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 当然といえば当然の反応なのだが、いつ何時でも味方でいてくれたミラベルに、こんな対応をされたことのなかったオーブリーは、聞こえていなかったのかな、と解釈し、今度はミラベルの肩を掴んだ。

「ぼく、本当に困っていて。少しでいいから、時間を──」

 ぱしっ。
 ミラベルはオーブリーの手を強めに払いのけると、射るような視線を向けた。

「オーブリー・コスタ。あなたは昨日、わたしの顔が好きになれないと、婚約解消を願い出ましたよね」

 ざわっ。
 会話が聞こえていたであろうまわりにいる生徒の何人かが、二人に視線を集めた。連鎖し、他の生徒も足を止める。

「二年の、美人の令嬢を愛人にしたい。そう申し出たあなたに、ならわたしと婚約解消して、その人と婚約してください。そう提案したら、あなたは喜んでそれを受けましたよね?」

 感じたことのない圧に、オーブリーがたじろぐ。

「……よ、喜んでっていうか」

「受けましたよね? 美人の子爵令嬢と婚約すると、言いましたよね?」

「……い、言ったけど」

「そのさい、もう話しかけてこないでくださいと、わたし、告げましたよね? というかですね。まともな思考回路をお持ちなら、言われなくても、話しかけるなんてこと、できないと思いますよ。まして相談だなんて、頭がどうかしているのですか?」

 別人かと疑いたくなるようなきつい物言いに、オーブリーはショックから、声をなくした。

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