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「どう言えば伝わるの? わたしは、あなたが嫌いなの。同じ空気すら吸いたくない。そうさせたのは、あなたよ。わたしの容姿は、確かに優れていない。そんなことわかっているわよ。でもね、わたしと並んで歩くのが恥ずかしかったと言われて、わたしがどれほど傷付いたか、あなたはちっとも理解していない。だからやり直そうなんて平気で言えるのよ!」

 あとね!
 答えを待たず、ミラベルが訴え続ける。

「わたしに優しくしてくれている人を侮辱するのは止めて! これ以上続けるなら、精神的苦痛を受けたとして、慰謝料を請求するわよ!」

 はあはあ。
 力の限り、心のままに吐露したミラベルの言葉は、どれほどオーブリーに届いたのか。

 オーブリーは、なにも言わず、ただぽかんとしている。

 アーノルドはしばらくオーブリーを見ていたが、やがてミラベルに「もう行こう」と、優しく声をかけた。

 ミラベルが「……すみません、アーノルド様。わたし、こんな人が元婚約者だったなんて、恥ずかしいです……っ」ともらすと、アーノルドは、わたしもだよ、と苦笑した。

 アーノルドと学友に促され、ミラベルがオーブリーに背を向ける。縋ろうとするオーブリーの足を、アーノルドが睨み付け、止める。

「……趣味悪い」

 苦虫をかみつぶしたような口調で吐き捨てたのは、マルヴィナだった。その目線はアーノルドを追っていたが、すぐにオーブリーに向けられた。

「すごいんですね、オーブリー様って。誰だって、あなたとアーノルド様じゃ、アーノルド様を選びますよ。なのに、拒絶されたのが自分ではなく、アーノルド様だなんてよく言えましたね? 本気なら、もういっそ、感心します」

 オーブリーは「……もう、お前の言葉なんて聞かない」と、静かに振り返った。

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