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「シャノン。大丈夫? 叱られたりしなかった?」

 不安を口にしていたシャノンを心配して、セルマが職員室の前で待ってくれていた。シャノンは、大丈夫、と言ってから、興奮気味に報告した。

「それより、聞いて! わたし、交換留学生に選ばれたの!」

「交換留学って……隣国との? でもあれ、何ヵ月も前に決まっていたはずじゃなかった?」

「そうだったんだけど、一人が家庭の事情で辞退することになって。繰り上げで、わたしが選ばれたの!」

「! すごいじゃない。あれって、希望したとしても、成績上位者しか選ばれないんでしょ?」

「そうなの。隣国の言葉や文化にとても興味があって、希望は出してたんだけど、落ちてしまって……だから、すごく嬉しい。神様が、落ち着いて考える時間をくれたかのようだわ」

 その言葉に、セルマは目を細め、シャノンを優しく見つめた。

「……そうね。本当にそうかもしれないわね。期間は、どれぐらい?」

「三ヶ月よ」

「そう……私たちが二年生になるときに、帰ってくるのね。寂しいけど、あの二人としばらく顔を合わせずにすむのなら、絶対にその方がいいと思うわ」

「ありがとう、セルマ。出立はひと月後だから、これから忙しくなるの。あの二人に構っている余裕は、もうないわ。ありがたいことにね」

 そうね、と笑い合う二人を、陰から見つめる双眸が一つあった。

 その人物が後ろから、肩をぽんと叩かれ、飛び上がらん勢いで、勢いよく振り向いた。

 そこに立っていたのは──。


「……パティ」

「やっと見つけた、リッキー。さあ、早く答えをちょうだい」
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