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「ね、エディ」
寝台の上で、エディに膝枕をしてもらいながら、ダリアは甘えたような声でエディを呼んだ。エディが「なに?」と、優しく答える。
「すきって、いって?」
間を置かず、エディが「好きだよ」と口にする。
「ほんとに?」
「本当だよ」
「いちばんに、すき?」
「好きだよ」
ダリアが、ぷうっと頬を膨らます。
「いちばんって、いって」
エディが「一番、好きだよ」と笑うと、ダリアは起きあがり、心で、うそつき、とぼやきながらエディに抱き付いた。
「エディが、いちばんすきなんだからね」
「うん。知ってる」
「じゃあ、キスして」
いいよ。エディが、ダリアに口付けする。ダリアは満足したように、へへ、と子どもっぽく口角を上げた。
エディの口付けは、特別なものだから。
♢♢♢♢♢
「──ア。ミア?」
耳馴染んだ、少しだけ低く、どこか艶のある声色に名前を呼ばれたミアは、はっと顔を上げた。目の前には、大好きな婚約者の、エディがいた。
ガタ、ゴト。ガタ、ゴト。
揺れる馬車の車輪の音が響く。窓からは、眩しい朝の光が差し込んでいた。
「ぼんやりとして、どうしたの?」
エディの金髪が、きらっと日に反射する。綺麗だな。心で呟く。
「か、課題に手こずってしまって……少し寝不足気味なだけです」
「そうか。なら、学園に着くまで、一眠りしたら? そう距離はないけど」
「……そう、ですね」
「肩、貸そうか?」
「……え、えと」
「ん?」
見透かされたような双眸を向けられたミアは、お願いします、と小さく呟いた。エディは、ふふ、と小さく笑いながら立ち上がり、ミアの横に腰を落とした。ミアはそっと、エディの肩に、頭をもたれかけさせた。ふわっと香る、微かな甘い匂い。心臓が、僅かに鼓動を早めた。
「重くないですか?」
「ちっとも」
そうですか。言いながら、ミアは静かにまぶたを閉じた。感じる、エディの匂いと体温。二人きりの空間。ずっとこのままがいいな。それは、何度も願ってきたこと。
(……わたし、とても幸せだわ)
ミアは、ジェンキンス伯爵家の唯一の子ども。そしてエディは、ルソー伯爵家の次男。互いに十のときに婚約した二人は、王立学園を卒業すると同時に結婚することが決まっている。そしてエディはジェンキンス伯爵家の婿養子となり、いずれ、ジェンキンス伯爵から、爵位を継ぐことになる。
貴族の次男として、決して悪い話ではない。そのことに、ミアは安堵する。大丈夫。エディはきっと、わたしを捨てたりしないと。
両親にも、そしてエディにも、ミアは愛されている。なのにどこか、自信が持てない自分がいる。
情けないな。
心で呟きながら、ミアはちらっとエディを見上げた。エディが、小さく微笑む。
(ねえ、エディ……どうして)
問いかけたい。でも、怖くてできない質問がある。もう一年ぐらい、ずっと押し込めている疑問。
「どうかした?」
あ。口を開きかけ、ミアは、なんでもありませんと、再びまぶたを閉じた。
そんなミアをしばらく見詰めてから、エディはふっと笑みをおさめ、馬車の窓から空を見上げた。その双眸にうつっていたのは、青空を羽ばたく、鳥だった。
「それじゃあ、また、昼休みに」
ミアのクラスの教室の前。エディが軽く手を上げると、ミアは、はい、と小さくそれに答えた。小さくなっていく背中を見届けるように見詰めるミアの肩を、誰かがぽんと叩いた。
「おはよう、ミア」
明るい笑顔の令嬢に、ミアが、おはようと頬を緩める。ミアと同じクラスに所属する彼女の名は、ドリス。王立学園に入学してからの付き合いだが、相性が良かったのか、不思議と、もう何年も一緒にいるような感覚に陥ることがあるほどの、唯一無二の友だちだ。
特に、少しの人見知りの気があるミアにとっては、とても大切な存在だ。
「教室まで送り迎えしてくれるなんて、本当に愛されているわね。うらやましいわ」
