているそうだ。模擬戦で現主将に勝ったことから、すでに次期主将候補として名を馳せているとも聞く。
そう、もうすぐ期末試験が待っている。赤点なんか取って補修地獄なんてのはカンベンなんで授業中も必死にオレが眠気と戦っているのが、すぐ後ろにいるコータにはバレバレのようで。
「なあ。明日の定休日にさ、おれの家で勉強会やんねーか?」
わりとマジで心配そうな視線を受けて、オレはちょっと動揺した。
「ありがてーけどさ、コータってそんな頭よかったっけか?」
「まさか。そこはちゃんと『特別講師』を呼んである」
8
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
たまにはゆっくり、歩きませんか?
隠岐 旅雨
BL
大手IT企業でシステムエンジニアとして働く榊(さかき)は、一時的に都内本社から埼玉県にある支社のプロジェクトへの応援増員として参加することになった。その最初の通勤の電車の中で、つり革につかまって半分眠った状態のままの男子高校生が倒れ込んでくるのを何とか支え抱きとめる。
よく見ると高校生は自分の出身高校の後輩であることがわかり、また翌日の同時刻にもたまたま同じ電車で遭遇したことから、日々の通勤通学をともにすることになる。
世間話をともにするくらいの仲ではあったが、徐々に互いの距離は縮まっていき、週末には映画を観に行く約束をする。が……
手に入らないモノと満たされる愛
小池 月
BL
櫻井斗真は喘息持ちの高校二年生。健康でスポーツが得意な弟と両親の四人家族。不健康な斗真は徐々に家族の中に自分の居場所がなくなっていく。
ある日、登校中に喘息発作で倒れる斗真。そんな斗真を高校三年の小掠隆介が助ける。隆介は小児科医院の息子。喘息発作の治療が必要な斗真は隆介の家で静養することとなる。斗真は隆介の優しさを素直に受け入れられず、自分と比べて惨めな思いに陥っていく。そんな斗真の気持ちを全て受け止めて寄り添う隆介と、徐々に距離を縮める斗真。
斗真に安心できる場所が出来たかと思われた頃、斗真が襲われる事件が起きて……。
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
漫画みたいな恋がしたい!
mahiro
BL
僕の名前は杉本葵。少女漫画が大好きでクラスの女の子たちと一緒にその話をしたり、可愛い小物やメイク、洋服の話をするのが大好きな男の子だよ。
そんな僕の夢は少女漫画の主人公みたいな素敵な恋をすること!
そんな僕が高校の入学式を迎えたときに漫画に出てくるような男の子が登場して…。
アルファとアルファの結婚準備
金剛@キット
BL
名家、鳥羽家の分家出身のアルファ十和(トワ)は、憧れのアルファ鳥羽家当主の冬騎(トウキ)に命令され… 十和は豊富な経験をいかし、結婚まじかの冬騎の息子、榛那(ハルナ)に男性オメガの抱き方を指導する。 😏ユルユル設定のオメガバースです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる