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「どうしてそのようにはっきり言い切れる?」

「そ、そのようなこと、した覚えがないからですよ。当然じゃないですか」

 ベイジルの声に被さるように、ネリーは俯いたまま、声を張り上げた。

「……あ、あたし! 探偵に目撃させるために、わざとカーテンを開けておいたんです。その行為をするのはいつも、あたしの屋敷の、あたしの部屋だったから……っ」

 ベイジルは心からの「は?」という言葉をネリーに向けた。ベイジルにとっては、理解不能な行動だったから。

 だって、その言い方ではまるで──。

「探偵に調査されていること、知ってたのか……?」

 ベイジルの問いに、ネリーは顔を伏せたままこくりと頷いた。ますます訳がわからなかった。

「──頭がいかれてるのか? そんなところ目撃されたらどうなるかぐらい、わかるだろ? お前だって、慰謝料を請求される立場なんだぞ?」

 ふらりとネリーに近付こうとするベイジルに、モンテス伯爵夫人が「やっと認めましたね」と吐き捨てた。

「でまかせをペラペラと……しかも、なんと往生際の悪い」

「ふ、夫人……?」

 いつも温和で優しいモンテス伯爵夫人の刺々しい言葉遣いに、ベイジルは口を半開きにするが、更に追い打ちをかけるように、モンテス伯爵は続けた。

「ああ、ほんとにな。しかしまあ、万が一浮気が事実でなかったとしてもだ。どちらにせよ、クラリッサとは別れてもらっていたがな」

 その台詞に、ベイジルは唖然とした。


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