「……そう思う?」
「思うわよ。それにあんなに見目も良くて、優しくて。最高の婚約者じゃない」
話ながら、二人は教室に入った。階段状になっている、前から三番目の、一番窓際の席に並んで腰を落とした。席順は特に定められていないものの、この教室に通ってもうすぐ一年が経ついまでは、ほとんどの生徒が、自分たちの指定席というものがあった。
「それで? 昨日は休みで、大好きな婚約者とデートをしたのでしょ?」
「……ええ。とても楽しかったわ」
ミアの、言葉とは裏腹の様子に、ドリスは、はあ、とため息をついた。
「その様子じゃ、また駄目だったみたいね」
あからさまにしゅんと落ち込むミアに、ドリスは、はいはいと慰めるように頭を撫でた。
「……ドリスも、婚約者の人とデートだったんでしょ?」
「まあ、ね」
「……口付け、した?」
「…………」
ドリスは沈黙したが、それは確かな答えだった。ミアが、いいなあ、とぼそっと目を潤ませながら呟く。もお。ドリスがミアの背中を軽く叩いた。
「たとえまだ口付けしていなくても、エディ様があなたを大切にしているのは、誰の目にも明らかじゃない。あなただって、その自覚はあるんでしょう?」
「……でも」
「そんなにしてほしいなら、お願いしてみたらいいじゃない。口付けしてくださいって」
「ドリスは、そうしたの?」
「……あ、あたしは。その場の流れのいうか、雰囲気で、そうなったというか」
「……そんな雰囲気になったことはあると思うんだけど……そう感じたのは、わたしだけなのかなあ」
ふふ。ドリスが、小さく笑う。
「なんにしろ、可愛い悩みよね」
「……わたしにとっては、深刻だわ。だって、額や頬にはしてくれるのよ。それって、わたしのこと、女として見ていないってことじゃないかしら」
「考えすぎよ」
「……そうかなあ」
「甘えん坊で心配性のミア。あたしが代わりに、エディ様に訊ねてあげましょうか?」
「……それはいい」
ぷいっと顔を背けたミアに、ドリスはまた一つ、笑った。
寝台の上で、エディに膝枕をしてもらいながら、ダリアは甘えたような声でエディを呼んだ。エディが「なに?」と、優しく答える。
「すきって、いって?」
間を置かず、エディが「好きだよ」と口にする。
「ほんとに?」
「本当だよ」
「いちばんに、すき?」
「好きだよ」
ダリアが、ぷうっと頬を膨らます。
「いちばんって、いって」
エディが「一番、好きだよ」と笑うと、ダリアは起きあがり、心で、うそつき、とぼやきながらエディに抱き付いた。
「エディが、いちばんすきなんだからね」
「うん。知ってる」
「じゃあ、キスして」
いいよ。エディが、ダリアに口付けする。ダリアは満足したように、へへ、と子どもっぽく口角を上げた。
エディの口付けは、特別なものだから。
♢♢♢♢♢
「──ア。ミア?」
耳馴染んだ、少しだけ低く、どこか艶のある声色に名前を呼ばれたミアは、はっと顔を上げた。目の前には、大好きな婚約者の、エディがいた。
ガタ、ゴト。ガタ、ゴト。
揺れる馬車の車輪の音が響く。窓からは、眩しい朝の光が差し込んでいた。
「ぼんやりとして、どうしたの?」
エディの金髪が、きらっと日に反射する。綺麗だな。心で呟く。
「か、課題に手こずってしまって……少し寝不足気味なだけです」
「そうか。なら、学園に着くまで、一眠りしたら? そう距離はないけど」
「……そう、ですね」
「肩、貸そうか?」
「……え、えと」
「ん?」
見透かされたような双眸を向けられたミアは、お願いします、と小さく呟いた。エディは、ふふ、と小さく笑いながら立ち上がり、ミアの横に腰を落とした。ミアはそっと、エディの肩に、頭をもたれかけさせた。ふわっと香る、微かな甘い匂い。心臓が、僅かに鼓動を早めた。
「重くないですか?」
「ちっとも」
そうですか。言いながら、ミアは静かにまぶたを閉じた。感じる、エディの匂いと体温。二人きりの空間。ずっとこのままがいいな。それは、何度も願ってきたこと。
