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「お帰りなさいませ。みなさま、応接室にてお待ちですよ」
屋敷に帰るなり、出迎えた執事に促され、ネイトは応接室へと向かった。みなさま、とは、きっとエリンたちのことだろう。
(……何の用だろう。まさか、エリンが公爵に告げ口──いや、そんなわけないか)
これまでのことから、エリンは誰にも告げ口などしないと信じ込んでいるネイトは、すぐさまその考えを否定した。
だってエリンは、アデラが認めた優しい人だから。エリンは、ぼくを愛してくれているから。
信じて疑わないネイトは、迷うことなく応接室の扉を開けた。
「失礼します。ただいま戻りました」
そこには予想通り、エリンと、エリンの両親がいた。その正面には、ネイトの父親と、弟のリックが座っていた。
エリンたちは毅然とした態度で座っていたが、それに比例するように、ネイトの父親とリックの顔色は、青ざめていた。
「エリン。ぼくの屋敷に来ていたんだね。きみの屋敷に行ったらいなくて、驚いたよ」
「あら、何のご用だったのですか?」
エリンに問われ、互いの親たちの前なので少し迷ったものの、ネイトは諦めたように口を開いた。
「もちろん、謝罪にだよ。勘違いとはいえ、きみに、その……ひどいことをしてしまったから」
「ひどいこととは、何でしょう」
「……お願いだよ。意地悪はやめてくれ。謝るから」
「いいえ。罪を自覚していただくためにも、あなたがわたしにしたこと、きちんとこの場で言っていただきます」
迷いなく、エリンがきっぱりと告げる。ネイトは僅かだが、眉をひそめた。
「罪だなんて……そんな、大袈裟な」
それまで黙っていたネイトの父親である侯爵が、おもむろに立ち上がった。つかつかとネイトの傍まで近付くと「この、愚か者が……っ」と怒気を宿した声音で吐き捨て、ネイトの頭を掴んだ。そのまま、ぐぐっと床に近付ける。
訳がわからず、ネイトが抗う。
「ち、父上……いったい、何を」
顔をあげようとするネイトの額を、侯爵は力尽くで床に押し付けた。
「──申し訳ございません!!」
侯爵の声が、応接室にわんと響いた。
屋敷に帰るなり、出迎えた執事に促され、ネイトは応接室へと向かった。みなさま、とは、きっとエリンたちのことだろう。
(……何の用だろう。まさか、エリンが公爵に告げ口──いや、そんなわけないか)
これまでのことから、エリンは誰にも告げ口などしないと信じ込んでいるネイトは、すぐさまその考えを否定した。
だってエリンは、アデラが認めた優しい人だから。エリンは、ぼくを愛してくれているから。
信じて疑わないネイトは、迷うことなく応接室の扉を開けた。
「失礼します。ただいま戻りました」
そこには予想通り、エリンと、エリンの両親がいた。その正面には、ネイトの父親と、弟のリックが座っていた。
エリンたちは毅然とした態度で座っていたが、それに比例するように、ネイトの父親とリックの顔色は、青ざめていた。
「エリン。ぼくの屋敷に来ていたんだね。きみの屋敷に行ったらいなくて、驚いたよ」
「あら、何のご用だったのですか?」
エリンに問われ、互いの親たちの前なので少し迷ったものの、ネイトは諦めたように口を開いた。
「もちろん、謝罪にだよ。勘違いとはいえ、きみに、その……ひどいことをしてしまったから」
「ひどいこととは、何でしょう」
「……お願いだよ。意地悪はやめてくれ。謝るから」
「いいえ。罪を自覚していただくためにも、あなたがわたしにしたこと、きちんとこの場で言っていただきます」
迷いなく、エリンがきっぱりと告げる。ネイトは僅かだが、眉をひそめた。
「罪だなんて……そんな、大袈裟な」
それまで黙っていたネイトの父親である侯爵が、おもむろに立ち上がった。つかつかとネイトの傍まで近付くと「この、愚か者が……っ」と怒気を宿した声音で吐き捨て、ネイトの頭を掴んだ。そのまま、ぐぐっと床に近付ける。
訳がわからず、ネイトが抗う。
「ち、父上……いったい、何を」
顔をあげようとするネイトの額を、侯爵は力尽くで床に押し付けた。
「──申し訳ございません!!」
侯爵の声が、応接室にわんと響いた。
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