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なんで?
という顔のベイジルに、これはもう駄目だなとみなが呆れ、その場は解散となった。
その後。
ベイジルは無事、辺境伯の使用人として雇ってもらえることになった。顔見知りだったこともあり、最初は同情を引こうと企んでいたベイジルだったが、その本性をロペス伯爵からあらかじめ聞いていた辺境伯夫妻は、他の使用人たちとなんら区別なく、ベイジルと接した。
──というか。接そうとしていたらしいが、偉そうにするばかりで仕事のできない、嘘ばかりつくベイジルに、他の使用人たちより厳しく指導し、その鼻っ柱を何度もへし折り、さらに屋敷を一度追い出した結果。以降は随分と大人しくなり、嘘をつくこともあまりなくなったそうだ。
ネリーに対して。怒りや憎しみどころか、ベイジルと別れるきっかけをくれた人物だったので、クラリッサはむしろ、ネリーに感謝していた。当初はベイジルとの婚約が、慰謝料を請求しない条件として入っていたが、王都からモンテス伯爵の領地への移動中に、ネリーがもうベイジルと婚約したくないと涙ながらに訴えてきたので、ならばこれまでのベイジルとの会話、行為を、正直に包み隠さず話してくださいと言うと、ネリーは何度も頷いた。実際、その通りになんでも正直に話してくれたので、クラリッサはネリーを咎めることなく、慰謝料も請求しなかった。
だが。クラリッサの婚約者であったベイジルが学園から姿を消したことで、前からベイジルとの仲を怪しまれていたネリーが、あの子のせいでは、と後ろ指を指されるようになった。それからまもなく、ネリーが伯爵令嬢と伯爵令息の婚約を破棄させたという噂が学園中に広まっていった。事実なのでクラリッサは否定しようもなく、また、クラリッサになにかされるのではと勝手に怯えるネリーも、なにも反論できず。
クラリッサとは違い、ネリーには友人もいたようだが、その友人たちからも距離をとられるようになってしまったようで。それを知ったクラリッサが声をかけようとしたら、小さく悲鳴を上げて逃げられてしまった。どうやら、なにかされると勘違いしてしまったらしい。
最低だなんだと責められることに耐えられなくなったのか。しばらくしてネリーの姿も、学園で見なくなってしまった。
という顔のベイジルに、これはもう駄目だなとみなが呆れ、その場は解散となった。
その後。
ベイジルは無事、辺境伯の使用人として雇ってもらえることになった。顔見知りだったこともあり、最初は同情を引こうと企んでいたベイジルだったが、その本性をロペス伯爵からあらかじめ聞いていた辺境伯夫妻は、他の使用人たちとなんら区別なく、ベイジルと接した。
──というか。接そうとしていたらしいが、偉そうにするばかりで仕事のできない、嘘ばかりつくベイジルに、他の使用人たちより厳しく指導し、その鼻っ柱を何度もへし折り、さらに屋敷を一度追い出した結果。以降は随分と大人しくなり、嘘をつくこともあまりなくなったそうだ。
ネリーに対して。怒りや憎しみどころか、ベイジルと別れるきっかけをくれた人物だったので、クラリッサはむしろ、ネリーに感謝していた。当初はベイジルとの婚約が、慰謝料を請求しない条件として入っていたが、王都からモンテス伯爵の領地への移動中に、ネリーがもうベイジルと婚約したくないと涙ながらに訴えてきたので、ならばこれまでのベイジルとの会話、行為を、正直に包み隠さず話してくださいと言うと、ネリーは何度も頷いた。実際、その通りになんでも正直に話してくれたので、クラリッサはネリーを咎めることなく、慰謝料も請求しなかった。
だが。クラリッサの婚約者であったベイジルが学園から姿を消したことで、前からベイジルとの仲を怪しまれていたネリーが、あの子のせいでは、と後ろ指を指されるようになった。それからまもなく、ネリーが伯爵令嬢と伯爵令息の婚約を破棄させたという噂が学園中に広まっていった。事実なのでクラリッサは否定しようもなく、また、クラリッサになにかされるのではと勝手に怯えるネリーも、なにも反論できず。
クラリッサとは違い、ネリーには友人もいたようだが、その友人たちからも距離をとられるようになってしまったようで。それを知ったクラリッサが声をかけようとしたら、小さく悲鳴を上げて逃げられてしまった。どうやら、なにかされると勘違いしてしまったらしい。
最低だなんだと責められることに耐えられなくなったのか。しばらくしてネリーの姿も、学園で見なくなってしまった。
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