あなたがわたしを本気で愛せない理由は知っていましたが、まさかここまでとは思っていませんでした。

ふまさ

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 次の日。

 築年数も経っている、小さなアパートから、オーブリーが生気のない顔で出てきた。

 王立学園の制服姿をまとうオーブリーに、街の人たちが、不思議そうに注目する。それはそうだろう。貴族の子どもが通う王立学園の生徒が、一人で、しかもぼろアパートから出てきたのだから。

 俯き、歩く。歩く。

「……十位以内」

 ぼそぼそ。ぼそぼそ。同じ言葉を繰り返すオーブリー。王立学園に着くと、オーブリーの足は知らず、ミラベルのクラスの教室へと向かっていた。

(…………あ)

 教室を覗くと、ミラベルがいた。席に座り、学友たちと談笑している。その姿に一気に涙が押し寄せてきて、オーブリーは駆けだした。

「ミラベル、聞いてくれ!」

 ミラベルの目の前に立ち、叫んだオーブリーの目には、涙が浮かんでいた。性懲りもなくなにを、と学友たちがオーブリーに詰め寄ろうとするが、ミラベルがそれを「……大丈夫です」と、柔く静止した。

 その行動を、受け入れられたと思い込んだオーブリーは、ほっとしたように続けた。

「父上が、爵位は弟に継がせるって……使用人たちもいなくなって、アパートに一人追いやられて……そのうえ、試験の結果が毎回十位以内でないと、学園を退学させるとまで言われたんだ……」

 酷いだろう? 
 涙ながらに訴えかけるオーブリーに、ミラベルは、小さく微笑んでみせた。

「そうですか。頑張ってくださいね」

 他人事のような、突き放した台詞に、オーブリーは愕然とした。

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