(……わたし、とても幸せだわ)
ミアは、ジェンキンス伯爵家の唯一の子ども。そしてエディは、ルソー伯爵家の次男。互いに十のときに婚約した二人は、王立学園を卒業すると同時に結婚することが決まっている。そしてエディはジェンキンス伯爵家の婿養子となり、いずれ、ジェンキンス伯爵から、爵位を継ぐことになる。
貴族の次男として、決して悪い話ではない。そのことに、ミアは安堵する。大丈夫。エディはきっと、わたしを捨てたりしないと。
両親にも、そしてエディにも、ミアは愛されている。なのにどこか、自信が持てない自分がいる。
情けないな。
心で呟きながら、ミアはちらっとエディを見上げた。エディが、小さく微笑む。
(ねえ、エディ……どうして)
問いかけたい。でも、怖くてできない質問がある。もう一年ぐらい、ずっと押し込めている疑問。
「どうかした?」
あ。口を開きかけ、ミアは、なんでもありませんと、再びまぶたを閉じた。
そんなミアをしばらく見詰めてから、エディはふっと笑みをおさめ、馬車の窓から空を見上げた。その双眸にうつっていたのは、青空を羽ばたく、鳥だった。
「それじゃあ、また、昼休みに」
ミアのクラスの教室の前。エディが軽く手を上げると、ミアは、はい、と小さくそれに答えた。小さくなっていく背中を見届けるように見詰めるミアの肩を、誰かがぽんと叩いた。
「おはよう、ミア」
明るい笑顔の令嬢に、ミアが、おはようと頬を緩める。ミアと同じクラスに所属する彼女の名は、ドリス。王立学園に入学してからの付き合いだが、相性が良かったのか、不思議と、もう何年も一緒にいるような感覚に陥ることがあるほどの、唯一無二の友だちだ。
特に、少しの人見知りの気があるミアにとっては、とても大切な存在だ。
「教室まで送り迎えしてくれるなんて、本当に愛されているわね。うらやましいわ」
「……そう思う?」
「思うわよ。それにあんなに見目も良くて、優しくて。最高の婚約者じゃない」
話ながら、二人は教室に入った。階段状になっている、前から三番目の、一番窓際の席に並んで腰を落とした。席順は特に定められていないものの、この教室に通ってもうすぐ一年が経ついまでは、ほとんどの生徒が、自分たちの指定席というものがあった。
「それで? 昨日は休みで、大好きな婚約者とデートをしたのでしょ?」
「……ええ。とても楽しかったわ」
ミアの、言葉とは裏腹の様子に、ドリスは、はあ、とため息をついた。
「その様子じゃ、また駄目だったみたいね」
あからさまにしゅんと落ち込むミアに、ドリスは、はいはいと慰めるように頭を撫でた。
「……ドリスも、婚約者の人とデートだったんでしょ?」
「まあ、ね」
「……口付け、した?」
「…………」
ドリスは沈黙したが、それは確かな答えだった。ミアが、いいなあ、とぼそっと目を潤ませながら呟く。もお。ドリスがミアの背中を軽く叩いた。
「たとえまだ口付けしていなくても、エディ様があなたを大切にしているのは、誰の目にも明らかじゃない。あなただって、その自覚はあるんでしょう?」
「……でも」
「そんなにしてほしいなら、お願いしてみたらいいじゃない。口付けしてくださいって」
「ドリスは、そうしたの?」
「……あ、あたしは。その場の流れのいうか、雰囲気で、そうなったというか」
「……そんな雰囲気になったことはあると思うんだけど……そう感じたのは、わたしだけなのかなあ」
ふふ。ドリスが、小さく笑う。
「なんにしろ、可愛い悩みよね」
「……わたしにとっては、深刻だわ。だって、額や頬にはしてくれるのよ。それって、わたしのこと、女として見ていないってことじゃないかしら」
「考えすぎよ」
「……そうかなあ」
「甘えん坊で心配性のミア。あたしが代わりに、エディ様に訊ねてあげましょうか?」
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